COMPETITION & EVENT

ミケーレ・デ・ルッキ × 藤本壮介「LEAVEITBE」

ミラノでのインスタレーションの旭川バージョン、内藤廣建築の駅舎内コンコースにて再構成

イタリア・ミラノで今春、披露された、ミケーレ・デ・ルッキと藤本壮介の2氏によるインスタレーション「LEAVEITBE」が、北海道・旭川のJR旭川駅構内の自由通路に巡回しています。同駅の設計は、建築家の内藤 廣氏が率いる内藤廣建築設計事務所が手がけたことでも知られています。

「LEAVEITBE」は、世界最大規模の国際家具見本市「ミラノサローネ(サローネ・デル・モビレ・ミラノ / Salone del Mobile.Milano)」の開催にあわせ、ミラノ市内の各所で行われるデザイン・アートの展示イベント「フオリサローネ(Fuorisalone)」の期間中、ミケーレ・デ・ルッキが主宰する建築スタジオ・AMDL CIRCLEにて発表されたものです(ミラノでの展示の詳細は、現地からの守田美奈子氏によるレポートをご覧ください)。

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ミケーレ・デ・ルッキ × 藤本壮介「LEAVEITBE」

ミラノでのインスタレーション「LEAVEITBE」会場風景(画像提供:カンディハウス)

ミケーレ・デ・ルッキ × 藤本壮介「LEAVEITBE」

藤本壮介氏(左)とミケーレ・デ・ルッキ氏、ミラノ会場にて撮影(画像提供:カンディハウス)

ミラノで初披露された「LEAVEITBE」は、デ・ルッキ氏が考案したもので、氏のブランドであるProduzione Privataの職人たちとつくったレンガを円状に床に並べています。これは地面に描かれた円であり、物理的かつ象徴的に、人間が干渉してはならない空間を定義したものとのこと。藤本壮介氏はデ・ルッキ氏のこの考えを補完する作品〈ASAHIKAWA FOREST〉を制作し、空間が構成されました。

藤本氏による〈ASAHIKAWA FOREST〉の材は、(自身の故郷でもある)旭川市を拠点とする家具メーカーの1つ、カンディハウスから提供された木材で、同社の家具づくりの過程で出る北海道産材の広葉樹(ナラ、タモ、ニレ)の端材が活用されています。

ミラノではレンガで作品を製作したデ・ルッキ氏も、今回の旭川での展示では、同じくカンディハウスから提供された広葉樹の端材を採用して作品(旭川バージョン)を製作。同地ならではの会場構成となっています。

ミケーレ・デ・ルッキ × 藤本壮介「LEAVEITBE」

ミケーレ・デ・ルッキ氏による「LEAVEITBE」旭川バージョン

なお本展は、10月21日から25日まで市内で開催される「ユネスコ創造都市ネットワーク・デザイン都市旭川会議」において開催される、トークセッション「ミケーレ・デ・ルッキ×藤本壮介 世界から見た旭川の未来と可能性」にあわせて企画されました(トークの開催概要はこちら)。ミラノでは完全予約制であったため、観覧無料かつ誰でも見ることができるパブリックスペースでの本展は、貴重な機会となります。

ミケーレ・デ・ルッキ × 藤本壮介「LEAVEITBE」

北海道産の広葉樹の端材を用いて藤本壮介氏が構成した作品(ASAHIKAWA FOREST)部分 画像提供:カンディハウス

「LEAVEITBE」コンセプト

How can we as architects contribute to the debate that is rethinking our presence on the planet? The installation tells the story of Michele De Lucchi and AMDL CIRCLE’s new research, Leaveitbe, which aims to free space from indiscriminate exploitation by humankind.
Today, the space we are able to free up is much more important than what we build because we have crossed the boundary between anthropogenic mass and biomass. By taking responsibility for the health of the planet, we should be able to define where the limits to human activity should be. When we ask ourselves what we should all do or not do in order to protect space, reduce land use and think about a new direction for the planet, we respond with Leaveitbe, a circle drawn on the ground to define an inner area that will no longer be impacted and transformed by humankind. This idea corresponds to the need to recognise space as the substance of everything we do as designers, because it is space that confers value to objects, architecture and human relationships. Our end
goal is saving and preserving space, be it natural and wild or already anthropomorphic.
Leaveitbe is a space that must be left untouched and which is self-regenerating in its relation to the context. The decision to produce it is an act of shared responsibility, an expression of working together – of those who design it and those who create it – both players in a symbolic gesture to protect space. Abandoning an anthropocentric perspective, Leaveitbe attests to the act of releasing and emancipating nature, space and the flow of life.


上記テキストの和訳
地球上での私たちの存在を再考するとき、建築家としてどのように貢献できるのか? ミケーレ・デ・ルッキとAMDL CIRCLEの新たな研究プロジェクト「Leaveitbe」は、インスタレーションを通じて、答えを示しています。このプロジェクトは、人類による無差別な搾取から“空間そのもの”を解放することを目指しています。
今日では、私たちが“空間”に何かを作るよりも、その“空間”を開放することが、はるかに重要です。なぜなら、私たちは既に、空間における人為的に造られた質量と持続可能なバイオマスの境界を超えてしまったからです。地球の持続可能な健全性に責任を持つことで、私たちは人間活動の限界を定義できるはずです。空間を保護し、土地利用を抑え、地球の新たな方向性を考えるために、私たち全員が「何をすべきか、何をすべきでないか」を自問する必要があります。そして、私たちは「Leaveitbe(そのままにしておけ)」と答えるのです。この理念は、空間が、モノや建築、そして人間関係に価値を与えるものであるという認識に基づいています。空間をすべての活動の核心として捉えることが求められています。私たちの究極的な目標は、自然や野生、あるいは既に人間によって形作られた空間を保存し、保護することです。(和英テキストともにカンディハウス プレスリリースより)

ミケーレ・デ・ルッキ × 藤本壮介 インスタレーション展「LEAVEITBE」

会期:2024年10月16日(水)~10月27日(日)
会場:旭川駅 南コンコース 中央付近
旭川駅所在地:北海道旭川市宮下通8丁目3(Google Map

ミケーレ・デ・ルッキ × 藤本壮介「LEAVEITBE」

旭川駅 南コンコースでの展示イメージ(カンディハウス プレスリリースより)

本展に関するカンディハウスのプレスリリース(2024年10月10日)
https://condehouse.co.jp/blogs/news/press_leaveitbe

 

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