2026年1月20日初掲、6月25日最新情報に更新・内外観画像34点を追補
今年4月にオープンした〈奈良監獄ミュージアム〉に続いて、ラグジュアリーホテル〈星のや奈良監獄〉が6月25日に開業しました。
星野リゾートが奈良市北部の般若寺町(はんにゃじちょう)にて進めている、国の重要文化財・旧奈良監獄を保存・活用するプロジェクトで、歴史的建造物をホテルと展示施設(奈良監獄ミュージアム)にアダプティブリユースしたものです。
ホテルの建築デザインを東 環境・建築研究所、ランドスケープデザインはオンサイト計画設計事務所、文化財改修改修を安井建築設計事務所がそれぞれ担当しています(プロジェクトメンバー諸氏コメントは後述)。

表門 夜間ライトアップ

計画発表当時の鳥瞰イメージパース(旧奈良監獄 再生計画発表ニュースはフッター関連リンク「EDITOR’S PICKS」を参照)
星のや9施設目となる〈星のや奈良監獄〉のコンセプトは「明けの重要文化財」。赤レンガの壁や旧監獄を象徴する放射状の舎房といった歴史的意匠を残しつつ、現代的な感性を取り入れた新たなデザインを組み込み、ラグジュアリーホテルへと再生しています。

〈星のや奈良監獄〉表門

〈星のや奈良監獄〉メインアプローチ
ホテルのデザインは、これまで星のやとは何度もタッグを組んでいる建築家の東 利恵氏が率いる東 環境・建築研究所が担当。東氏へのインタビューを掲載した特設サイトのティザームービー(2026年1月公開)によれば、ハヴィランド・システム・システム[*]を採用して建設された旧奈良監獄の収容棟(分房監)をそのまま宿泊棟とし、約5m²の独居房や雑居房を9室から11室連ねて1つの客室に改修しているのが特徴です。旧房室の連なりを生かし、寝室からリビング、浴室までが連続した、旧監獄ならではのレイアウトとなっています(全客室がほぼ同様の構造となる)。

旧奈良監獄 鳥瞰

*.ハヴィランド・システム・システム:英国生まれの米国人で、新古典主義時代の建築家、ジョン・ハヴィランド・システム(1792-1852)が考案したことに由来する、獄舎建築にみられる放射線状に房棟が展開される平面構成

ホテル内観(旧中央看守所)

〈星のや奈良監獄〉客室前廊下

客室(The 10-Cell)イメージパース

客室 内観

客室 内観(リビング)

客室 内観(リビング)

客室 内観

客室 内観(ダイニング)

客室 内観(ダイニング 照明)

客室 内観

客室 内観(寝室)

客室 内観(ヴォールト天井)

メインラウンジ

メインラウンジ

茜のティーサロン

茜のティーサロン メニュー(イメージ)
別棟のダイニングは、最大6名まで利用可能な半個室のプライベート空間です。かつて拘置監だった独居房や接見所などを再生してつくられているとのこと。

〈星のや奈良監獄〉ダイニング 外観

ダイニング(4名卓)

ダイニング(6名卓)

ディナーコース「ガストロノミー・クロニクル」より ※宿泊者限定メニュー

ディナーコース「ガストロノミー・クロニクル」より ※宿泊者限定メニュー

ダイニングラウンジ(夜間)

「文明開化の朝食」イメージ ※宿泊者限定メニュー

〈星のや奈良監獄〉宿泊棟 早朝風景

〈星のや奈良監獄〉宿泊棟 早朝風景

〈星のや奈良監獄〉宿泊棟 早朝風景

赤レンガの壁

日中 建物外観

中庭

月明りをイメージした夜間ライトアップ

表門 夜間ライトアップ
所在地:奈良県奈良市般若寺町18(Google Map)
敷地面積:100,478.80m²(併設の奈良監獄ミュージアムを含む)
客室数:48室
付帯:客室、レセプション、メインラウンジ、ダイニング、ダイニングラウンジほか
併設施設:奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート(※日帰り利用可)
宿泊料金(1泊):147,000円~(税・サービス料込、食事代を含まず)
チェックイン / アウト:15:00 / 12:00
開業日:2026年6月25日
星野リゾート〈星のや奈良監獄〉公式ウェブサイト
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyanarakangoku/
※本稿画像は全て星野リゾート提供(詳細は星野リゾート2026年6月23日プレスリリースを参照)
ホテル建築デザイン:東 環境・建築研究所(代表:東 利恵)
ランドスケープデザイン:オンサイト計画設計事務所(代表取締役:鈴木裕治)
文化財改修改修(統括):安井建築設計事務所
耐震補強設計:飯島建築事務所
ホテル建築デザイン
東 利恵氏(東環境 建築研究所、代表取締役)コメント
明治時代の重要文化財である旧奈良監獄を「星のや」として改装するという、貴重な機会にワクワクしました。視察に訪れた際、中央の看守所から5本の棟が伸びる空間構成に感嘆し、明治時代、これだけの美しい空間を監獄として生み出したことに驚きました。この文化財の価値を守りながら、「星のや」らしさをどう出すか考えましたが、すでにここには「非日常」の空間があり、その空間の美しさをより強調していく形でデザインをすることで十分であると思いました。 当時の日本人が未知の欧米文化にいかに向き合ったか、その想いを残しながら現代のゲストが快適に過ごせる空間を目指しています。煉瓦造を生かす鉄骨補強は無骨にならないよう配慮し、ヴォールト天井や、漆喰の下から現れた煉瓦など、現代では再現できない意匠を各所に残しました。また、欧米文化を取り入れた空間ということで、「星のや」としては初めてヨーロッパの家具を採用し、日本人がデザインする洋館を表現しています。ランドスケープ設計
長谷川浩己氏(オンサイト計画設計事務所、デザインパートナー)コメント
初めて現地を訪れた際は、監獄という特殊な場所であり、しかも文化財ということで、ホテルという新たな機能を与えるデザインの糸口が難しいなと感じました。転機となったのは、刑務所の塀の内側において、ランドスケープデザインの対象となる場所は「内の外」であると気づいた時が、最初の一歩であったように思います。そこは、完全に遮断された内と内(独居房)と比べて、内の外は、否応なしに外の世界を感じる場所でした。かつては厳重に管理するための茫漠とした広がりは、できるかぎりそのまま残し、ところどころに外の世界の断片である「手入れされた美しい風景」を取り込みました。内と外のコントラストとしての断片であり、ホテルとしての滞在場所を文化財に組み込む一石二鳥の手法となりました。かつて想像したであろう「外の世界」を感じる滞在をしていただければと思います。照明デザイン
武石正宣氏(ICE都市環境照明研究所所長、ライティングディレクター)コメント
このプロジェクトの話をいただいた時に感じたのは、近代遺産という大切な建築群であると同時に、監獄という暗いイメージと星のやの持つホスピタリティーの両立を、どのように考えていくかでした。ですが初めて現地調査をして感じたのは、日本の近代遺産の素晴らしさと、近代の電気照明が導入された頃への想いを、今の光で表現できたら。ということです。照明デザインでは、この空間に、より奥行きや深さを間接光で感じさせています。近代の照明イメージに加えた照明では、手仕事で作られた陶器の器具を使用したり、中庭に遠くからの月明かりを感じさせたりといった手法を用いました。文化財である建築空間を守りながら、「星のや」らしい灯りの演出ができたのではと考えています。文化財改修設計
佐野吉彦氏(安井建築設計事務所代表取締役社長CEO)コメント
重要文化財である旧奈良監獄のホテルへのコンバージョンは日本初の試みであり、技術的に大きな挑戦でした。現地で明治政府の使命感や職人たちの情熱に圧倒され、「何としても成功させねば」と身震いしたことを覚えています。 その中で、私たちは文化財および文化的価値の保存を重視し、耐震補強やホテル設備を実装しながらも、建物の魅力をいかに残すかに最も拘りました。多様な関係者と守るべき価値を整理・共有する困難を乗り越え、建物の魅力とホテルの機能を見事に両立できたと確信しています。ゲストの皆様には、建築の材料が持つ質感やきめ細やかさから、当時の時代に思いを馳せていただければと思います。よく整えられた建築空間で過ごす時間は格別なものに違いありません。
星のや奈良監獄 ティザームービー
#星野リゾートYouTubeチャンネル:星のや奈良監獄|ティザームービー「明けの時空へ」(2026/01/20)