2024年2月20日初掲、2月25日「読者プレゼント」応募要項を追記
テキスタイルデザイナーの須藤玲子氏と、同氏が率いるテキスタイルデザイン・スタジオ「NUNO」(布)の活動を包括的に紹介する大規模個展「須藤玲子:NUNOの布づくり」が、茨城県水戸市の水戸芸術館現代美術ギャラリーにて2024年2月17日より開催されています。
須藤氏は1953年茨城県石岡市生まれ。主にテキスタイルデザインの分野で、日本の染織技術と現代の先端技術を組み合わせ、従来にない素材を取り入れるなど、その革新的な布づくりでテキスタイルの世界の第一線を走り続けてきました。
1983年に須藤が設立に参加したNUNOは40周年を迎え、近年は作品集の刊行や企画展の開催などが精力的に行なわれました。出身地である茨城での大規模展は今回が初となります。
須藤玲子氏 プロフィール
1953年茨城県石岡市生まれ。株式会社布代表。東京造形大学名誉教授。
日本の伝統的な染織技術から現代の最先端技術を駆使し、新しいテキスタイルづくりをおこなう。作品はニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ロサンゼルスカウンティ美術館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、東京国立近代美術館など、世界の名だたるミュージアムに収蔵されている。2022年第11回円空大賞受賞。NUNO Website
https://www.nuno.com/
本展は、2019年に香港・CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)で企画・開催された展覧会「Sudo Reiko: Making NUNO Textiles」が元となっています。同展では、2018年に東京・乃木坂の国立新美術館で披露されたインスタレーション「こいのぼりなう!」[*1]でみられた作品などが展示され、現地で評判を呼びました。
[*1] 国立新美術館で開催されたインスタレーション「こいのぼりなう!」:須藤のほか、フランス人デザイナーのアドリアン・ガルデール(Adrien Gardere)と、ライゾマティクス(開催時の組織名称、2021年1月に改組・改称があり、現称はパノラマティクス主宰)の齋藤精一氏とのコラボレーションで制作された
香港での企画展はその後、2021年にJapan House London(イングランド)、Dovecot Studios(スコットランド)、2022年にTextilmuseum St.Gallen(スイス)でも開催されました。日本では、香川県丸亀市の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて2023年10月から12月にかけて開催されており、国内外で高い評価を受けた展覧会がいよいよ須藤氏の出身地である茨城に凱旋します。
「須藤玲子:NUNOの布づくり」丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて開催、香港ほかで好評を博した展覧会が凱旋、国内美術館では初の大規模個展
水戸での展示では、新たに水戸藩ゆかりの染色技法「水戸黒」を用いた「こいのぼり」[*2]のほか、建築家の磯崎 新(1931-2022)の設計で知られる美術館を象徴するタワー建築をモチーフとした新作テキスタイルも披露されています。
[*2]水戸黒を用いた「こいのぼり」:水戸黒とは、江戸初期の寛文年間から水戸藩に伝わる染色技法。藍の下地に西日本で採れる日本固有種のヤシャブシ(夜叉五倍子)で黒く染める。青みがかった独特の深みのある色合いが特徴的。大正期以降は化学染料の普及により継承が途絶えていたが、1970年代以降に地元の人々の手によってその再現と継承への取り組みが行われている。本展で披露される「水戸黒のこいのぼり」の制作には、地元・水戸の大谷屋染工場が協力している
見る人の楽しい気持ちや好奇心をくすぐる多彩な作品群のほか、須藤氏が日本各地の職人・工場とともに取り組んできた布づくりにおける、普段は見ることのできない舞台裏や、貴重な資料も開示されています。「こいのぼりなう!」以降もたびたびタッグを組んでいる齋藤精一氏のアーティスティック・ディレクションのもと、本展の会場にあわせて用意されたマルチメディア・インスタレーションによる複合的な展覧手法を一部でとり、テキスタイルのもつ多彩な可能性について、体感とともに伝える展示デザインとなっています。
#水戸芸術館 ArtTowerMito YouTube「須藤玲子:NUNOの布づくり」展|Sudo Reiko: Mak!ng NUNO Textiles(2024/02/05)
会期中は関連プログラムも多数開催されます(詳細は水戸芸術館現代美術ギャラリーウェブサイトを参照)。
『TECTURE MAG』では、2月16日に水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催されたメディア向け内覧会を取材。展覧会レポートを後日掲載予定です。
会期:2024年2月17 日(土)~5月6日(月・振休)
開場時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場
所在地:茨城県水戸市五軒町1-6-8(Google Map)
休館日:月曜 ※祝日の場合は翌火曜
入場料:一般 900円、団体700円、高校生以下・70歳以上・障害者手帳の提示で付き添い1名まで無料
※学生とシニアのための特別割引デー「First Friday」の実施日に特別割引あり
※学割等の適用には、学生証や年齢のわかる身分証明書の提示が必要
問合せ先TEL:029-227-8111
主催:公益財団法人水戸市芸術振興財団
企画協力:CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)Hong Kong、Japan House London
後援:アダストリア
協賛:木内酒造
協力:サントリーホールディングス
企画:高橋瑞木(CHAT館長兼チーフキュレーター)
会場構成:アドリアン・ガルデール、たしろまさふみ
アーティスティック・ディレクション:齋藤精一(パノラマティクス主宰)
企画担当:後藤桜子(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
水戸芸術館現代美術ギャラリー ウェブサイト
https://www.arttowermito.or.jp
『TECTURE MAG』への感想など、簡単なアンケートにお答えいただいた方の中から、本企画展の観覧券を5組10名さまにプレゼント!
受付期間:2月25日(日)〜3月10日(日)※受付終了
※応募者多数の場合は抽選
※結果発表:チケットの発送をもって了 ※個々の問合せには対応しません
※発送完了後、都道府県を除く住所情報は削除し、データとして保有しません