建築に携わる者でないと判読が難しい専門用語のひとつ、矩計(かなばかり / 「くけい」とも読む)。国土交通省が定める建築工事設計図書のうち、実施設計の段階で要とされる図面の1つで、基本設計で用意する断面図に比べて情報量が圧倒的に多いのが特徴です。
本書は、この矩計図(かなばかりず)に特化したもので、16組の建築家がそれぞれ自身のプロジェクトを1つ挙げ、通常は関係者以外が目にすることのない矩計図を披露してプロジェクトを紐解き、矩計に関する持論もあわせて展開しています。
手塚貴晴(手塚建築研究所)
「矩計は大学で教わらない図面である。というより、教えようがない図面である。」貝島桃代(アトリエ・ワン)
「矩計図=解体図は、形をふるまいから読み解く手引きである。」中村拓志(NAP建築設計事務所)
「世界を垂直に切るのか、水平に切るのか。そしてそれを俯瞰するのか、微視するのか。」(以上、本書に収録された3組の建築家によるテキストの一部抜粋、カッコ内は単独ないし共同で率いる設計事務所名)
目次
・内藤 廣:福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館、矩計図とは書物の物語に付属する注釈
・アトリエ・ワン(塚本由晴+貝島桃代+玉井洋一):ハハ・ハウス、矩計図とは形をふるまいから読み解く手引き
・新居千秋:大船渡市民文化会館・市立図書館/リアスホール、私は矩計を書いたことがあったか
・古谷誠章:鹿島市民文化ホール SAKURAS、建築を構成する部分と、その統合
・手塚貴晴+手塚由比+矢部啓嗣:新島学園短期大学講堂 新島の森、矩計図というものは難しい
・中村拓志:上野東照宮神符授与所/静心所、平面図の罪
・小堀哲夫:ROKI Global Innovation Center −ROGIC−、身体的に縦寸法を押さえ、矩計図が語りかけること
・乾 久美子:宮島口旅客ターミナル、矩計は見るものである以上に書くものである
・藤原徹平:クイックフィールズ シフォン/ダイニング、図の表現の問題を超えて
・前田圭介:make SPACE、美意識を喚起させる細部と構成
・武田清明:鶴岡邸、建築そして環境を描く
・伊藤博之:天神町place、グラデーショナルにスケールを横断して考える
・川口通正:月明と数寄、矩計図とは建築に命を吹き込む図面
・八島正年+八島夕子:軽井沢の小さな家、空間の見える矩計
・森 清敏+川村奈津子:立川ANNEX ‒倉庫×家、一度に多くの情報を共有できる実に面白い表現方法
・五十嵐敏恭:具志頭の工房、矩計図とは建築の質を正しく示すための図面
著者:内藤 廣、アトリエ・ワン(塚本由晴+貝島桃代+玉井洋一)、新居千秋、古谷誠章、手塚貴晴+手塚由比+矢部啓嗣、中村拓志、小堀哲夫、乾 久美子、藤原徹平、前田圭介、武田清明、伊藤博之、川口通正、八島正年+八島夕子、森 清敏+川村奈津子、五十嵐敏恭
発売日:2025年2月
判型:A4(オープンバック製)
総頁数:160ページ
ISBN:978-4-7661-3970-9
価格:3,850円(税込)
版元:グラフィック社
刊行年月:2025年2月
本書詳細 / グラフィック社ウェブサイト
https://www.graphicsha.co.jp/detail.html?cat=9&p=58604