日本デザインセンターにて三澤デザイン研究室を主催するデザイナーの三澤 遥氏が、飛騨産業(岐阜県高山市)とタッグを組み、木製の椅子をデザイン。その披露となる展覧会「Haruka Misawa Exhibition『HIHI DADA』」が、東京・神宮前の+81 Gallery Tokyoにて、11月17日まで開催されています。
Photo: Masayuki Hayashi
会場では、国産の小径材を用いてデザインされた新作椅子〈HIHI(ヒヒ)〉と〈DADA(ダダ)〉が、来場者が自由に座れる状態で置かれているほか、2脚の成り立ちとデザインコンセプトなどを表現したインスタレーションもあわせて展開されているのも見どころです(本稿掲載の会場写真およびプロダクトの撮影:林 雅之)。
最終日は三澤氏が在廊。17時よりギャラリートーク(4回目)も開催されます(予約不要、聴講無料)。
『TECTURE MAG』では、16日に行われたギャラリートーク(1回目)を取材しました。
Photo: Masayuki Hayashi 1階で展示中の2脚は板座(座面のみ合板を採用)、2階では張り座のタイプを展示
デザイナー メッセージ
飛騨の森で育まれ、
HIDAの匠の手から生まれた
HIHI(ヒヒ)とDADA(ダダ)。
似ているところもあるけれど
似ていないところもある
兄弟のような一対の椅子です。
展覧会では、新作HIHI DADAの
お披露目と共にインスタレーションを
開催します。
この機会にぜひお越しください。
Photo: Masayuki Hayashi
背もたれなどの曲線は、飛騨産業が得意とする曲木(まげき)の技術で1本の木材からつくる予定だったが、フィンガージョイントで仮でつくられたファーストモックアップに可愛らしさを感じた三澤氏が変更を決めた
Photo: Masayuki Hayashi
有効活用すれば森林保全にもつながる小径材を用いて、直径34ミリの丸棒を削り出している。数ある候補材の中から、ややピンクがかった肌に近い白っぽい色で、肌馴染みも良さそうな感触から、三澤氏がブナ材を採用
Photo: Masayuki Hayashi
特別仕様のカラーバリエーション(座面は生地張り)
Photo: Masayuki Hayashi
カラーバリエーションの2タイプは、会場2階で展示中(展示中の椅子は全て座ることができる)
Photo: Masayuki Hayashi
1/3の嵌合とした丸棒のジョイント部分について、三澤氏は「がっちりとジョイントせずに、なにかこう柔らかい、ナイーブな椅子のあり方が作れたらいいなと思ってデザインしました」と説明
Photo: Masayuki Hayashi
HIHI DADAが生まれるまで
飛騨産業が三澤 遥氏に国産材の椅⼦のデザインを依頼したのは2022年2⽉のことです。これより対話を重ね、同年5月には、飛騨産業の工場の見学や、104年前の創業時にブナを伐採していた森を共に歩き、ものづくりの現場だけではなく、森の歴史や現状を肌で感じていただきました。さらに広葉樹の森づくりや持続可能な森林経営を実践する現場や製材所を訪ね、私たちが目指す森づくりと一体となった家具づくりへの理解を深めました。
造形化プロセスに移行すると、三澤氏ならではの視点や美意識に基づくさまざまなアイデアが示されます。その具現化はことのほか難しく、まるで謎解きのようなプロセスとなりました。こうして未来へと続く視座のもとで様々な探究を重ね、HIHIとDADAは誕生しました。
飛騨産業×三澤遥 新作家具〈HIHI〉Photo: Masayuki Hayashi
シンメトリーなデザイン
飛騨産業×三澤遥 新作家具〈DADA〉 Photo: Masayuki Hayashi
アンシンメトリーなデザイン
Photo: Masayuki Hayashi
本展会場では、〈HIHI〉と〈DADA〉を構成するパーツを用いたインスタレーションを展開。「家に”ある”のではなく、”居る”という関係性の家具を今回はデザインしたかった。うちには〈HIHI〉がいるよ、うちには〈DADA〉がいるよ、うちには両方いるよというように」と三澤氏談(注.インスタレーションのオブジェは〈HIHI〉と〈DADA〉とは「兄弟・親戚のようなもの」で、展示品は希望があれば販売する。「一見して機能はないけれども、どのように使われるかは買ってくれた人の自由。家の中に、HIHI・DADAと一緒に置いてもらえると嬉しい」と同氏談)
会場:+81 Gallery Tokyo
所在地:東京都渋谷区神宮前3-28-9(Google Map)
会期:2024年11月12日(火)〜17日(日)11:00-19:00(最終日も19:00まで時間延長 / 三澤氏 公式X投稿より)
主催・製作:飛騨産業
企画:日本デザインセンター 三澤デザイン研究室
デザイン:三澤 遥、鈴田克弥
ネーミング :磯目 健
プロデュース:曽根良恵
撮影:林 雅之
ロゴタイプデザイン:大黒大悟
協力:ショウエイ
展覧会詳細
https://hidasangyo.com/exhibition/haruka-misawa-exhibition/