EXPO2025 大阪・関西万博の「シグネチャープロジェクト」は、8 人のプロデューサーが主導する8つのパビリオンを起点に展開されます。これら「シグネチャーパビリオン」や「シグネチャーイベント」を通じて、「リアルとバーチャルをインクルージョンした多様な体験により、訪れるすべての人々が『いのち』について考え、その概念をアップデートする場所」(大阪・関西万博公式ページより)となるものです。
EXPO2025 大阪・関西万博 テーマ事業「いのちを磨く」のシグネチャーパビリオン〈null²〉(ヌルヌル)は、メディアアーティストの落合陽一氏がプロデュース。NOIZ 豊田啓介氏が建築デザインを担当しています。
ヌルヌルと動く伸び縮みする鏡(ミラー)で構成されるパビリオンは、特殊な鏡面膜で構成された大小の立方体が集まり、内部のロボットアームにより歪む立方体が「変形しながら風景をゆがめる彫刻建築」を体現しています。
外観 / ©Yoichi_Ochiai
建築デザインコンセプト
素材開発から生まれた特殊なミラー外装膜に覆われた巨大な構造物は、質量と映像の境界を超えて有機的にヌルヌルと変形し、周囲の風景や訪れる人々を歪ませ、刻々と変容する未知の世界を生成する彫刻的建築である。それは現実そのものを計算機自然の視点から再解釈し、視覚的かつ身体的な体験を通して、私たちを存在と非存在、主体と環境の境界を融解させる詩的で哲学的な空間へと誘う。
体験イメージ
内観 / ©Yoichi_Ochiai
無限反射空間(ミラー空間)の構築
●鏡面反射を極限まで多用することで、自己と世界、内と外が無限に連鎖的に反射し、自己言及的なウロボロス的空間を創出する。
●鏡を通じた身体の無限増殖と自己の溶解体験を演出し、主体が複数化し、主体性そのものが解体される感覚を引き起こす。
シアター内観 / ©Yoichi_Ochiai
シアター内観 / ©Yoichi_Ochiai
プロデューサーが語る「パビリオンの推しポイント」
我々のパビリオンはデジタルネイチャー、計算機と自然が融合したこの世界がいったいどんなふうになって、我々人間はどんなふうに変わっていくんだろうということをテーマにしています。
たとえばAIがこの世界に入ってきたことで、人間とAIってどう違うんだろうか、AIがいろんな仕事をしたり、考えることを人間の代わりにするようになったとき、我々はどういうことをして過ごしていくんだろう、ということを考えるようなパビリオンになればと思っています。
パビリオンは万博のような機会でしかつくれないものとして、全体が鏡でできた大きな彫刻になっており、鏡が伸びたり縮んだり動いたりする建築物です。外は鏡の彫刻のような展示、内側はおそらく日本でも最大級のLEDのシアターになっています。そこでは現実とデジタルとの境界線があやふやになり、自分のコピーであるMirroredBody®、自分のコピーとなるAIと対話するシアター体験になっています。来場するみなさんには自分のコピーになるAIを持ち帰って家でしゃべってもらったり、自分とAIがどう違うんだろうとしっかり考えてもらう機会になればと思います。
パビリオンは外から見てもきれいですが、中に入るともっと不思議な体験が待っているので、ぜひご来場いただければと思います。(完成披露・合同内覧会 会見より)
トップ写真撮影:team tecture mag
※ 特記なきグレー囲み内のテキスト、コメントおよびクレジットのない写真については、「シグネチャーパビリオン8館完成披露・合同内覧会」オフィシャル素材より