東京海上ビルディングとして東京・丸の内に建てられた、現名称・東京海上日動ビル・本館は、建築家の前川國男(1905-1986)が設計したビルとして知られています。
2028年度の竣工を目指し、新しく建て替える本店ビルの設計者について、2021年9月30日に東京海上ホールディングスおよび東京海上日動火災保険より発表され、『TECTURE MAG』ではニュースとして掲載しました(当該ニュース)。
建設前に「美観論争」を巻き起こしたことでも有名なこのビルを題材として、日本の都市景観を考えるシンポジウムが、オンラインで開催されます(主催:一般社団法人 Japan Heritage、協力:前川建築設計事務所)。
開催趣旨
都市の景観は、そこに関わる人々の市民的活動と建築物の相互作用により形成されるものであり、そのあり方は社会そのものの縮図である側面を有します。東京駅と皇居を結ぶ行幸通りを中心に有名企業の本社・本店が立ち並ぶ東京・丸の内は、明治期以降の我が国を象徴する地域の一つです。この丸の内の景観は、様々な議論の対象となりました。こうした議論を振り返ると、それらが生じた時期は、いずれも時代の転換期と重なります。このことは、都市の景観と社会のあり方との関係を示唆するものと考えられます。
現在、我々の社会は、大きな転換点にあり、将来に向けての選択を迫られている時期にあります。こうした時期に、モダニズム建築家・前川國男の代表的建築物であるとともに、1960年代の「景観論争」の契機となり、現在の丸の内を象徴する建物である東京海上ビル(東京海上日動ビル)の建替えが検討されていることは偶然ではないと思われます。
本シンポジウムでは、都市の景観をテーマとして議論を行い、そのための題材として、丸の内と東京海上ビルを取り上げます。その議論の射程は、丸の内と東京海上ビルにとどまるものではなく、我が国の様々な都市が抱えている景観の問題、延いてはそこでの市民生活のあり方の問題に及ぶものであると考えています。そのため、丸の内の景観にご関心をお持ちの方は勿論のこと、津々浦々で都市景観の問題に取り組んでおられる多くの方々に本シンポジウムにご参加いただきたく思っており、また、ここでの議論が問題への取組みの一助になることを願っています。
開催日時:2021年11月20日(土)16:00-18:00予定
会場:オンライン(Zoom 使用予定)
参加方法:下記URLより要申し込み(申込時に登録したメールアドレス宛に後日通知)
タイムスケジュール(予定)と登壇者
16:00 開会挨拶
澤田悠紀(高崎経済大学 経済学部 准教授)
16:05 基調講演
橋本 功(前川建築設計事務所 代表取締役)
16:20 講演1
テーマ:都市景観に関する法規制に関する講演(演題未決定)
尾谷恒治(早稲田リーガルコモンズ法律事務所 パートナー弁護士)
16:35 講演2
テーマ:「丸の内をテーマとした講演(演題未決定)
松橋達矢(日本大学 文理学部 教授)
17:20 講演3
テーマ:東京海上ビルをテーマとした講演(演題未決定)
香山壽夫(東京大学 名誉教授、香山建築研究所 会長)
18:00 閉会挨拶
澤田悠紀
協力:前川建築設計事務所
主催:一般社団法人 Japan Heritage
登壇者プロフィール・申し込み先
https://tmib.tokyo/
本稿の写真は全て前川建築設計事務所提供