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日本初となる、土で3Dプリントする住宅〈Lib Earth House model B〉Lib Work、WASP

日本初となる、土で3Dプリントする住宅が誕生!

先進技術と自然素材を組み合わせた住宅モデル〈Lib Earth House model B〉

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〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork, WASP

熊本県山鹿市鹿央町に完成した〈Lib Earth House model B〉は、熊本県山鹿市に本社をおく株式会社Lib Workによる、土を主原料とした約100m²の一般住宅用3Dプリント住宅です。

国際的なエンジニアリング・コンサルティング企業ARUPとイタリアの3Dプリンタ設計・製造・販売企業WASPとのコラボレーションにより実現しました。

注目ポイント

  • セメントを一切使用しない、天然由来の素材だけでつくるサステナブルな土壁
  • 生成AI×3Dプリンタによる完全自動住宅建設を目指す
  • 構造設計、プリンタ技術、AI設計プラットフォームと連携した国際共同開発
  • IoTや太陽光発電を組み込んだ、自然と共生した快適な生活を提供

(以下、Lib Workから提供されたプレスキットのテキストの抄訳)

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork, WASP

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork, WASP

AIによるフルオート住宅建設を目指すプロジェクト

株式会社Lib Workは2025年7月22日、国内初(※)となる土を主原料とした一般住宅用の3Dプリント住宅〈Lib Earth House model B〉を熊本県山鹿市鹿央町に完成させた。これは生成AIによる設計と3Dプリンタによる施工を融合した完全自動住宅建設に向けた画期的な一歩であり、設計から施工までAI技術を活用した世界初(※)の完全自動住宅建設の実現を目指している。(※:2025年7月時点Lib Work調べ)

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork

開発背景

住宅業界はこの50年以上にわたり、工法・素材・構造のいずれにおいても本質的な革新がほとんど見られず、依然として従来型の枠組みに留まっている。これに対し、自動車業界をはじめとする他の産業分野では、EVや自動運転といったテクノロジーの進展により急速な変化が進行しており、住宅業界にも同様の構造的変革が強く求められている。

さらに、世界的な住宅不足や熟練建設労働者の慢性的な不足といった建築業界の構造的課題に加え、循環型社会や脱炭素社会の実現に向けた取り組みの重要性も年々高まっている。

Lib Workは、業界構造と社会課題の両方に目を向け、持続可能で再現性の高い「住まいの選択肢」を増やすことを企業使命と捉え、3Dプリント技術と自然素材の組み合わせにいち早く着目した。第1作となる「model A」での実証・検証を経て、さらに強度・施工性・意匠性を高めた「model B」の開発・完成に至った。

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ LibWork, WASP

〈Lib Earth House model B〉の特徴

1、家を再定義する – サステナブル素材と最先端テクノロジーで“未来の家をつくる” –

〈Lib Earth House model B〉の壁は産業廃棄物となるセメントを一切使用しておらず、土を主原料に天然由来の素材だけでつくられたサステナブルな土壁である。セメントを一部使用していた旧モデル(model A)に比べて強度は約5倍に向上し、また、製造プロセスそのものにおけるCO2負荷を大幅に低減したことも大きな特徴である。今回の開発に伴う発明は特許出願中であり、知的財産の保護及び競争優位性の確立に努めている。

2、IoT技術を活用した次世代住宅管理システム

住宅内部には最新のセンサーを壁内に埋設し、壁内部の温湿度をリアルタイムでモニタリングする「壁内結露監視システム」を導入した。このシステムにより、住宅自らが自身の健康状態を管理し、結露や素材の劣化を事前に察知することで、長寿命で快適な居住環境を維持する。

さらに、IoT設備を標準装備し、エアコン、照明、お風呂の操作までスマートフォンや専用モニターで遠隔操作が可能。住宅の利便性と快適性を劇的に向上させている。また、スマート玄関ドアには顔認証システムを導入し、鍵不要の安心で安全な暮らしを実現している。

3、電力を自給自足する、サーキュラーエコノミーへの貢献

住宅にはテスラ社の蓄電池「Powerwall」と太陽光発電パネルを組み合わせたオフグリッドシステムを採用した。外部の電力会社に依存せずに電気の自給自足を実現したサーキュラーエコノミー志向の住宅が完成した。これにより、居住者は環境に優しく持続可能な暮らしを送ることができる。

4、自然との共生を目指した空間設計

室内にはLDK、トイレ、バス、居室のほか、中庭などを設け、自然光や風を効果的に取り入れる設計を採用した。環境と調和し、季節を感じながら快適に暮らせる生活空間を提案している。

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

Plan

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ WASP

〈Lib Earth House model B〉Lib Work

©︎ WASP

3Dプリント住宅開発パートナー「ARUP」のコメント

「今回のプロジェクトでは『環境と健康』をテーマに、土を主原料とする自然由来の3Dプリンター出力壁を用いて、屋外環境を室内に採り込む新しい居住環境を設計した。今後も継続して循環型社会に貢献する建築をLib Workと共に提案できれば幸甚である。 」

「将来的には、建設される現地の土を使用して地産地消できる材料とし、すべての部材を簡単に取り外し、分別して再利用・再生可能な材料とすることで、解体後に廃棄物を生まない循環型の建築を目指していく予定である。次のステップとして、土の特性(断熱、調湿、消臭、健康など)についてさらに検証を行い、土壁を採用することによるメリットを見出していきたいと考えている。」

「また、住まい方(ソフト)と住宅(ハード)のインターフェースとなる3Dプリント技術を活用し、家族構成やライフスタイルの変化に応じて、住む人が自由に住宅の間取りや広さを変更(アップデート)できるような住宅を追求し続けていく。これにより、住まいの柔軟性と持続可能性を高め、未来の住宅開発において新たな基準を確立することを目指している。」

3Dプリンタメーカー「WASP」のコメント

「Crane WASP 3Dプリンタを使用して作成された〈Lib Earth House model B〉は、自然素材を使った建築の新たなフロンティアを象徴するものである。日本が持続可能な建築の分野で主導的な役割を果たす未来への道を切り開いた、パートナーの献身的な努力とコミットメントのおかげで、私たちの技術を使って達成された驚くべき結果を目の当たりにし、誇りに思う。」

「WASPとLib Workの緊密な協力関係とビジョンの一致が、この重要なマイルストーンを可能にし、世界的な基準を打ち立てました。私たちは、このパートナーシップを発展させ、日本における持続可能な素材を使った建築スケールの3Dプリントの普及に貢献し、私たちのソリューションを常に改良・改善していく。」

生成AI開発パートナー「Maket technologies」のコメント

「Lib Workの大胆なビジョンである、AIによる住宅設計と建設の完全自動化を実現するための技術的基盤を提供できることを誇りに思う。私たちは、世界的な住宅危機の解決には、技術と自動化が不可欠であると確信している。」

「AIは単なる高速化の手段ではなく、敷地、気候、法規制といった現実の制約をもとに、最適な意思決定と設計を可能にする。私たちの目指す未来は、同じ家を早くつくることではなく、各プロジェクトごとに最もふさわしい住宅を設計・最適化することである。Lib Workとの連携を通じて、より持続可能で誰もがアクセスできる住宅の未来を築いていく。」

Lib Workについて

Lib Workは、「暮らしを変える、世界を変える、未来をつくる」というスローガンのもと、「サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす」というミッションの実現に向けて、戸建て事業に留まらず多角的に事業展開している。

デジタルマーケティング分野では、土地探しの「e土地net」をはじめとした一定のカテゴリーに特化したサイトや、YouTubeチャンネル「Lib Work ch」の運営などを通し、ニーズに合わせた集客戦略を展開。また全国の工務店向けサブスクリプション型事業として、新築住宅プランの提案システム「マイホームロボ」の開発をはじめ、「ALC/アダストリア・ライフスタイル・クリエイション」と共同開発した戸建て商品「niko and … EDIT HOUSE」のIPライセンス販売などのプラットフォーム事業も行っている。

会社名:株式会社Lib Work(https://www.libwork.co.jp
代表者:代表取締役社長 瀬口 力
本店所在地:熊本県山鹿市鍋田178-1
設立:1997年8月1日
資本金:13億2150万円
事業内容:戸建住宅事業・プラットフォーム事業・3Dプリンター住宅事業

Lib Earth House専用サイト:https://www.libwork.co.jp/3dprinter_house/brand.html

 

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