公益財団法人ユニオン造形文化財団主催による、アイデアデザインコンペ「ユニオン造形デザイン賞」が、学生と1992年1月1日以降生まれの実務経験10年以内の社会人を対象に、12月27日まで作品を募集しています。
テーマは「ふるまいの共振」。
審査員を、NAP建築設計事務所を率いる、建築家の中村拓志氏が務めます。贈賞の1等(大賞)賞金は100万円。個人・連名でも応募可。詳細はユニオン造形文化財団のホームページを参照してください。
中村拓志 審査員からのメッセージ:
「ふるまいの共振」をデザインして欲しい。
そもそも建築とは、ある特定のふるまいを集積させたものである。本を選び、読み、借りるふるまいを集積させれば図書館ができる。
しかし、しばしば私たちの設計はふるまいを深く見つめることなく、部屋や家具のレイアウトに終始してしまう。この課題は、建築をふるまいとそこから立ち上がる感性の集積として再定義するものである。
ふるまいは、行為の模倣を意味する「振り」と、反復を意味する「舞い」という文字からなる。赤ん坊が行為の模倣と反復を通じて共感を紡ぎ、共同体の一員となるように、ふるまいとは私たち集団の記憶と感情が折り畳まれた、言語化できない文化的体系である。
そこには、個人と集団の心理に届く設計の可能性がある。今までの設計論では、人の心は主観的で定性化できないとして、積極的に言及されてこなかった。しかし、行動主義心理学や認知心理学が明らかにしたのは、人間は感情があって行動するという一般的な理解の他に、行動があることで感情や認知が生まれるという事実である。そこで皆さんには是非、建築的な視点から人間を見つめ、ふるまいの観察を通じて、人の感情を捉えてほしい。必要なのは、対象の動きを捉える微視や動体視力なのである。
今回の課題で求めたいのは、ふるまいを「共振」させることだ。ある特定のふるまいが複数の身体に自然と起こるとき、共感が生まれる。宗教や祭礼の儀式、農村やギルドなどの共同体、芸道や武道といった道と呼ばれる日本の伝統もまた、ふるまいの型とその共振が核にある。日常的にも、私たちはおじぎや会釈、頷きなどのふるまいを共に重ね、「つぶやき」や「イイネ」といったふるまいをネットに重層させて、社会を紡いでいる。
社会というものを、複数の身体の具体的な動きとして考えると、空間にできることは多い。それは、格差が広がり、共通の規範や絶対的価値が失われた現代において、建築が再び社会に資することのできる、大いなる可能性ではないか。
提案は、都市や建築、家具やプロダクトなど、どんなスケールのものでも良い。ふるまいも、今まで誰も着目してこなかった些細なものや、コロナ時代の新しいふるまいでも良い。それをどのように複数の身体に共振させ、そこからどのような感情を立ち上げ、共同体を築くのか。身辺から立ち上がりながらも、大きく広がりのある提案を期待している。(審査員 中村拓志)
テーマ:「ふるまいの共振」
審査員:中村拓志(建築家、NAP建築設計事務所・NAPコンサルタント・NAP International、NAPデザインワークス代表)
応募資格:学生(大学生、大学院生、専門学校生)および実務経験10年以内の社会人(但し、1992年1月1日以降生まれであること)。共同制作の場合、代表者と、共同制作者全員を連名で明記すること
応募に関する注意事項:
・応募点数は同一年度において、1申請者につき1点
・作品は未発表のもの、他の顕彰を受けていないこと(既に発表されたもの・同一・類似のものは、審査の対象から除外され、受賞発表後であっても受賞は取り消される)
・サイズや形式など詳細は主催者ホームページを参照
各賞:
大賞:1点(賞金 100万円)
奨励賞:2点(各賞金 50万円)
佳作:数点
※但し、審査の結果、賞名・賞金・点数が変更される場合あり(前回受賞点数:大賞を含む計15点)
応募方法:
下記・主催者ホームページからEntryform(Excelフォーマット)をダウンロード、必要事項を記入し「応募申請書」「作品説明書」のExcelデータを、デザイン賞係宛にメール送信、完了すること
必要事項を記入した「作品出品表」を応募作品に貼り付け、郵便または宅配便にて、デザイン賞係宛に送付すること
スケジュール:
受付開始:2021年10月25日(月)
受付締切:2021年12月27日(月) ※当日消印・受付印有効
審査結果通知:2022年1月末(予定)※受賞者に対してのみ、文書で通知
表彰式:2022年3月中旬(予定)※COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大状況を鑑み、中止する場合あり
主催:公益財団法人ユニオン造形文化財団
問合せ・作品受付:同上 デザイン賞係
TEL:06-6532-8764
e-mail:kana-k[アット]artunion.co.jp
注.メールアドレスは、[アット] 部分を @ に変えて送信してください
ユニオン造形文化財団ホームページ
https://www.uffec.com/