CULTURE

自然を取り込みCO2を削減する超高層木造建築

SHoPアーキテクツが設計した 環境への責任と都市的なビジョンを併せ持つ「マスティンバー」建築〈アトラシアン本社〉

CULTURE2022.10.12
〈アトラシアン本社(Atlassian Headquarters)〉

©︎ SHoP Architects

オーストラリア・シドニーにて計画されている〈アトラシアン本社(Atlassian Headquarters)〉は、完成すれば木造の商業用建築としては世界一の高さとなる大規模木造建築です。

木材を建築の構造として大規模に採用することで炭素を隔離する「マスティンバー建築」であり、スチール製の外皮との間に構成されたオープンガーデン・スペースや可動式のファサードにより機械的な空調設備を必要とせず、10年間でCO2排出量を50%削減することが可能なサステナブルな建築です。

ニューヨークを拠点に活動し、世界的にさまざまなプロジェクトを手掛ける建築事務所SHoPアーキテクツ(SHoP Architects)が設計しました。

(以下、SHoP Architectsから提供されたプレスキットのテキストの抄訳)

©︎ SHoP Architects

環境への責任と都市的なビジョンを併せ持つ「マスティンバー」建築

〈アトラシアン本社〉は、ソフトウェア企業アトラシアンの掲げるコアバリュー「サステナビリティ」と「ワークプレイスカルチャー」を反映するように設計されている。

このタワーは、木造の商業用建築としては世界一の高さを誇り、木材を建築の構造として大規模に採用することで炭素を隔離する「マスティンバー建築」において最先端を行くものである。

マスティンバー:複数の木材を組み合わせて圧縮強度と張力強度を向上させた集成材のこと。中大断面集成材、CLT(クロス・ラミネイテッド・ティンバー)、NLT(ネイル・ラミネイテッド・ティンバー)などが含まれる

〈アトラシアン本社(Atlassian Headquarters)〉

©︎ SHoP Architects

この新たな建物は、現在敷地内に建つユースホステル、歴史的な鉄道小屋への新たな公共アクセス、十分な市民スペースやアメニティ、選りすぐりの小売店を統合し、完成時には数千人のテクノロジーワーカーの本拠地となる。

タワーは、6つの独立しつつ相互接続された「ハビタット(「生息地」を意味する)」により構成されている。4階建てのハビタットが連なる、自立したマスティンバー建築であり、スチール製の外皮に包まれている。

〈アトラシアン本社(Atlassian Headquarters)〉

©︎ SHoP Architects

各階には、屋外庭園のような自然換気エリアが設けられている。

これらのオープンガーデン・スペースは、タワーの優れた環境イノベーションや、人間の活動が環境に与える負荷を資源の再生産や廃棄物の浄化に必要な面積として示した「エコロジカル・フットプリント」削減の鍵となるものである。

可動式のファサードとすることでシドニーの温暖な気候を活かし、各階の広い床面積を機械的な空調設備なしで機能させることができる。この革新的なファサードは、マスティンバーの斬新な使用と相まって、10年間でCO2排出量を50%削減することが可能である。

〈アトラシアン本社(Atlassian Headquarters)〉

©︎ SHoP Architects

〈アトラシアン本社〉は、歴史的なセントラル駅周辺に広がるシドニーのテクノロジー地区を象徴し、中心的な存在となる予定である。

ウェルネス、プレイスメイキング、環境イノベーション、そして秀逸なデザインを組み合わせたこのタワーは、気候危機と市民の団結という2つの課題に取り組む上で、他のグローバル都市が従うべき新たなモデルとなるものである。

〈アトラシアン本社(Atlassian Headquarters)〉

©︎ SHoP Architects

〈アトラシアン本社(Atlassian Headquarters)〉

©︎ SHoP Architects

以下、SHoP Architectsのリリース(英文)です。

The Atlassian Headquarters in Sydney combines environmental responsibility with urbanistic vision.

The tower is designed to reflect Atlassian’s core values around sustainability and workplace culture. It will be the tallest commercial hybrid timber tower in the world and is at the leading edge in its application of carbon sequestering mass-timber construction. The new building will be home to a beloved youth hostel currently on the site, new public access to a preserved historic train shed, ample civic space and amenities, select retail and thousands of technology workers when complete.

The tower is organized as six discrete but interconnected “habitats.” Each four-level habitat is a freestanding mass-timber construction supported within the efficient steel exoskeleton. A naturally ventilated zone, akin to an outdoor garden, is located at each level.

The open garden spaces are key to the tower’s exceptional environmental innovation and diminished ecological footprint. Taking advantage of Sydney’s temperate climate, the operable facades allow large areas of each floor to function without mechanical cooling and air handling. Together with the novel use of mass timber, the innovative facade enables the project to reduce carbon emissions by 50% over a ten year period.

The tower will be the icon and anchor of Sydney’s developing technology district in the area around historic Central Station. The combined focus on wellness, placemaking, environmental innovation and overall design excellence marks the tower as a new model for other global cities to follow in addressing the dual challenges of the climate crisis and civic cohesion.

「Atlassian Headquarters」SHoP Architects 公式サイト

https://www.shoparc.com/projects/atlassian-hq/

 

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