CULTURE

BIGによる時計の製造プロセスを示す螺旋状の建築

世界的時計メーカーの創業地でその歴史と製品、製造工程を見せる〈ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ〉

CULTURE2024.03.22

© Iwan Baan

© Iwan Baan

〈ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ(Musée Atelier Audemars Piguet)〉、1875年から続くスイスの時計メーカー オーデマ・ピゲの創業の地で、その製品を展示しつつ工房もあわせもつミュージアムです。

ガラスの壁に覆われた螺旋状の建築は、「小型化」、「スケルトン化」、「複雑化」という時計の製造工程から着想したアプローチを採用して設計されています。ビャルケ・インゲルス(Bjarke Ingels)率いるビャルケ・インゲルス・グループ(Bjarke Ingels Group、以下BIGと表記)が設計しました。

(以下、BIGから提供されたプレスキットのテキストの抄訳)

Image Courtesy of Audemars Piguet

© Iwan Baan

〈ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ〉は、時計のゼンマイを思わせる螺旋状の建物であり、全体が曲面ガラスの壁で覆われている。

この現代的な螺旋の建築は、1992年から2019年までミュージアムとして使われていたオリジナルのアトリエの側面に位置している。歴史的建造物のヴァナキュラーな建築様式は、アーカイブ資料の徹底的な調査に基づいて完全に復元された。

© Clara Tuma

© Clara Tuma

© Clara Tuma

世界的時計メーカーの創業地で、その歴史と製品、製造工程を見せるミュージアム

伝統と革新が融合した〈ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ〉のデザインは、オーデマ ピゲの歴史が始まったジュウ渓谷のル・ブラッシュにて、オーデマ ピゲの歴史と時計がどのように製造されているのか探求する、またとない機会を来館者に提供する。

〈ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ〉は、時計仕掛けのフォルムとコンテンツの融合からインスピレーションを得ている。それは時計のコイルのようなものであり、ギャラリーを訪れる人々や時計職人たちが構造物と共に周期的に動くよう、永遠に時を刻み、進み続ける。

© Iwan Baan

© Iwan Baan

すべての要素は展示の機能的な要件に従いつつも、1つのジェスチャーで考え出された彫刻のようにも見える。

全面ガラス張りの構造体は、既存の景観にシームレスに溶け込む2つの螺旋で構成されている。約300点の時計が展示されているミュージアムのコレクションは、2つの製作工房とともに展示され、生きたミュージアムをつくり出している。

© Alex Filz

© Alex Filz

来館者は、ミュージアムの曲面ガラスの壁の中で時計職人たちの作業を見学し、彼らの専門技術を直接体験することができる。

建物を一周すると、豊富な時計コレクションがオーデマ・ピゲと渓谷の時計製造の歴史を照らし出す。螺旋の中心には、オーデマ ピゲの最も複雑な時計が展示されている。

螺旋には2つの工房もあり、伝統的な時計の概念にとらわれず、エレガンスとパワーを表現した上品な「ハイジュエリー コレクション」や、1人の時計師が完成まですべての工程を担当し、6〜8か月という時間をかけて648個の部品を組立・調整する「グランド コンプリカシオン」が製造されている。

Image Courtesy of Audemars Piguet

© Iwan Baan

時計の製造工程から着想した螺旋状の建築

建物には、要素を可能な限り小さくする「小型化」、使われていない素材をすべて取り除くことで、オブジェクトがワイヤーフレームのようになる「スケルトン化」 そして、最小限のスペースに可能な限り多くの機能を搭載する「複雑化」という、時計製造の技術からヒントを得たアプローチを採用した。

この建物は、エネルギー効率と高品質の建設という点で、スイスを中心に採用されている、新築および改装された低エネルギー消費の建物の登録品質ラベル「Minergie」の要件を満たしている。

© Iwan Baan

© Iwan Baan

© Iwan Baan

© Iwan Baan

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Plan

Elevation

以下、BIGのリリース(英文)です。

Musée Atelier Audemars Piguet is a spiral-shaped pavilion, reminiscent of the spring in a timepiece movement, entirely supported by curved glass walls. The contemporary spiral flanks the original workshop where the Audemars Piguet story began in 1875 and where an earlier version of the museum was housed from 1992 to 2019. The vernacular architecture of the historical building has been fully recovered based on a thorough study of archival materials.

With a design that marries tradition and innovation, the Musée Atelier Audemars Piguet offers visitors a unique opportunity to delve into the history of watchmaking in the Vallée de Joux and explore how the brand’s timepieces are crafted in Le Brassus.

Musée Atelier Audemars Piguet is informed by the convergence of form and content in clockwork. It is conceived like the coils of a watch, ticking and advancing in perpetuity like the gallery visitors and watchmakers moving cyclically with the structure. Every element is governed by the functional requirements of the exhibition while appearing as a sculpture conceived in a single gesture. The all-glass structure is made up of two spirals that seamlessly integrate into the existing landscape. The museum’s collection, which showcases some 300 timepieces, is displayed alongside two in-situ production workshops, creating a living museum.

Visitors can observe watchmakers working within the curved glass walls of the museum and experience their expertise first-hand.

As viewers circle the building, the rich collection of watches illuminates the history of Audemars Piguet and of watchmaking in the valley. The visit culminates at the center of the spiral with the display of some of the Manufacture’s most complicated watches. The spiral also includes two workshops, where Haute Joaillerie creations and Grandes Complications are crafted.

With the materials, more is less – an approach that takes inspiration from the art of watchmaking: miniaturization, making the elements as small as possible; “skeletonization,” excavating or subtracting all the unused material so the object becomes like a wireframe; and complication, loading as many functions as possible in the smallest amount of space.

The building fulfils the latest Swiss Minergie® requirements in terms of energy efficiency and high quality construction.

「Musée Atelier Audemars Piguet」BIG 公式サイト

https://big.dk/projects/musee-atelier-audemars-piguet-2884

 

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