FEATURE

Photo Report

見えないものが見えるようになる!?
「オラファー・エリアソン
 ときに川は橋となる」展

FEATURE2020.09.19

Exhibition: Olafur Eliasson: Sometimes the river is the bridge

ものの見方を捉え直して、未来に進む。人気アーティストによる圧巻のスペクタクル

※ 2020.6.9 – 9.27に会期は変更 / Photographs: toha

TECTURE MAGでも紹介したように第11回大林賞を受賞した、世界的に人気の現代アーティスト、オラファー・エリアソン。

現在、東京都現代美術館で開催されている同氏の大規模展「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」の会期終了が9月27日と間近に迫った今、会場の写真を中心としたレポートをお届けする。

まず目を引くのは、《太陽の中心への探査》という作品。
複雑な形状の多面体が、無数の小さな光を発しながら宙に浮いた様子に心奪われる。

《太陽の中心への探査》2017 Courtesy of the artist and PKM Gallery, Seoul © 2017 Olafur Eliasson
《太陽の中心への探査》部分 2017 Courtesy of the artist and PKM Gallery, Seoul © 2017 Olafur Eliasson

 

壁一面に光が投影された展示室では、鑑賞者が光源を背後に立つと、7色のグラデーションを伴う影が壁面に現れる。
左右に動いてみたり、壁に近づいたり離れてみたり。他の鑑賞者の影と重なったり。
次第に影が、自分から離れた存在のように思えてくる。


《あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること》2020 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2020 Olafur Eliasson

続いて設営されているのは、《サステナビリティの研究室》。
その名のとおり、大学やリサーチセンターの研究室のようだ。
今回の展覧会の主要なテーマである、サステナビリティを深堀りする内容が展開される。

スレンダーなフレームで囲われた展示台には、自然素材やサステナブルな新素材、造形のスタディが所狭しと並べられ、掛けられている。
それぞれの説明も付けられていて、作品が生み出される発想や背景が伝わってくる。


《サステナビリティの研究室》部分 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2020 Olafur Eliasson

光から起こる多様な現象を増幅して見せる作品の数々も、じっくりと体験したい。


《人間を超えたレゾネーター》2019 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2019 Olafur Eliasson

《おそれてる?》2004 Kunstmuseum Wolfsburg, Germany © 2004 Olafur Eliasson

そして、東京都現代美術館の名物である吹き抜けの大空間に設営されているのが、新作《ときに川は橋となる》。
暗幕に覆われた空間の中にあるのは、床に水が張られた水盤、上部には円形のスクリーン。
水盤の面がゆらめきさざめくと、上部のスクリーンに水面が動く様子が映し出される。

《ときに川は橋となる》2020 部分 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2020 Olafur Eliasson

会場の細長い展示空間を利用して展開されているのは、オラファー氏が探求する“新しいエコロジー”に関連する作品。
鑑賞者は、自分たち1人ひとりが地球規模の気候変動とつながり、含まれていることを実感させられる。

《9つのパブリック・プロジェクトの記録写真》部分 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2020 Olafur Eliasson
《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》2019 部分 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2019 Olafur Eliasson
《クリティカルゾーンの記憶(ドイツ-ポーランド-ロシア-中国-日本)no. 1-12》部分 2020 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2020 Olafur Eliasson

新作を含めて、実験的で意欲的な作品に接することのできる本展。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大防止のために開催期間が変更されたが、奇しくも世界的に先が見えにくい情勢と重なった。

これまでのように「川にかけられた橋を渡ること」が当たり前ではなくなった、現在。
「ときに川は橋となる」と物事の見方を捉え直すことが、新しい価値を生み出し、未来へと進む一歩になる。
本展が指し示すメッセージの意義は、作品を体感することで心に深く刺さり、さらに大きく響いてくる。
(jk)


▲オラファー・エリアソンからのメッセージと展示風景をまとめた動画


▲【講演会】オラファー・エリアソン:アートをエコロジーの視点で見直すこと | Olafur Eliasson – Art and Ecological Awareness (2019)

https://olafureliasson.net/sometimesthebridge/
▲本展特設サイト。本展のコンセプトや展示作品の背景を解説(英語のみ)


▲ライゾマティクス主催の「Staying TOKYO」に、オラファー・エリアソン氏と東京都現代美術館参事の長谷川祐子氏が出演したスペシャルトークセッションの収録動画

【オラファー・エリアソン 関連動画】

▲金沢21世紀美術館 恒久展示コレクション作品《カラー・アクティヴィティ・ハウス》(2010)


▲オラファー・エリアソンを一躍有名にした《The weather project (ウェーザー・プロジェクト)》2003。ヘルツォーク&ド・ムーロンによってリノベーションされた〈Tate Modern(テート・モダン)〉のタービン・ホールに、人工の太陽をつくり出すインスタレーション


▲映画『オラファー・エリアソン 視覚と知覚』公式予告編

『オラファー・エリアソン ときに川は橋となる』
会期:6月9日(火)- 9月27日(日)
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00 – 18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(休日の場合、翌平日)
料金:一般 ¥1,400、大学・専門学校生・65歳以上 ¥1,100、高校・中学生 ¥500、小学生以下無料
電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/
※混雑時は展示室への入場制限があり