CULTURE

藤本壮介氏が設計した太宰府天満宮の仮殿が完成

御帳と几帳のデザインをMame Kurogouchi(マメ クロゴウチ)が担当

CULTURE2023.05.13

2023年5月13日初掲、14日内外観画像とメイキング動画を追加

福岡の太宰府天満宮にて、124年ぶりとなる本殿の大改修に伴い、改修期間に建設された「仮殿」がこのほど完成しました。
本殿の前の敷地で今年2月に着工し、当初の予定どおりに約3カ月半で竣工したもので、5月12日にはメディアに向けて内覧会も開催され(下の画)、5月13日には仮殿遷座祭も執り行われます。

〈太宰府天満宮 仮殿〉内覧会

中央の人物:仮殿完成メディア先行内覧会で挨拶する太宰府天満宮 第40代宮司 西高辻󠄀 信宏氏(2023年5月12日)

3年間限定での使用となる〈太宰府天満宮 仮殿〉のデザインと設計を、藤本壮介建築設計事務所が担当しています。

藤本壮介建築設計事務所〈太宰府天満宮 仮殿〉

〈太宰府天満宮 仮殿〉外観
太宰府天満宮周辺に広がる豊かな自然が本殿前に飛翔し、仮殿としてのたたずまいをつくり上げることをコンセプトに、屋根に青々とした森が藤本壮介氏のデザインによって出現

 

〈太宰府天満宮 仮殿〉外観

〈太宰府天満宮 仮殿〉外観

藤本壮介氏コメント
「設計の依頼をいただいてから2年以上の時を経ての仮殿の完成となります。
太宰府天満宮の持つ長い歴史と伝統を受け止めることから始まり、現状案にたどり着くまでにさまざまな検討を積み重ねていきました。
1100年以上の歴史に現代建築が応えられるのかという大きな問いを前にして、自分の持つ全てを振り絞って設計にあたりました。
3年という限られた期間ではありますが、道真公のための森のような屋根を通じて飛梅伝説や歴史と繋がったり、美しく豊かな自然を感じたり、ここに訪れる多くの人々の記憶に強く残るような、風景になればと思っています。」

藤本壮介(ふじもと そうすけ)近影

©David Vintiner

藤本壮介氏プロフィール
1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年に藤本壮介建築設計事務所を設立。
2014年フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞(ラルブル・ブラン)に続き、2015、2017、2018年にもヨーロッパ各国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。国内では、2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)の会場デザインプロデューサーを務める。
主な作品に、〈House N〉(2008年)、〈House NA〉(2011年)、〈武蔵野美術大学 美術館・図書館〉(2010年)、ロンドン〈サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013〉(2013年)、〈L’Arbre Blanc〉(2019年)、〈白井屋ホテル〉(2020年)、〈マルホンまきあーとテラス 石巻市複合文化施設〉(2021年)、ブダペスト〈House of Music〉(2021年)などがある。進行中のプロジェクトとして、飛騨市「Co-Innovation University(仮称)キャンパス」、公募型プロポーザルで最優秀に選出された「大分空港海上アクセス旅客ターミナル」(藤本壮介建築設計事務所・松井設計設計業務委託共同企業体などがある。
http://www.sou-fujimoto.net/

2022年11月22日に発表された「仮殿」計画概要

藤本壮介氏が太宰府天満宮の仮殿を設計、屋根に“森”を出現させるデザインで2023年5月完成予定

仮殿 竣工までのダイジェスト動画(提供:太宰府天満宮)※音声なし、再生時間100秒

〈太宰府天満宮 仮殿〉内観

〈太宰府天満宮 仮殿〉内観

仮殿のために仕立てられた御帳(みとばり)と几帳(きちょう)の製作でも、当代を代表するクリエイターが参加しました。ファッションブランド・Mame Kurogouchi(マメ クロゴウチ)を率いる黒河内真衣子氏がデザインを手がけています。

藤本壮介建築設計事務所〈太宰府天満宮 仮殿〉

〈太宰府天満宮 仮殿〉内観

〈太宰府天満宮 仮殿〉内観

〈太宰府天満宮 仮殿〉内観

向かって右側の几帳(きちょう)

藤本壮介建築設計事務所〈太宰府天満宮 仮殿〉

向かって左側の几帳(きちょう)

〈太宰府天満宮 仮殿〉内観

手前:几帳、奥:御幌(みとばり)

藤本壮介建築設計事務所〈太宰府天満宮 仮殿〉

「御帳」「几帳」デザインコンセプト
文化芸術の神さまである天神さまを祀り、また文化芸術の発信地として、太宰府天満宮が紡いできた歴史からインスピレーションを受け、現代の織機を用いながら、古代染色などの古来の手法と融合させ、令和(れいわ)の今でしかつくれない生地が生まれました。
「御帳」には、天満宮を象徴する梅の木が全面にあしらわれ、色・柄ともに左右に向かって美しいグラデーションをなす構図が、天満宮全体がもたらす生命の広がりを表現しています。
「几帳」に用いられたシルクには、境内で採集された梅と樟の枝や、貴重な紫根を用いた古代染色が施されており、現代を象徴する化学繊維と共に織り上げられています。流れるような糸の”飛ばし”が特徴的な織りは、デザイナーの黒河内真衣子氏が体感した、境内に降り注ぐ生命の雨をイメージしたとのこと。梅や菖蒲をはじめとする、境内に咲く草花といった要素と共に、生地の上でこれらが融合することで、天神さまと天満宮の歴史が未来へと向かって織り上げられています。

黒河内真衣子氏 近影黒河内真衣子氏プロフィール
長野県生まれ。2010年に黒河内デザイン事務所を設立。自身のブランド「Mame Kurogouchi」をスタート。2018年秋冬コレクションよりパリファッションウィークで発表を行う。2023年には旗艦店Mame Kurogouchi Aoyamaがオープン。
https://www.mamekurogouchi.com/

黒河内真衣子氏コメント
「図案や素材には、天満宮を象徴する梅のモチーフのほかに、太宰府天満宮の宮司を代々務めてきた西高辻󠄀家の記憶を込めています。
境内の中に、特に大きな樟の大木があります。落雷を受けて、根元に大きな穴があいているのですが、その穴の中に入らせていただいたことがあります。その際、当代(代40代)宮司の西高辻󠄀信宏さんから、幼少期にこの大木の穴でかくれんぼをしていたという話を伺いました。そんな時に突然、雨が降ってきて、私はその中で雨宿りをしたのですが、まるで生命の膜に守られているような強い印象を抱きました。西高辻󠄀さんがその中で過ごした時間に想いを馳せ、その大木の中から見える景色と、天満宮全体を包む生命の景色を描きたいと思い、今回のデザイン画の筆を走らせました。」

太宰府天満宮 本殿

太宰府天満宮 本殿外観

太宰府天満宮
所在地:福岡県太宰府市宰府4丁目7-1(Google Map

公式ウェブサイト
https://www.dazaifutenmangu.or.jp/

SNS
https://twitter.com/dazaifutenmangu/
https://www.instagram.com/dazaifutenmangu.official/
https://www.facebook.com/dazaifutenmangu.official/

太宰府天満宮「仮殿」完成プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000112058.html

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