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[大阪・関西万博]国内パビリオン紹介_ガスパビリオン

日建設計が設計した〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉

[大阪・関西万博]国内パビリオン紹介

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パビリオンDATA

  • 設計
    日建設計
  • エリア
    西ゲートゾーン
  • テーマ
    化けろ、未来!


ガスパビリオンの見どころポイント!

  • ガスの炎のような最大高さ約18mの三角形の建物形状
  • 新規放射冷却膜材「SPACECOOL」の実証実験を兼ねた実装
  • 仮設山留用リース鉄骨を採用した構造フレーム

「化ける」をテーマに、 未来の環境貢献技術を生み出すパビリオン

JGA(一般社団法人日本ガス協会)が出展するガスパビリオンの計画。「化けろ、未来」をテーマに、おばけのキャラクターが案内するXRアトラクション体験を通して、メタネーション技術をはじめとするガス業界の環境への取り組みを発信する。

ガスパビリオン

Photo: Yohei Sasakura

このパビリオンの計画では、多様な情報発信の場をもつ現代において、エネルギー会社が万博パビリオンを出展する意味をクライアントと改めて問い直し、「ここでしか味わえない記憶に残る体験を提供する、XR(MR / VR)映像を拡張するパビリオンならではの特徴的な空間」と「万博への出展自体が未来環境に寄与する、環境技術更新につながるパビリオン」の両立が、このパビリオンには不可欠であると考えた。

この実現に向け、未来環境に貢献する2つの新たな素材・工法のパビリオンへの試験導入と、その技術の効果を活かすことで生まれる新たな非日常のパビリオン空間を目指した。

放射冷却膜の性能を活用する三角形の建物形状

大阪ガス発のスタートアップ企業が手掛ける新規放射冷却膜材「SPACECOOL」(B種膜)の、実証試験を兼ねた建築外装への実装がその1つだ。この材料は高い日射反射性能をもつとともに、膜周辺の熱エネルギーを大気の窓といわれる透過性の高い波長域(8~13μm)の光エネルギーに変化(化け)させ放出する放射冷却性能を有し、膜材表面温度を常に周辺温度以下に保つことができる。本計画での性能確認ができれば、未来の環境に大きな貢献が期待される素材である。

この膜材の性能を最大限活用すべく、このパビリオンでは三角形断面の建物形状により、内部の熱を建物上部から膜を通じて効率的に排出するとともに、床吹き出しの居住域空調方式との併用により、省材料・省エネルギーでパビリオンならではの特徴的な大空間を実現した。

ガスパビリオン

Photo: Yohei Sasakura

膜とリース鉄骨材の留め付けディテール

膜とリース鉄骨材の留め付けディテール / 提供:日建設計

「SPACE COOL」性能概念図(左)と空調シミュレーション(右)提供:日建設計

左:「SPACE COOL」性能概念図 / 提供:SPACECOOL株式会社、右:空調シミュレーション / 提供:日建設計

ガスパビリオン(膜のディテール)

Photo: Yohei Sasakura

ガスパビリオン

プレ展示室 / Photo: Yohei Sasakura

会期後の転用をスピーディに行うリース鉄骨の採用

そしてもう1つは、このパビリオンを形づくる構造フレームへの仮設山留用リース鉄骨の採用である。万博の会期は半年間であり、その前後の建設・解体期間を含めても約2年間の利用である。リース鉄骨を用いることで、会期後にはすぐに他の現場に転用する(化ける)ことができ、建設から解体・再利用までに排出されるCO2量の大幅に削減が可能である。

ここでは、規格寸法のリース材をボルトでつなぎ合わせることで高さの異なる柱をつくるとともに、通常仮設山留の水平火打ち材の接合に用いる回転ピースというリース材料をすべての柱の足元に設置することで、規格部材のリース材料を用いながらも、各々高さ・幅・角度の異なる三角形フレームを連続させ、揺らぎのある内部空間と山並みのような特徴的な外観を創り出した。

ガスパビリオン

Photo: Yohei Sasakura

ガスパビリオン(山留リース材を用いた構造フレーム)

仮設山留用リース鉄骨材を用いた構造フレーム / 提供:日建設計

山留材

仮設山留用リース鉄骨 / 提供:日建設計

この実現には、実施設計段階におけるBIMモデルによる詳細検討が重要であった。BIMモデルに、規格材のボルト位置まで入力した精密なデータ入力を行うことで、無駄のない材料活用を行うとともに、施工段階での鉄骨ファブへの発注まで同一モデル内で検討を行い、手戻りなくスムーズな施工を実現している。さらには展示映像内にもBIMモデルを活用することで、展示体験の中で周囲の建物が突然崩れ出すといったリアルな映像体験にもつなげている。

これら未来のための環境貢献技術の追求により生まれたパビリオン空間を通して、環境貢献が未来のみならず現在にもワクワクが生みだすことをぜひ体験してもらいたい。(石原嘉人 / 日建設計)

ガスパビリオン

ポスト展示室 / Photo: Yohei Sasakura

ガスパビリオン

ポスト展示室 / Photo: Yohei Sasakura

がスパビリオン展示

メイン展示室 / 提供:丹青社、写真:RINO KOJIMA(ライツ撮影事務所.)

ガスパビリオン1階平面図

パビリオン1階平面図 / 提供:日建設計

ガスパビリオン断面イメージ

断面イメージ / 提供:日建設計

ガスパビリオン

Photo: Yohei Sasakura

ガスパビリオン

Photo: Yohei Sasakura

ガスパビリオン

Photo: Yohei Sasakura

建築DATA

建築名称:ガスパビリオン おばけワンダーランド
所在地:大阪市此花区夢洲万博会場内
発注者:一般社団法人日本ガス協会(JGA)

[設計・施工]
基本設計:日建設計(小谷陽次郎、石原嘉人、土田昌平)
実施設計:日建設計(意匠・設備)、奥村組(構造)
施工:奥村組
展示統括:電通ライブ
展示設計・施工:丹青社
協力:藤井電機(電気設備)、REC(空調衛生設備)

構造概要:S造1階建て(展示スペース)、プレハブ造2階建て(バックヤード)
敷地面積:2,126.26㎡
建築面積:1,289.77㎡
延床面積:1,557.77㎡
最高高さ:17.57m

設計期間:2022年6月~2023年10月
工事期間:2023年11月~2024年10月
竣工:2024年10月

 

トップ写真撮影:Yohei Sasakura
テキスト提供:日建設計


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大阪・関西万博〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉概要

大阪ガスが開発した放射冷却素材「SPACECOOL」を採用して夏季の空調負荷を抑制

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