FEATURE

Ichiro Yamaguchi ×
Makoto Tanijiri
Instagram Live #01

深夜対談 #01
山口一郎(サカナクション)×
谷尻 誠(サポーズデザインオフィス)

FEATURE2020.05.13

Instagram Live @ichiroyamaguchi #01

山口一郎×谷尻誠 Instagram Live「深夜対談」2020.05.06 #01

サカナクションのボーカル・山口一郎氏がInstagram Liveで不定期に配信している企画「山口一郎の深夜対談」。
従来は山口氏が歌詞制作の参考にするために一般視聴者と話をする機会としていたが、新型コロナウイルス感染症の影響が広まるなかで、山口氏が親交のあるクリエイターに対談を呼びかけることに。
彼らがどのように現在を過ごし、困難な状況を乗り越えていこうとしているかという意見を引き出す回が続いている。
5月6日には、山口氏と長年の付き合いがある建築家の谷尻 誠氏(サポーズデザインオフィス)が登場。
建築家とはどのような職業なのか、建築業界にこれから起こる大きな変化、そして未来へ向けて歩む姿勢が示された。
※ 本企画は、山口一郎氏本人の承諾を得て記事化したものです

山口:
今日は、前回の放送で、建築家の谷尻誠さんが見ていてくれて、出演をオファーしたら出演してくれるということで、ちょっといろんなお話を谷尻さんからお伺いできたらと思います。
谷尻さんは建築家で、実は片山さんよりも出会いは古かったりします。「BRUTUS(ブルータス)」の取材でお会いしてからかな。で、広島出身の、今も広島なのかな、東京にいながら広島と東京を行ったり来たりしていて。広島の街をいろいろ紹介してくれたりとか、僕にいろんな感性を与えてくれました。今なお、色々と勉強させていただいております。その谷尻さんと、今日はお話ししていきたいと思います。
みんな建築家ってどんな仕事かっていうのが、なんとなく分かっているようで分かっていないと。僕もね、いろいろお話を聞くまでは、よく分かっていなかったの。でも、分かってくると面白い世界だし、面白い職業で、世界の一部をつくっている仕事なんだなと思って。だから、コロナの影響とかの話とかも、ちょっと色々と聞けたらなと思っています。じゃあ、谷尻さんと早速つないでみたいと思います。質問があったら、僕コメント見てるんで、メモって後で聞いたりするので。

山口:
こんばんは。

谷尻:
こんばんは。

山口:
今コロナの影響で、お仕事はどんな状況なんですか。

谷尻:
今はでも、もともと広島と東京で行き来してたんで、なんかテレワークには慣れているというか、いつもSkypeとかで打ち合わせをしていたんで、あんまり。まぁプロジェクトがスローになったり、待ったりはありますけど。

■建築家って、どんな仕事?

山口:
ちょっと今日谷尻さんにいろいろとお話を伺いしたいんですけど、建築家っていうことから。谷尻さん、歯医者に行く時に職業欄になんて書きますか?

谷尻:
まぁ建築家とか、自営って書きますね。

山口:
建築家のお仕事って、簡単に言うと、どういうお仕事なんですか。

谷尻:
基本的には、建物を建てるための設計の案を考えて、図面に起こしていくっていうようなところ、作業的にはそういうところですね。

山口:
なんかイメージとしては、僕が家を建てたいと思ったら、建築家にどんな家にするか相談して頼んで、建ててもらうっていうのが世の中の一般的な建築家の仕事のイメージじゃないですか。どんな種類があるんですか、建築家の仕事には。一般の人の住宅を建てるということ以外に。

谷尻:
お店をデザインすることもありますし、何かオフィスビルのようなものがあったり、ホテルだったり、美術館だったりとか。もう建物の用途はかなりいろいろあるので、まぁ、なかには病院ばっかりやっている建築家がいたり、美術館が得意な建築家がいたりするんですけれど、うちの場合はわりといろんな業態をやらせてもらっています。

山口:
隈研吾さんがオリンピックで使われる国立競技場を設計したじゃないですか。ああいう、依頼するのが国だったりとか、そういう大きいのしかやらない人たちもいるんですか。

谷尻:
なんか本当は小さいのもやりたいんでしょうけど、例えば隈さんに安い住宅を頼むっていう気持ちになれないじゃないですか。

山口:
はははは、確かに。お願いしたら怒られそうなイメージがありますけど。

谷尻:
本人がやりたくても、社会が頼まなくなるんじゃないかなと思って。

山口:
じゃぁ住宅しかやらない人もいれば、ホテルとかそういう美術館とか大きいのしかやらない人もいて、だけど谷尻さんの場合は、けっこう幅広くやっていらっしゃるということですか。

谷尻:
そうですね、昔のホームページには「ビルから犬小屋まで」と書いていましたね。

山口:
ははははは。実際に犬小屋をやったことあるんですか。

谷尻:
犬小屋を頼んでくれる人はいなかったですね。

■設計の前までデザインする

山口:
はははは。建築っていうもののデザインって、どこからどこまでなんですか。

谷尻:
基本的にはまだ何もないところからやることが多いですけれど、僕なんかは、建てる以前の、住宅であれば別ですけれど、それ以外の事業に関するものだと、「どういう事業をそこでやるべきか」とか、「ここには何か保育園建てたほうがいいのか、ホテルにしたほうがいいのか」みたいなところから企画をして、さらにそれを図面に起こして、完成するまでをやるようなこともかなり多いですね。

山口:
建物の使われ方までデザインするということですか。

谷尻:
そうです。はい。

山口:
なんかこう、「ここには病院を建てたいからデザインして」じゃなくて、「ここに何を建てるべきか」ということも含めてデザインして、プレゼンするみたいな感じなんですか。

谷尻:
うん、なんか例えば、「ご飯屋さんつくりたい」と依頼もらうじゃないですか。で、レストランをつくりますよね。でも、レストランがいくらかっこよくても、味がまずかったら流行らないわけじゃないですか。

山口:
確かに。

谷尻:
だから、「味がまずいよ」って言ってあげるのも僕らの仕事で。

山口:
わははははは。

谷尻:
味がまずいのに流行らないと、空間のせいにされることもある。それでは僕ら困るので、「もっとこれを美味しくしたほうがいいよ」ということを話しながら、設計の1つ前のところまで関わって、やるプロジェクトがけっこう多いですね。

山口:
へー。つまりその場所で何をするにしても、ちゃんとそれが機能するように建築後のことも考えて一緒にデザインしていくという感じですか。

谷尻:
そうですね。わりとそういうプロジェクトになるようにしています。

山口:
じゃぁ、建築して終わりではなくて。

谷尻:
そうですね。やっぱりその後に流行っていなかったら、なんか心苦しいじゃないですか。ある種、それをプロモーションしたりだとか、どういうふうに運営するのかみたいなところまで関わっているプロジェクトがすごく多いですね。

■建築家とインテリアデザイナーの違いは?

山口:
僕、谷尻さんから片山正道さんを紹介してもらったじゃないですか。片山正道さん、職業としてはインテリアデザイナーの仕事ですよね。僕の頭のなかでは建築家とインテリアデザイナーっていうものの仕事が別だというのはなんとなく分かっているんですけど、建築家がインテリアデザインまでやってしまうこともあるわけなんですか。

谷尻:
はい、最近だんだんそういうのが増えてきていて。ただ、建築家でインテリアが上手な人って少ないですよね。わりと建物全体のコンセプトを考えたり、全体をつくるのはうまくても、テーブルの脚がどうなっているかとか、細かいところまでインテリアのデザインにこだわり切るのが、今までインテリアデザイナーほど建築家は上手につくれていなかったんですね。だから、インテリアと建築が大別されていたんですけど。だけどその分ける感覚というのが、僕はいまいちピンとこなくて。だからこう、できるだけ建築もつくるし、インテリアもやるし、もちろん家具もつくるし、照明もつくるし、ロゴのデザインをするみたいなところまで、だんだんいくようになっていったんですよね。

山口:
じゃあもう、トータルのデザイン全部、引き受けるという感じなんですかね。

谷尻:
そうですね。なんか、空間がかっこよくても、トイレ行ってダサいと台無しになるみたいなことってあるじゃないですか。

山口:
いやー、めちゃくちゃある。

谷尻:
だからけっこう緻密なところを追求しない限りは、全体も成立しない気がするので。

山口:
確かに建築家で丹下健三とか、それこそコルビュジエとかもそうですけれど、家具をつくってますもんね。

谷尻:
そうなんですよね。昔は結局商品が少なくて、カタログもなかったから、みんな自分で考えてつくるしかなかったんです。

山口:
あ、なるほど。そういうことだったんですね。

谷尻:
はい。でも今は商品がカタログであってネットで探せば出てくるから、みんなつくるっていうより選ぶという価値観に変わってしまったんです。でも、選ぶって実はラクじゃないですか。考えなくていいから、そこまで。

■音から音楽をつくるように建築をつくりたい

山口:
そうですね、つくるっていうよりは、チョイスですもんね。

谷尻:
なんか一郎さんが音楽をつくる時に、ドレミファソラシドを並べ替えてつくるんじゃなくて、「音からつくりたい」って思うのと一緒だと思うんですよね。

山口:
あーなるほど。

谷尻:
やっぱり与えられた中でつくるのか、新しい音をつくり出そうとするのかでは、できるものは全然変わってくるじゃないですか。だからさかのぼって、音楽であれば音をつくたいでしょうし、建築家であれば新しいデザインをつくりたいとなるし、もし何か文章を書く仕事であれば新しい文字の概念をつくりたいっていうのが、クリエイターなのかなと思っていますね。

山口:
あー、なるほどね。でも谷尻さんみたいな考え方を持っていらっしゃる建築家って、そう多くないんですよね。

谷尻:
建築家がインテリアをやることが近年少しずつ増えてきたんですけど、建築家ってやっぱりコンセプトを立てるのがうまいので、そのコンセプトに忠実に空間をつくるんですけど、できた空間は真っ白でメシがまずそう、みたいなことはけっこういっぱいあるんですよ。

山口:
はあ、なるほど。

谷尻:
やっぱりインテリアデザイナーがつくった飲食店のほうがなんか雰囲気が良いし、美味しく感じるし。でもそこを何とか一緒にしたいなと思って、頑張っています。

山口:
谷尻さんに、建築をお願いしたとするじゃないですか、例えばホテルの。その時って、インテリアデザイナーを入れるか入れないのかっていう判断というのは、建築家がするんですか、それとも施主というか。

谷尻:
頼んだクライアント側がします。

山口:
なるほど。 谷尻さんに「インテリアも全部やって」と頼まれる場合もあるし、「じゃぁインテリアデザイナーはこの人がやりますね」とパンと投げつけられることもあるんですか。

谷尻:
えぇ、あります。

山口:
それ、けっこうあれですよね。相手のインテリアデザイナーもそうですけれど、相性がありますよね。

谷尻:
あります、あります。この人とはイヤだー、ということもあるわけじゃないですか。

山口:
僕でいったら、なんかよく分からないけど好きじゃないミュージシャンと一緒に曲をつくらなきゃいけない、みたいなことですもんね。

谷尻:
そうです、そうです。それが良い負荷となって新しいものが生まれる可能性ももちろんあるんですけど、とはいえ絶対ないでしょというようなことも、なかにはあるかもしれないので、はい。

山口:
「この人とはできません」というふうに断ることもあるんでしょうか。

谷尻:
えーっと、柔らかく「この人じゃないほうがいいんじゃないか」と言っていますね。

山口:
ハハハ。大人にね。でも良いものをつくるには、こういうことが必要なこともたぶんありますよね。

谷尻:
そうですね、はい。

■自分で仕事をつくり出す

山口:
でも建築家ということは、クライアントがいないと仕事がないわけですよね。

谷尻:
うん、それがそもそも問題だなと僕は思っていて。だって、クライアントがいない限り仕事がないしお金がなくなるという、何かどっかで他力本願なわけじゃないですか。だから、やっぱ自分で仕事をつくり出さないとダメだなというふうに思っていて。ある種自分がクライアントで自分が企画して自分が設計して、っていうところまでできれば、仕事がつくれるわけじゃないですか。

山口:
えっ、ということは、例えば土地を買って自分でそこに何か建てて、ここにこういう機能をもたせるよみたいなことをやってしまうということですか。

谷尻:
そうです。そこで人が来て、人が来ないにしてもそこでうまくマネタイズできる仕組みがつくれていれば、最悪クライアントさんから仕事が来なくなっても、自給自足できるわけじゃないですか。

山口:
ハハハハハハ。業務内容は変われど、そこで飲食店やるにしても、自分で建築してデザインしたもので飲食店やっていれば、まぁ要するに自分が施主でありデザイナーであり、飲食店経営者でもあり、ということですものね。

谷尻:
そうです。

山口:
それなんか理想ですけど、すごい大変そうですね。

谷尻:
大変だから、みんなやらないんですよね。大変なのってみんな嫌がるじゃないですか。大変なのを先にやったほうが、価値化するんですよね。みんながやりたくないこと、まだ価値化していない部分が多いにあるっていうことなんで、大変であればあるほど本当は1番ブルーオーシャンのはずなんですよ。

山口:
ハハハ。それ、会社でやるわけですよね、そうなると。

谷尻:
会社で、はい。個人でやることもありますけど。

■新しい未来がつくれるんだ

山口:
谷尻さん的な建築家のフィロソフィをお伺いしたんですけれど、今コロナの影響があって、まったく経済が今までのようには動いていないわけじゃないですか。株価も落ちてきているし、来月、再来月あたりからはみんな給料とかなくなる人もいっぱい出てきたりしますよね。こういう経済状況のなかで、建築家っていう仕事って、今はどういう状況なんですか。

谷尻:
これから仕事なくなっていくんじゃないんですかね。

山口:
クライアントがいなくなるっていうことですかね。

谷尻:
はい、頼む人が減りますよね。やっぱり未来に不安があるってことは、みんな大きなお金を使うことをできるだけ避けて生活するはずなので。減ると思うんですよね。

山口:
それは全世界的に、ということですよね。

谷尻:
はい。

山口:
そうやって仕事がなくなってくると、実際仕事がないわけだから、会社を経営していたりすると、全然自由がないというか、立ち行かなくなっていくわけですよね。

谷尻:
でも、昔にさかのぼって考えれば、こんなにバンバン仕事がなかった時代がある時に、どうやって仕事をつくるのか、どうやって仕事をするのかとみんな考えていたはずなので。今新しい時代が変わるからこそ、これからの時代に合う仕事のつくり方とかやり方を早く見つけることができさえすればいいので。今までのやり方に依存するから不安になるだけで、「新しい未来がつくれるんだ」と思ったら期待しかないですよね。

山口:
うん。ほんとその通りだと思います。

谷尻:
だから早く、この状況に自分が慣れてしまうことのほうがラクになると思うんです。

山口:
そうですよね、確かにね。淡水でしか泳げなかった魚も海水が入ってきて、慣れると海も川もどっちも泳げるようになるわけですもんね。

谷尻:
ええ、ええ、そうですね。

■建物の外がいいんじゃないか

山口:
そういう意味で、谷尻さんが今新しく建築家としてこういう状況だからやっていこうというプロジェクトはあるんですか。

谷尻:
これからは、もうホントに外がいいんじゃないかなと僕は思っていて。

山口:
外。屋外ですか。

谷尻:
今まで建物をつくって、そこにたくさんの人を呼んで、人を建物の中に入れて、そこでお金を使わせて、全部がある種、過密状態で世の中は進んでいたわけですよね。どんどん都市に人が集まって、どんどん都市にお金が集まって、都市に建物も集まって、全部そこの建物の中に詰め込んでお金を生み出していた経済モデルが、これからはもっとみんなが分散して、地方とか自然な場所に身を置きながらオンラインでちゃんとビジネスをするとか、そういうことがむしろ地方のほうが稼げるじゃんというモデルがどんどん出てくると思うんですよ。土地も安いし、生活にお金もかからないし。けど豊かで、でもちゃんと稼げている、というようなモデルがつくれさえすればいいので。変に建物をどんどん建てすぎて、みんな中に閉じ込められ過ぎているから、こういうウィルスだって早く広まるわけで。田舎で人があまりいないところだったら、ウィルスはそんなどんどん拡散しないですよね。

山口:
あー、確かに。要するに、都市に過密するんじゃなくて。実際、僕も今テレワークばかりなんですけれど、仕事が。逆にはかどるんですよ。

谷尻:
そうなんですよね。僕も、移動がなくなったからめちゃくちゃ時間がありますもん。

山口:
確かに。今まで直接会って、スケジュールをつくってミーティングしなきゃいけなかったから、なかなかスケジュールの合うタイミングがなかった人たちと、テレワークだから簡単に1日に何回も何人とも会って話せるし、ディスカッションできるんで。「え、今までなんでこれやらなかったんだろう」って思うくらい、わざわざ会っていた理由って何なんだったんだという。
谷尻:そうですよね。

谷尻:
そうですよね。

山口:
でもそれが分かったことによって、「あれ? ひょっとしたら事務所入らないんじゃないかな」とか。

谷尻:
ホントそうなんですよね。「会社って何なんだろう」と思っていますもん、最近。

山口:
ははははは。ただ集まれるだけの場所みたいですよね。

谷尻:
それ、もう家でいいじゃんと。

■負荷のない成長はない

山口:
なんかこう、どうしても会えないわけじゃないですか今。このなかでどうやって音楽をつくったらいいんだろうとか、どんなふうに、さっき谷尻さんがおっしゃったように、この状態でただ立ち止まるだけじゃなくて、この状況で何か新しいビジネスモデルを見つけようとしたりとか、新しいクリエイティブの方向性を探そうとしているみんなのこの状況って、何か新鮮というか、進化している感じがするんですよね。

谷尻:
やっぱりめちゃくちゃ負荷がかかるわけじゃないですか。それがいいですよね。僕はとにかく、「負荷のない成長はない」ってずっと言い続けていて。だから負荷がイヤでもかかるから、みんな成長せざるを得ないですよ。クリエイターは、より生きやすくなるはずなので。考えない人には、本当に辛い時代になりますよ。

山口:
ああ、確かに。

谷尻:
そもそも考えるっていう、誰もが持っている能力なので、活かしたほうがいいなと思って。みんなクリエイターですよね、本来は。

山口:
いや僕、ちょっと話がずれるかもしれないですけど、こうやって今、谷尻さんとお話ししていて、いろんな方とお話をしたり、普通に視聴者の方といろいろお話をする機会がすごく多いんですよ。今まで自分の接したことのない職業の方とか、金融の方だったり、保険の営業の方だったりとか。銀座のホステスさんとか。なんか民間のSPやっている人とか、探偵の人とか。

谷尻:
めちゃめちゃ多種多様ですね。

山口:
そういう人たちとお話をしていてすごく思ったのは、なんかやっぱり、こう社会でリアルに生きているわけじゃないですか、その人たち。僕らは僕らの社会があって、コミュニティがあってそこで生きていて、なんかそのなかだけで成長しようと今までしていたというか、比較しよう、競い合おうとしていたわけじゃないんですけど、誰かが何かを始めるとそれに刺激されて自分がまた新しいことをやろうとするとか、なんかすごい狭い世界で刺激しあっていたのが、何かこう一般の人というか、視聴者と話すことによって、何か自分たちの世界じゃない社会もちゃんとあって、当たり前なんですけれど。それによって世界ができていて、自分で今、全員が今この状況でどうしよう、なんとかしようとしているというか。それが何か分かったことで、けっこう僕のなかではものをつくるということに対して、すごくいい刺激になってきたんですよね。

谷尻:
めちゃめちゃいいですね。

■変化に弱い人は生き残れない

山口:
たぶんこれって、いろんな業種によってあるじゃないですか、こういう感覚って。で、たぶんいろんな業態によって新しい発展をどんどん出てくると思うんですけど、今後、どういう…、言い方が悪いかもしれないですけど、淘汰されていくと思います。今まで普通にやれていた人たちが、やれなくなる人、やれる人ってはっきり分かれていくと思うんですよ。たぶん。

谷尻:
いや、絶対そうなりますよね。

山口:
それは建築の世界でもあると思いますか?

谷尻:
あると思います、はい。やっぱり変化に弱い人は生き残れないですよね。これは別にコロナのことだけに限らず、常に普通に仕事をしていて問題が起きた時に、常にその問題って対応するには自分の変化が必ず必要じゃないですか。だから、変化に強い人しか生き残っていけない時代に、より強くなっていくと思うんで。

山口:
谷尻さんは比較的、建築家のなかでも変化に強いというか、自ら広島でやっていらっしゃったり、THINKというトークイベントをやられていたりとか、大学で教授もやられたりしているじゃないですか。だから、建築家としては多岐に渡っていろんなことをやっていらっしゃると思うんですけど、なんか噂で、BEAMSの土井地さんたちと一緒にオンラインサロンも始めるということも聞いたんですけど、それはどういうかたちで?

谷尻:
それも、より個の時代になるんじゃないかと思っていて。個人の力が問われる時代で、何かそれを自分たちが、僕はちょうど独立して20年なんですけど、その20年間培ってきたものをもうちょっといろんな人に伝えたいだとか、リアルな仕事として、事務所のスタッフとはもちろんやるんですけど、そうじゃないところで自分の活かし方ってないのかなって思っていて、それで違ういろんな会社さんからコンサルの依頼が来たりとか、なんかけっこう自分の会社以外の会社の手伝いをしている仕事ってけっこうあるんですよ。だからそういうのをやれる方法って何があるんだろうとずっと考えていて、1年前くらいから、「株式会社 社外取締役っていうのがあれば、いろんな会社のことを外部からズバズバ毒舌で厳しく言いながら育ててあげられる自信あるんだけど」って言っていたんですよ。

山口:
なるほど。

谷尻:
はい。それで、株式会社 社外取締役といって法人化して、そのなかの1つの事業としてオンラインサロンで、ある種いろんな会社のコンサルティングをやったりブランディングの手伝いをするなかの仕事を、サロンメンバーと一緒にやってしまうっていうことができるとまぁ、ある種サラリーマンをしながら、サロンのメンバーが、もう1個仕事をしたりとか、もちろんその人の能力にもよると思うんですけど、あるいはそれをそばで見ていると、どういう仕事をするのかっていうことが見てもらえるんで、ある種仕事のスクールというかビジネススクールが僕もできるので、そういうことをやりたくてオンラインサロンをリリースすることにしたんです。

■Instagramでセンスが分かる

山口:
つまり、実際のコンサルを何かやりながらコンサルタントを育てていく、というような感じですか。

谷尻:
そうですそうです。

山口:
なるほど、生徒でありながら、実践で。それ、いいですね。

谷尻:
もちろん僕らがそれを見ておかないと、あらぬ方向にいくと思うので。1週間前ぐらいですかね、リリースして。最初はやっぱり、濃厚なメンバーではじめたかったので、いちおう100人限定にして。

山口:
それってなんかサロンに入るには審査とかあるんですか。

谷尻:
はい、いちおう審査の項目にInstagramのアカウントを書いてもらったりして。Instagramを見ればその人のセンスも大体分かるじゃないですか。

山口:
うわっ、こわっ。怖いなぁ(笑)。

谷尻:
はい。なんか文章はいいけどこの人写真下手だなぁとか、Instagramを見るとその人の本質がけっこう現れているので、そのアカウントを皆さんに書いてもらって。あと、なぜ応募したのかを書いてもらって、僕らがこれから審査をさせてもらいます。

山口:
応募は今どれぐらい来ているんですか。

谷尻:
100よりもだいぶ…、今200ぐらい来ていますね。

山口:
面白そう。それは会費はいくらぐらいなんですか。

谷尻:
法人が1月10万円で、法人は専用のサロンルームをつくってかなりオンラインコンサルティングみたいな感じで。一般の社会人の方は月8000円。学生さんは4000円。

山口:
へー、超現実的というか。

谷尻:
そうですね。できる人は8000円を払いながらもっと稼ぐっていうモデルをつくってみたいんです。コンサルも月10万円、コンサル費用としてはめちゃくちゃ激安なんで。そうやってまだ実験的にスタートという感じです。



後編 山口一郎 Instagram Live「深夜対談」2020.05.06 #02につづく

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