2022年12月28日に91歳で逝去した、建築家の磯崎 新氏を偲び、水戸芸術館にて特別回顧展が6月25日まで開催されています。
水戸市制100周年を記念して計画され、1990年12月に開館した水戸芸術館。建物の設計を、磯崎新アトリエが手がけ、当時の所員だった青木 淳氏が現場担当者の1人だったことでも知られています。
世界でも類例がないようないろいろな用途を持つ芸術館を豊かな知識、経験と卓越した力量により機能性と芸術性をともに追及しながら設計し、ルーマニアの彫刻家ブランクーシの作品「無限柱」をヒントに、将来へ向かって伸びゆく都市を象徴化した高さ100メートルの塔、その下に広がる何時でも人が自由に行きかうことのできる開放的な広場、そして広場の南には門柱のような3本の大きなケヤキ、北には水の出入口という「水戸」の地名の由来を形象化したカスケード。広場をとり囲んで、現代美術の作品を際立たせる展示空間のギャラリー、室内楽の演奏に理想的な音響空間のコンサートホール、舞台芸術を間近に楽しむことができるスケールの劇場、そしてパイプオルガンの豊かな響きも聴くことができるエントランスホールが出来上がりました。
磯崎氏はこのような歴史に残る傑出したすばらしい建物を残してくれたばかりでなく、施設が建設される前にそれを運営する中身が組みたてられることが、いい施設の生み出される鉄則であるという考えから、財団法人水戸市芸術振興財団の設立時より理事に就任し、建物と運営が同時に活かされていくように、芸術館の企画、構想、運営、演出、上演、展示にも直接かかわりました。(本展プレスリリースより、抜粋)
磯崎氏は、水戸芸術館の開館後も美術部門の顧問を務め、初代館長であり、同館の専属である水戸室内管弦楽団を創設した、音楽評論家の吉田秀和氏(1913-2012)の名を冠した吉田秀和賞の審査委員を務めるなど、亡くなるまで水戸芸術館の運営充実に力を尽くしたとのこと。
本展では、磯崎氏の死を悼み、その偉大な業績の一部を振り返ります。
2019年11月から2020年初春まで同館にて開催された「磯崎 新―水戸芸術館 縁起―」展を再現するとともに、磯崎氏のシルクスクリーン版画作品や、美術館設計時の資料などもあわせて展示されています。入場無料。
会期:2023年3月1日(水)~6月25日(日)
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー 第9室、エントランス2階回廊
所在地:茨城県水戸市五軒町1丁目6-8(Google Map)
開催時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜
入場料:無料
問合せ先:水戸芸術館 TEL:029-227-8111
主催:公益財団法人水戸市芸術振興財団
協賛:葵建設工業、三上建築事務所
協力:磯崎新アトリエ
詳細
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5235.html
#ArtTowerMito YouTube「写真で巡る、水戸芸術館」(2021/01/20)