■オフィスに戻る動きが加速。働く場はどうする!?
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コロナ禍ではテレワークが加速したと同時に、コミュニケーションやコラボレーションの重要性が再認識されました。
ワクチン接種の進み具合の早い諸外国では、オフィスに戻って働く動きが目立ってきています。
ただしアフターコロナの働く環境が、旧態依然としたオフィスでよいわけではありません。
オフィスワークやワークプレイスは、どのようにしていくのがよいのでしょうか。
ワークプレイスのプロフェッショナルとして、オフィス家具の提供やコーディネートを行うワークプレイス ソリューションズ(WSI)は、これからの働く場所について、どのように見ているのでしょう。
働くことについての意識調査から見えてきた傾向、そして未来の働き方に対応する家具の選び方を、ワークプレイス ソリューションズ 代表取締役社長の越田壮一郎氏に聞きました。
株式会社ワークプレイスソリューションズ
代表取締役社長
越田壮一郎
1974年生まれ。2013年より現職。スチールケースアジアNo.1ディーラーとして、グローバルクライアントプロジェクトに従事。近年は国内企業の働き方改革プロジェクトに数多く参画している。
■豊かに働く場の見直しと再構築が急務に!
世界最大のオフィス家具メーカー、米国スチールケース(Steelcase)の製品を取り扱うワークプレイス ソリューションズ(WSI)。
「より豊かに働く(Work Better)」を掲げるスチールケースが世界10カ国(※1)を対象に行った最新の調査レポート「グローバルレポート」(※2)では、興味深い内容が明らかになったといいます。
越田氏は、次のように分析します。
「コロナ禍で在宅勤務が強制的に始まり、世界的に2つのことが明らかになりました。
1つは、通勤時間がなくなるメリット。もう1つは、従業員が孤立しやすいというデメリットです」。
▲「同僚と再度つながる」「組織とのつながりと目的意識の共有」「静かでプロフェッショナルな環境」「対面でのコラボレーション」などが、ほぼすべての国で求められている
「当初は、従業員が孤立する状況をテクノロジーが埋めて解決するのではないかという期待もありましたが、対面でコミュニケーションするほうがテクノロジーを上回ってきたことが認識されています。
そうした面で、これからのオフィスは、より創造的な付加価値を追求する企業ニーズに応える場所としていくべきではないかと考えられます」。
豊かに働く場の見直しと再構築が求められており、今後の企業成長の鍵はそこにある、というわけです。
※1 オーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、メキシコ、スペイン、イギリス、アメリカの10カ国
※2 「Changing Expectations and the Future of Work」(従業員意識の変化と働き方の未来: コロナ禍を契機に加速する「より豊かに働く」オフィスづくり)/ Steelcase
■従業員の5つの欲求&注力すべき4つの視点
「グローバルレポート」では、アンケート調査から導かれた従業員の欲求が、5つにまとめられています。
越田氏は「“安心・安全”は、COVID-19を受けての欲求です。帰属意識は以前から言われていたことでしたが、より鮮明になったといえます。“生産性”では、集中とコラボレーションをどのように分けるのかが課題となっています。“快適さ”には、身体的なウェルビーイングや情緒的なつながりも含まれます。“コントロール”という面では、オフィスや家、サードプレイスといった働く場を、どれだけ自分で選べるかという欲求が強く出てきています」と語ります。
また、グローバル企業のリーダーインタビューから得られた、将来のオフィス環境に対して注力すべき視点としてまとめられたのは、「安全性」「生産性」「一体感」「柔軟性」の4つです。
越田氏は次のように説明します。
「“安全性”は、オフィスでのウイルスの検出や予防を可能にする環境を意味します。そして、将来の同様のパンデミックにも対応し得る環境を考慮する視点です。
“生産性”については、オフィスではチームでコラボレーションすることと個人での集中ワークもあり、相互をいかに組み合わせて生産性を向上できるかという視点です。
“一体感”は、人のつながりや絆を築き、目的意識や組織への帰属意識を育むための視点です。
そして“柔軟性”は、柔軟な働き方に対応したフレキシブルな環境を意味します」。
これまでのオフィスでは特に効率が重視されてきた傾向がありましたが、従業員の意識や価値観の変化によって浮上した多様な欲求への対応が迫られています。
企業のリーダーが将来のオフィス環境に対して重視している視点が、「安全性」「生産性」「一体感」「柔軟性」というわけです。
■設計デザインではここがポイント!
では、具体的にどのように設計を進めることができるでしょうか。
スチールケースの「グローバルレポート」では、4つの視点に対応して設計デザインの基準を示しています。
越田氏は4つの視点について、次のように解説します。
「チームの集まりにも、コラボレーション、学習とソーシャルという要素があり、個人ワークとの間をいかにスピーディーに行き来できるかが重要とされます。
『固定から流動へ』ということでは、『こういう仕事をするからこの場所に行く』ということから、その場所自体を自分たちでつくって変えられるような環境を整えていくことが求められます。
また、オープンとプライバシーがより明確になってきたこと、仕事の内容が複雑になり多様化していることから、高集中のブースを含めて具体的に構成していくことが必要です。
そして、リアルな場にネット / デジタルを組み合わせて融合させていくこと。リモートワーカーも対等な体験ができる場づくり、また今後のAI駆動型体験を実現するためのセンサーテクノロジーの導入が挙げられます」。
いずれも以前からあった考え方が、コロナ禍でいっそう加速した、と越田氏は指摘します。
ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)、つまり時間や場所を自由に選択できる働き方も、いっそう進んだかたちが必要とされています。
「“ハイブリッドな働き方” に対応することが、鍵となります。今後のオフィス環境計画は、コラボレーションと集中ワークがバランスよくサポートされた多目的スペースが主流になると考えられます」と越田氏は予測します。
■これからの働き方に対応した家具選び
「流動的かつ柔軟なオフィス」を実現するために、具体的にどのような家具を選んでいく必要があるのでしょうか。
これまでの考えを反映し、WSIのオフィスにも導入されている製品のいくつかを紹介します。
▲WSI社に設置されているミーティングテーブルについて解説する越田氏
▲スチールケースが提案するオフィスの例
▲「Steelcase Flex Collection」。変化するチーム活動に合わせて、チーム自らが必要に応じてスペースを調整することを可能にする
▲「上下昇降デスク」。上下昇降に加えて、脚にローラーが付いていてデスク自体を動かせる
▲「Flex Huddle Hub(フレックス・ハドル・ハブ)」。湾曲した面をもち、動かすことができるホワイトボードなどが付いた家具。短いミーティングに対応する
▲「立位高テーブル」。大きなホイールが付き即座に動かせるデザイン
▲「Flex MobilePower (Black)」。持ち運びできる小型バッテリーと充電用ステーション
▲「Buzziシリーズ」の「BuzziPleat」。柔らかな素材のシェードが、オープンなオフィススペースでストレスになりやすい音や声を集める効果がある
「正解がわからない時代にあって、多目的でフレキシビリティをもつオフィススペースは有効です。今回挙げたポイントと設計デザインの基準を、マルチなファンクションをもたせた空間づくりに役立てていただければと思います」と越田氏は語ります。
ワークプレイス ソリューションズ(WSI)公式ウェブサイト
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