チェコ出身の建築家で、日本でも活躍したアントニン・レーモンド(1888-1976)に関連したイベントが2つ、都内にて時期を同じくして開催されます。
1つは、レーモンドが都内で設計した個人住宅の5日間限定の一般公開(武蔵野市主催)。もう1つは、レーモンドに関する書籍の日英語版の出版を記念したトークイベント(チェコ共和国大使館ほか主催)です。
東京・武蔵野市(竣工当時名称は武蔵野町)で設計した個人住宅・旧赤星鉄馬邸が、5月23日から27日までの期間限定で一般に公開されます。
武蔵野市がウェブサイトで4月28日に開催概要を発表。国の登録有形文化財である旧赤星鉄馬邸を人々に広く知ってもらうための、市の取り組みの一環で、これまでにも「旧赤星鉄馬邸の庭園活用社会実験」などが実施されています。
今回の一般公開では、建物内は順路に沿っての見学となり、庭は自由に見学することができます。
旧赤星鉄馬邸 概要
明治生まれの実業家である赤星鉄馬(1882~1951)の自邸として設計され、1934年(昭和9)竣工。鉄筋コンクリート造、建物規模は地上2階+地階1階建て。1944年(昭和19)に陸軍に接収され、戦後はGHQに接収された。2021年(令和3)2月に建物の寄贈を受けた武蔵野市の所有となる(※現在は土地開発公社が土地を先行取得、市が今後の買い戻しを予定)。
コンクリート造形の可能性を追求した建造物として、2022年(令和4)に国の登録有形文化財(建造物)に登録(詳細は文化庁 国指定文化財等データベースを参照)。
#武蔵野市 YouTube動画チャンネル:旧赤星鉄馬邸見学ツアー ダイジェスト(2022/12/05)
実施期間:2024年(令和6)5月23日(木)〜5月27日(月)
開場時間(午前/午後の2部制):9:30-12:00 / 13:00-16:30(最終入場はそれぞれ閉場45分前まで)
開催場所:旧赤星鉄馬邸
所在地:武蔵野市吉祥寺本町4-26-21(Google Map)
事前申込:不要
当日持参するもの:室内履き、外靴を入れて館内を持ち歩く際の袋
注意事項
・駐車場なし、駐輪スペースには台数に限りあり、バスなどの公共機関の利用あるいは徒歩(吉祥寺駅から約16分)を推奨
・バリアフリー非対応エリアあり、車椅子使用者は1階のみの見学可(来場時に現地スタッフに申請)
・正午から13:00まで、建物・庭ともに一時閉鎖
・撮影および個人の責任においてSNSなどへの投稿可(ほかの見学者の映り込みに留意すること)
・混雑時は入場規制を実施
概要告知(武蔵野市 2024年4月28日)
https://www.city.musashino.lg.jp/shiseijoho/shisaku_keikaku/sogoseisakubu_shisaku_keikaku/akaboshi_tei/1046895.html
旧赤星鉄馬邸の利活用について(武蔵野市 2024年4月28日)
https://www.city.musashino.lg.jp/shiseijoho/shisaku_keikaku/sogoseisakubu_shisaku_keikaku/akaboshi_tei/index.html
本イベントは、レーモンドについてまとめた書籍『日本におけるアントニン・レーモンド 1948-1976 知人たちの回想』の日英語版の刊行を記念して開催されます。
同書籍は、まず2019年にチェコのアウラ出版(Nakladatelství Aula)よりチェコ語・日本語の2カ国語版が刊行されたあと、同書のチェコ語を英訳した英語・日本語版の刊行を目指し、アントニン・レーモンド書籍化プロジェクト実行チーム(代表者:ヘレナ・チャプコヴァー)がクラウドファンディングを2021年3月に実施(クラファン詳細はこちら)。2023年秋にチェコのKarolinum出版より日英語版が発行されています。
チェコ共和国大使館で行われる今回の英日版出版記念イベントには、チェコ・日本側の編者が登壇。書籍刊行のための前述・クラファンを主導したヘレナ・チャプコヴァー(Helena Čapková)氏と、1961年から10年にわたりレーモンド事務所に勤務していた建築家の北澤興一氏がゲストとして招かれ、今年で没後48年となる建築家、アントニン・レーモンドの仕事と日本建築界に与えた影響などについて語ります。
登壇者:ヘレナ・チャプコヴァー、北澤興一
日時:2024年5月24日(金)19:00開始(18:30開場)
会場:チェコ共和国大使館
所在地:東京都渋谷区広尾2-16-14(Google Map)
電話番号:03-3400-8129
入場料:無料
参加方法:要予約、下記専用フォームより申し込み
https://forms.gle/pnSjQsue2gc46zBJA
申込受付:開催当日・5月24日(金)16:00まで
主催:チェコ共和国大使館、チェコセンター東京、ヘレナ・チャプコヴァー
※申し込みフォームを受信したチェコセンターからの返信をもって受付完了(開催近日を除き、3日以内に主催者から返信がない場合、メールまたは電話(上記)にてチェコセンターに確認の連絡をとること)
問合せ先メール:cctokyo[@]czechcentres.cz ※[@]を@に変えて送信
※申込後のキャンセルは主催者への連絡要
イベント告知(チェコセンター東京 ウェブサイト)
https://tokyo.czechcentres.cz/ja/program/antonin-raymond-in-japan
アントニン・レーモンド(Antonin Raymond)プロフィール
1888年に旧オーストリア=ハンガリー帝国(現在のチェコ共和国)のクラドノで生まれる。中央ヨーロッパでは最も古い工科大学の1つであるプラハ工科大学(現在のチェコ工科大学)で建築を学んだのち、1910年に米国に移住。建築家のカス・ギルバート、フランク・ロイド・ライトに師事。旧帝国ホテル(1923年開業)の設計のため、ライトが1919年に来日した際に同伴し、ホテルの完成を待たずにライトが諸事情により帰国した後も日本にとどまり、1921年(大正10年)に現・レーモンド設計事務所のもととなる設計事務所を開設。聖路加国際病院の設計に携わったほか、聖心女子学院(1925年)や旧イタリア大使館日光別邸(1928年)、東京女子大学礼拝堂(1937年)などの設計を手がける。戦前戦中期に離日、戦後は再び日本に戻り、設計活動を再開、リーダーズダイジェスト東京支社(1951年、現存せず)や群馬音楽センター(1961年)、旧赤星鉄馬邸(きゅうあかぼしてつまてい)などを手がけた。
レーモンド事務所の出身者には、前川國男(1905-1986)、吉村順三(1908-1997)、増沢 洵(1925-1990)らがいる。本稿1枚目の画像:弟子たちに囲まれるアントニン・レーモンド(提供:アントニン・レーモンド書籍化プロジェクト実行チーム)
レーモンド設計事務所 ウェブサイト
https://raymondsekkei.co.jp/