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静岡「新県立中央図書館」最優秀案

C+A・アイダアトリエ・日建設計(エンジニアリング)設計企業体が勝利、次点は妹島和世建築設計事務所

「新県立中央図書館整備事業設計業務委託」に係る公募型プロポーザルの審査結果が、3月7日に発表されています。

同プロポーザルは、JR東静岡駅前南口広場に隣接した敷地内に建設する、“ふじのくに”静岡県にふさわしい、新しい県立図書館の提案を求めたもので、2021年(令和3)10月1日に静岡県よって告知。「景観構成の一部となる計画地にふさわしい外観デザイン」がテーマとなっていました。
審査は、建築家の長谷川逸子氏が審査委員長を務めた建築領域の審査委員会と、静岡県教育委員会などからなる図書館領域の事務局とで構成されています。

新県立中央図書館整備事業 MAP

計画地:静岡市駿河区東静岡2丁目
敷地面積:約24,300m²(東西約230m、南北約120m)
施設計画エリア(緑地広場を含む):約9,700m²

計画地紹介動画(限定公開設定)
静岡県教育委員会社会教育課新図書館整備室YouTubeチャンネル
https://youtu.be/qgWLz96LqM0

審査体制
(1)審査委員会
建築分野
委員長:長谷川逸子(長谷川逸子・建築計画工房代表取締役)
副委員長:北山 恒(横浜国立大学名誉教授)
審査委員:千葉 学(東京大学大学院工学系研究科教授)、貝島桃代(スイス連邦工科大学チューリッヒ校教授)
図書館などの分野
審査委員:古瀬 敏(静岡文化芸術大学 名誉教授)、岡本 真(アカデミック・リソース・ガイド代表取締役)、是住久美子(田原市図書館館長)、難波喬司(静岡県副知事)

評価テーマ
1.県民の誇りとなる外観・内観デザイン
2.21世紀の知の発信拠点となる図書館計画
3.県民にやさしく、使い勝手のよい施設計画
4.脱炭素社会の実現に向けた環境にやさしい施設計画
5.概算工事費の合理性と設計時における建設コストの管理

以上の評価基準に基づき、1次審査の結果、以下の団体が2次審査に進出。2022年2月19日に実施技術提案書に基づくプレゼンテーションとヒアリングが行われ、その審査結果が、静岡県教育委員会の公式ホームページにて、これまでの経緯とともに公開されています。

最優秀技術提案者(最も優れた技術提案書を提出した者)
C+A・アイダアトリエ・日建設計(エンジニアリング)設計企業体

次点
妹島和世建築設計事務所

ほか2次審査進出者(参加者番号順)
マル・アーキテクチャ
平田晃久建築設計事務所
遠藤克彦建築研究所・RIA設計共同体
石本・畝森・針谷設計共同体


以下は、最優秀技術提案者に選出された、C+A(シーラカンス アンド アソシエイツ)・アイダアトリエ・日建設計(エンジニアリング)設計企業体による提案内容の概略です(「最も優れた技術提案書の概要(事務局による抜粋)」提供:静岡県教育委員会)。

「未来の図書館をリードするGLOCALな知(地)の拠点」

要求水準や予算に合わせ、比較検討を行い、柔軟に変更・対応できるよう、細やかな共有の機会を設け、迅速な連携を図ります。また施設づくりを通して、県立図書館を支えるひとづくりを目指し、まちづくり、地域情報ネットワークなど多岐にわたる関係づくりにも発展できる体制、きっかけづくりをおこないます。

「図書館建築多文化共生宣言」

「図書館の自由に関する宣言」を遵守し、情報アクセスの自由を保証し図書館の未来に向けてのサービスを持続的に拡張することをめざして、「図書館建築多文化共生宣言」をここに表明します。
図書館という公共空間には、「図書館の自由に関する宣言」以外に、情報アクセスを保証し拡張するメルクマール(指標) として、すくなくともふたつ蓄積されてきました。ひとつは歴史(アーカイヴ)、もうひとつは連携(ネットワーク) です。
持続可能な社会との共生を念頭に、アーカイヴとネットワークを実装しアクセシビリティを高める図書館建築のあり方を再考すること。
それが私たちの「図書館建築多文化共生宣言」です。

静岡県 新県立中央図書館整備事業設計業務委託プロポーザル最優秀案

「最も優れた技術提案書の概要」より(提供:静岡県教育委員会)

豊かな植生が生み出す変化し続ける外観

各地のワークショップで選定した静岡県・市・町それぞれの地域を代表する植物を、日射や風環境など、各々に適したテラスに配置します。人々に開かれたランドスケープは、図書館の現れ方に自分たちがコミットできるという参加意識を生み出し、手入れをするための定期的な来館を促して、継続的な関係を構築する仕組みとなります。静岡の人々の活動そのものが表出した、変化し続ける豊かな表情を持つ外観を生み出します。

グループから個人まで、多様な活動を受け止める内部空間

多様な活動が街区と繋がる、明るくオープンな1,2 階から、知を探求するための上階の比較的クローズな個人空間へとグラデーショナルに変化する構成です。家具や仕上げには富士宮や天竜の杉・ヒノキなど静岡の木材を積極的に活用し親しみと落ち着きのある空間をつくります。

静岡県 新県立中央図書館整備事業設計業務委託プロポーザル最優秀案

「最も優れた技術提案書の概要」より(提供:静岡県教育委員会)

多様な情報アクセスを保障する多文化共生拠点<サンクチュアリとしての図書館>

ネット検索が百科事典に変わるかの様に一般化し、ICT 化や感染症対策に伴う社会状況の変化によって、図書館でもオンラインでアクセス可能なデジタル情報化が加速しています。そんな時代だからこそ、長い歴史の中で蓄積されてきた図書資料を手に取り、触れることができる信頼感を備え、「表現の自由」や「知る権利」を保障するために資料を長く保存管理する<サンクチュアリ=保護区>としての図書館の存在がより重要になってきます。

知的好奇心を刺激する<ビブリオスケープ>

当図書館の蔵書は葵文庫をはじめとする歴史的貴重書から、行政の発行する様々な統計情報から高度なレベルの専門誌、そしてタウン誌まで極めて多彩です。その圧倒的な資料体のボリュームを視覚的に体験し、知的好奇心を刺激するビブリオスケープを、閉架集密書庫とその周囲を囲む公開書庫によって合理的に創り出します。

静岡県 新県立中央図書館整備事業設計業務委託プロポーザル最優秀案

「最も優れた技術提案書の概要」より(提供:静岡県教育委員会)

圧倒的な資料体のもとに展開する<ライブラリー・カレッジ>

時代の変化に柔軟に対応し、多様な媒体からの知識・情報の入手、知的交流を活発にする仕掛けに満ちた新しい図書館では、設計時から様々なWS を通じて、このプロジェクトそのものが新たな発見や活動を生み出し、人と人の繋がりを強化していく学びの機会となります。誰にでも開かれた入りやすさ、おおらかで明るく、賑わいに満ちた「協働・学び合いの空間」をグラウンドレベルからつながる低層部に展開します。
活動の可能性を広げる多様なテラス
内部機能とテラスが連携することで生まれる多様な活動を、イベント情報としてWEB などで発信し、人々の参加を促します。音楽テラスでは、ちょっとした演奏会が行われたり、ハーブガーデンで栽培したフレッシュなハーブを活用できるキッチンラボ、富士山を眺めながら朝ヨガ会ができるスポーツ・テラス、ものづくりテラスでは天竜杉を使ったパーゴラをWS で製作し、館内やテラス、さらには、まちなかにも展開するなど、図書館発信の多様なアクティビティがワクワクする風景を創り出します。

静岡県 新県立中央図書館整備事業設計業務委託プロポーザル最優秀案

「最も優れた技術提案書の概要」より(提供:静岡県教育委員会)

詳細「新県立中央図書館整備事業設計業務委託に係る公募型プロポーザルの実施について」(静岡県ホームページ)
http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-080/sintosyokan/architecture.html

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