2022年5月21日初掲、5月23日東京藝術大学青木淳研究室提供の会場写真とテキストを追加
東京・有楽町にて、アートイベント「YAU TEN」が5月20日より始まりました。
“100名を超えるアーティストが有楽町にいる8日間”と銘打って、3つの会場にて27日(金)まで開催されます。
会期中、プログラムに関与した建築家も登壇するトークセッションも開催されます。
「YURAKUCHO ART URBANISM(有楽町アートアーバニズム[*1])」の略称で、街がアートとともにイノベーティブな原動力を生み出す実証パイロットプログラムを指します。
大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアにおけるまちづくりの3団体[*2]により組成された「有楽町アートアーバニズムプログラム」実行委員会の主催と、三菱地所の支援により、2月1日(火)より4カ月にわたるプロジェクトがスタート。
アートの制作過程を街中で広く公開し、アートを通じた学びの場を提供することにより、クリエイティブな人々の多様な出会いを誘発し、イノベーション創発のきっかけを生み出すこと。そして、都心のビジネス街におけるアーティストへの持続的な活動を支援すること。この2つを目的に実施されています。
*1.アートアーバニズム:2019年に設置された「アート×エリアマネジメント検討会」において、太下義之氏(文化政策研究者、同志社大学経済学部教授)を座長とする有識者および地元関係者と、プログラムのコンセプトを検討・策定。アーティストのクリエイティブマインドを街の原動力として、都市空間創造や都市活動展開を一体化させる新しい街のムーブメントを「アート」と「アーバニズム」を掛け合わせた造語「アートアーバニズム」に託している(東京大学大学院工学系研究科 中島直人准教授による提議)。
*2.大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり3団体:一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会(大丸有協議会)、NPO法人大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ)、一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会(エコッツェリア)
「YAU」では、有楽町エリアのオフィスビルの空室や共用部などを舞台とし、作品の展示やオープンスタジオなどを行います。
要素(拠点)は大きく3つ用意され、アーティストが滞在して作品の制作過程やリハーサルなどを公開する「YAU STUDIO」、次世代を担う若手アーティストに専門家によるアドバイスを提供する「YAU COUNTER」、主に大丸有エリアのオフィスワーカーが、まちとアートについて学びを深めるスクール「YAU CLASS」で構成されます。今回の「YAU TEN」も、これに準じた会場での展開です。
会場の1つ、「アーティストスタジオ」は、1966年に竣工した、昭和のオフィスビルの名建築、「有楽町ビル」の10階に設置されています(管理する三菱地所の新たな旗艦ビルとして解体・建て替えが決まっている)。
会期中の日中、滞在するアーティスト・参加者が展示作品の解説を行うなど、訪れた人々と交流をはかります。
これまでの取り組み・プログラムの経過を、8日間にわたり公開する「YAU TEN」は、「なぜあなたは有楽町に来るのですか?」をキャッチコピーに掲げます。主なコンテンツは以下の4つ。訪れた人々に「有楽町のいま」を体感してもらおうという狙いです。
1.「EXHIBITION(エキシビジョン)」
概要:アーティストと学生らによる作品展示。有楽町ビル10階「YAU STUDIO」における会場構成と、ビル内のサイン計画を、東京藝術大学建築学科青木淳研究室が担当(展示デザインのコンセプトは下記寄稿文を参照)。
会期:5月20日(金)~27日(金)
会場:有楽町ビル10階「YAU STUDIO」、同ビル内、有楽町の各所
参加アーティスト:TPR/ARCHI HATCH、⽯⽑健太、梅沢英樹+佐藤浩⼀、⼩⼭泰介、志賀耕太、GC Magazine、SO×丸尾隆⼀、築⼭礁太、三野 新、村⽥ 哲、⼭本 華、東京⼯芸⼤学芸術学部写真学科川島研究室
ソノ アイダ/藤崎了⼀、Hogalee (2022年5⽉10⽇[火]~6⽉26⽇[日])
会場構成とサイン計画について:
東京・有楽町にて、アーティストと街の交流からイノベーションを起こす=「有楽町アートアーバニズム」を掲げる、プログラム「YAU(ヤウ)」の経過を発表・公開する、アートイベント「YAU TEN」における、有楽町ビル10Fに設置された「YAU STUDIO(ヤウ スタジオ)」の会場構成および全体のサイン計画を、東京藝術大学大学院青木淳研究室が中心となって担当した。プログラム「YAU」は、今年2月にスタートしてからクローズするまで4カ月という開催期間が予め決まっており、かつてはオフィスとして使われていたフロアに設置されたスタジオ「YAU STUDIO」も、現状復帰での退去の期限が決まっていた。
今回のアートイベント「YAU TEN」が始まる前は、プログラムに参加している運営チームやアーティストたちが、めいめいにオフィス家具などを自由に設置して使用している状態だった。アートスタジオらしからぬこの状態を、私たちは「YAU」の個性としてとらえた。
内装などには手を加えずに、既存の家具の配置や使い方の工夫のみにより、会場としての与件を満たす。また、JR有楽町駅が目前という立地のオフィスビルの10Fにあり、3面が全て窓であるというロケーションの魅力を最大限に引き出すことを目標に掲げた。まず、会場入口側に、ほとんどの家具を集め、展示期間中の作業場やフライヤー置き場とすることで、アーティストと来場者同士のつながりを誘発する。また、それらの家具は、いかにもオフィス的な規則正しさでレイアウトすることで、かつてのオフィス空間の中でアート活動が行われているという非日常的な光景を強調している。
その一方で、、窓側の半分のスペースには、トーク開催時にスクリーンの役目を果たすロッカーのみを配置した。
家具が密集した空間と、ほとんど何も無い空間という、疎密をつくりあげることで、窓際の空間がより解放感をもち、街を眺める展望台となる。館内のサイン計画では、「YAU TEN」展示会場へのサインとして、黄色の立て看板をビル内各所に配置した。黄色は「YAU」のキーカラーであるが、清掃中であることを示すサイン看板との混合を狙っている。
これらの操作により、オフィス街の日常的な風景に、アートという異物が入り込み、溶け込んでいく過程で、有楽町という街に対する新たな視座を得るという、アートアーバニズムの理念を体現した空間となることを目指した。
会場構成:東京藝術大学大学院青木淳研究室(月ヶ瀬かれん、仲野耕介、見崎翔栄)、森 純平
寄稿:青木淳研究室
2.トークシリーズ「TALK SESSION」
概要:YAUに参加したアーティスト・建築家・デザイナー・編集者のほか、ジャンルを横断してゲストを迎える
開催日時:2022年5月20日(金)・21日(土)・23日(月)・24日(火)
会場:「YAU STUDIO」
所在地:東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル10階
参加料:無料
参加方法:以下のpeatixより入場予約
https://yau-ten.peatix.com/view
プログラム
5月20日(金)
13:30「ベースフラッグプロジェクト|エリアマネジメントとアーティストのコラボレーション」
14:30「東京感動線~山手線×アートの取り組み~」
15:30「YAU STUDIOの日常から生まれたものー異分野の交流」
16:30「都市の中の自然〜土とビオトープ・有楽町の屋上から~」
17:30「日比谷OKUROJI~高架下からはじまるアートの輪~」
18:30「リアルとデジタルの新たなアートプラットフォームとは」
20:00「Playing Tokyo special talk City & Arts & City | YAU #2」
5月21日(土)
13:00「公共空間に展開するアートの可能性」
14:00「アーティストがいることによって生まれる、ビジネスとの学びあい」
15:00「なぜアーティストと企業がコラボレーションしたのか?」
16:00「パブリックスペースの現在ー都市と建築編」
17:30「音楽による都市空間デザインの可能性」
5月23日(月)
17:00「働くひとたちとのパフォーマンス? ダンス? 演劇? 上演を終えて」
18:00-「写真/パフォーマンス/異種格闘技 ときどき相談?」
5月24日(火)
18:00「エリアエネルギービジョン〜まちのビジョニングとアートの交わり〜」
19:00「溶ける境界としての『渚』/有楽町から考える」
登壇者プロフィールほか詳細 / YAU編集室 note
https://note.com/arturbanism/n/neab7c33af072
3.上演「PERFORMANCE」
概要:YAUにて演劇・ダンスなどの稽古場及びアートマネージャーのコ・ワーキングスペースの解説・運営、新作パフォーマンスのプロデュースに取り組んできたパフォーミング・アーツを中心とするアートマネージャーのコレクティブ「bench」が、演出家・振付家・ダンサーの倉田 翠氏とともに、大手町・丸の内・有楽町で働く人たちによるパフォーマンス作品「今ここから、あなたのことが見える/見えない」を上演する(有料、Peatixにてチケット販売)
開催日時:2022年5月20日(金)・21日(土)・23日(月)・24日(火)
会場:新国際ビル2F、YAU STUDIO内Y-base1(有楽町ビル10F)
詳細
https://www.marunouchi.com/event/detail/31406/
4.アートに関する相談所「SOUDAN」
概要:若手アーティストが直面する諸問題の解決を目指す場を提供。
YAU CLASS「“YAU WALK” vol.2」
⽇時:2022年5⽉14⽇(⼟)13:00-15:00 終了
会場:YAU STUDIO(千代⽥区有楽町1-10-1 有楽町ビル10F)、有楽町周辺(徒歩移動あり)
参加費:1,000円(micro FOOD&IDEA market ペア利⽤ドリンクチケット付き)
先導⼈:藤村⿓⾄(建築家)、⾦城敦彦(⼤⼿町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)
YAU CLASS 「都市とアート(なかよくけんかしな)」
⽇時:2022年5⽉25⽇(⽔)18:00-19:30
会場:YAU STUDIO(千代⽥区有楽町1-10-1 有楽町ビル10F)
参加費:1,000円(micro FOOD&IDEA market ペア利⽤ドリンクチケット付き)
スピーカー:成相 肇(東京国⽴近代美術館 主任研究員)
会期:2022年5月20日(金)〜27日(金)
会場:
YAU STUDIO(東京都千代⽥区有楽町1-10-1 有楽町ビル10F / Google Map)
YAU COUNTER(東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル地下1F / Google Map)
ソノ アイダ#新有楽町ビル(東京都千代田区有楽町1-12-1 新有楽町ビル1F / Google Map)
新国際ビルヂング(東京都千代田区丸の内3-4-1 / Google Map)ほか
企画協力:YAUプロジェクトチーム(以下のメンバー)、フロントヤード
・プロデューサー:深井厚志
・ディレクター:森 純平
・プロジェクトマネージャー:東海林慎太郎
・コーディネーター:⾦森千紘
・PR・アーカイブ:榊原充⼤(都市機能計画室)、下⾥杏奈
・ビジュアルデザイン:原田 光
・グラフィック/ウェブデザイン:加藤賢策(LABORATORIES)
・ウェブ構築:阿部研二
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
特別協賛:三菱地所
協賛:エプソン販売、エコファニ
協力:アトム(A-TOM Co., LTD.)、東京工芸大学芸術学部写真学科川島研究室(フォトメディア)、一般社団法人PAIR
主催:「有楽町アートアーバニズムプログラム」実行委員会(一般社団法人 大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会、NPO法人大丸有エリアマネジメント協会)
アートイベント「YAU TEN」詳細
https://www.marunouchi.com/event/detail/31406/
「YAU」公式ウェブサイト
arturbanism.jp
三菱地所プレスリリース(2022年1月26日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000147.000016002.html