CULTURE

隈研吾氏が手がけるゼロエネルギーホテル〈ITOMACHI HOTEL 0〉

愛媛県西条市に建設中の新街区〈いとまち〉に今春オープン予定

CULTURE2023.01.19

愛媛県西条市に、ゼロエネルギーホテル〈ITOMACHI HOTEL 0〉が2023年春に開業。建物の設計を、建築家の隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が担当しています。

〈ITOMACHI HOTEL 0〉は、その運営において、実質的に電力エネルギーを消費しない「ゼロエネルギーホテル」として計画されました。
環境省が定める最高ランクの「ZEB」の認証[*1]を開業前に取得。省エネルギーと創エネルギーの機能の2つを建物に備えることで、実質的な電力消費ゼロを可能としています。
ホテルの企画・運営を担当するGOODTIME(代表:明山淳也)のプレスリリース(2023年1月18日付)によれば、日本のホテルでは初とのこと。

環境省資料

建物用途別のエネルギー消費量において、ホテルは床面積あたりの電力使用量が飲食店に次いで2番目に高いことを示す資料(環境省資料より)

環境省資料

「ZEB」実現と展開イメージ(環境省資料より)

〈ITOMACHI HOTEL 0〉は、愛媛・西条のまちにおいて新たなにぎわい創出を目指し、2020年に開業した新街区〈いとまち〉の敷地内に建設されます。
西条市の風景からインスピレーションを得た建築は、低層の3棟からなり、棟をつなげるように大屋根をわたし、西条市のシンボルである石鎚山(いしづちさん)の山並みを表現したデザインです。

また、ホテルが建設される〈いとまち〉の既存施設においても、同様に「ZEB Ready」認証を取得しています。糸プロジェクト[*2]の第1弾としてオープンしたマルシェをはじめ、既存のレストランでは、敷地内で生み出された電力を活用しながら運営されています。

エネルギーの地産地消、「RE100」[*3]の実現に向けた取り組みも行われており、マイクログリッド(小規模電力網)が確立された街区計画となっているのも特徴で、災害発生時は3日間・約800名分の非常用電源・水・食を提供できる防災拠点としても機能します。

今後も「エネルギー・テクノロジー・グリーンインフラ・食・建築」をテーマに、まち全体で進化していく計画です。

愛媛県西条市〈いとまち〉全体イメージ図

愛媛県西条市〈いとまち〉全体イメージマップ ※今後の開発予定施設を含む

一部がすでに開業している〈いとまち〉は、敷地内をつらぬく御舟川を挟んで、西側の住宅ゾーンと東側の商業ゾーンで構成されます。
住宅ゾーンには、2017年に実施された「伊予西条 糸プロジェクト 住宅設計コンペティション」(審査委員長:隈 研吾|主催:糸プロジェクト実行委員会)にて選出された、9組の建築家による住戸案が発表されています(詳細:コンペ後援:新建築社特設ページ)。

商業ゾーンには、今回概要が発表されたゼロエネルギーホテル〈ITOMACHI HOTEL 0〉のほか、これから温浴施設や和食レストランなどがオープンする予定です。

ゼロエネルギーホテルは、訪れた人々に近未来なまち全体を楽しんでもらえる「まち泊」を提供する施設となり、西条市に新たな活気を生み出し、出西条市の関係人口拡大にも寄与することを目指しています。

ホテル施設概要

名称:ITOMACHI HOTEL 0(読み:いとまちホテルゼロ)
所在地:愛媛県西条市朔日市字兵衛田250番7(地番)
建物規模:地上2階(南棟)/ 地上1階(北棟/東棟)
延床面積:2,999m²(907坪)
付帯施設:レセプションカフェ、キッチン付きコワーキングスペース、多目的スタジオ、ランドリー
客室数:57室(南棟50室、北棟7室)
カフェ席数:35席
開業時期:2023年5月(予定)

事業主:アドバンテック
企画・運営:GOODTIME
建築設計:隈研吾建築都市設計事務所
インテリア・ランドスケープデザイン:Dugout Architects
照明デザイン:spangle

ITOMACHI HOTEL 0 公式インスタグラム
https://www.instagram.com/itomachihotel0/

〈いとまち〉公式ウェブサイト
http://ito-pj.town/


*1.ZEB(ゼブ):Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称。建物において、快適な室内環境を実現しながら、年間で消費する一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を指す(環境省ウェブサイトより)
https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/index.html

*2.「糸プロジェクト」:愛媛県西条市に2020年にオープンした〈いとまち〉に集まる人びとのための参加型プロジェクト。「エネルギー」「テクノロジー」「グリーンインフラ」「食」「建築」をキーワードに、東京大学隈研吾研究室(開業準備段階当時)によるマスタープランをもとに、遊びやすく暮らしやすい自然あふれるまちづくりを目指している。

*3.RE100:「Renewable Energy 100%」の略称
詳細:環境省ウェブサイト https://www.env.go.jp/earth/re100.html

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