施設DATA
- 設計
工藤浩平建築設計事務所- 主用途
休憩所、トイレ- エリア
西ゲートゾーン
〈休憩所2〉の見どころポイント!
石とともに風景をめぐる、時間を超える仮設建築
〈休憩所2〉は、休憩所やトイレに加えて、警備センターや応急手当所など、運営を支える多様なバックヤード機能も併せもちます。建屋は分棟形式で分散配置され、それぞれの棟を、瀬戸内産の自然石を吊るしたパーゴラがゆるやかに繋いでいます。自然石は会期終了後、大阪湾へ沈められ、海洋環境の一部として新たな役割を担う予定で、仮設でありながら壮大な時間軸を内包する建築です。

Photo: 楠瀬友将
休憩所2は、トラム停留所の発着地点に隣接することから、トラムとリングをつなぐ役割を担っている。エリアとしては「休憩所」と名付けられているが、用途としては休憩所や案内所やトイレといった来場者機能と、警備センターや応急手当所といった万博を下支えするバックヤード機能を求められた。
私たちは、要求機能を一棟一棟独立させ、分棟形式を採用した。敷地全体にまんべんなく棟が分散するような配置計画とし、棟の間には日除けの機能を担う自然石を吊るしたパーゴラを計画した。石のパーゴラの下には、来場者が思い思いの時間を過ごせるように、キッチンカーが入り込んだり、屋外のベンチや水遊び場をつくったりと、自然と人間の振る舞いが重なる風景となるよう敷地全体を設計した。

Photo: 楠瀬友将

Photo: 楠瀬友将

Photo: 楠瀬友将
石を用いた理由についてだが、私たちは半年間の間存在する仮設建築物を、もっと大きな時間軸の中に位置付けられないのか、と考えた。たとえば「人類」や「地球」といった、より原初的で壮大な時間軸の中に、仮設建築物を位置付けたいと。石は、何万年もの歳月をかけて地球が生み出した「資源」であり、太古から人類が用いてきた「素材」である。400年前の大坂城築城や大阪湾岸エリアの埋立てにも用いられてきたという意味で、瀬戸内産の石は、文脈に則った素材だと考え、採用することとした。

Photo: 楠瀬友将

Photo: 楠瀬友将

Photo: 楠瀬友将

Photo: 楠瀬友将
会期中は空中に持ち上げてパーゴラとして人間のための居場所をつくるが、会期終了後には石を大阪湾へと沈める計画としている。会期後、石は、大阪湾の汚染の一因となる海底の窪地の改善や、海洋生物の居場所として転用される。
有数の時を経て生み出された大地の資源が、半年間、一時的に素材として空へと移り、会期後は空から海へと居場所をまたいでいき、海底で数万年の時を過ごしていく。半年間の仮設建築物であるが、来場者が、大地・空・海といった壮大なランドスケープを取り扱い、数万年規模の時間に思いを馳せるようなきっかけとなれば、と考えている。

会期後、計画中の漁礁のイメージドローイング。Image: 工藤浩平建築設計事務所

Photo: 楠瀬友将

Photo: 楠瀬友将

Photo: 楠瀬友将

平面図。Image: 工藤浩平建築設計事務所

断面図。Image: 工藤浩平建築設計事務所
建築DATA
構造:RC造 一部鉄骨造(パーゴ ラ)、 木造(建屋)
階数:地上1階、一部2階
最高高さ:9.50m(パーゴ ラ)、6.73m(建屋)
軒高:6.58m
敷地面積:1,855.59m²
延床面積:423.28m²
延床面積:486.63m²設計:工藤浩平建築設計事務所
構造設計:平岩構造計画
設備設計:森村設計
照明:飯塚千恵里照明設計事務所
デジタルデザイン:御幸朋寿
施工:住建トレーディング
テキスト提供:工藤浩平建築設計事務所
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