■ ARC-X をマンションリノベーションに
東京都内のマンションの、フルリノベーション住宅〈T邸〉。
中庭のようなスペースが外壁から入り込んだ住戸で、リビングやダイニング、キッチンがリノベーションで一体となった空間には外光がふんだんに入ります。
そして、中央にある水回り空間はゆったりとつくられ、シンプルな洗面器が設置されています。
設計をしたのは、数々の住宅をはじめ、ホテルやカフェなどのデザインを手がける芦沢啓治氏(芦沢啓治建築設計事務所代表)。
「広い洗面にしたい」という要望があった中で、どのように水回り空間を考え、洗面機器を導入していったのでしょうか。
設計の詳しい経緯とポイントについて、芦沢氏に話を聞きました。
Movie & photographs: toha
■ ゆとりを感じられる間取りに変更
有名なライフスタイル誌の編集者であるクライアントから、家族で暮らすマンションの購入とリノベーションにあたって相談を受けたという芦沢氏。
芦沢氏は相談に乗るなかで、ゆとりが感じられる住空間を提案したといいます。
「マンションのもとの間取りを見て検討し、ゆったりとした洗面空間であったり、リビングと親和性の高いキッチンを提案しました。また、家具や照明も好きな方なので、コーディネートも楽しめる家になったらいいのではないかと設計しています」(芦沢氏)。
部屋を細かく区切って小割にされ、4LDKとなっていた、もとのプラン。
この間取りを、コの字型にテラスが入り込んだ主要採光面側にLDKを大きくとり、共用廊下側に2つの個室をとったプランにリノベーション。
リビングとダイニングを中心にした住空間へと、大きく変貌しました。
■ パウダールームで必要とするサイズ感
全体のプラン変更に合わせて大きく手を加えられたのが、水回り空間です。
住戸の中央に位置している水回りについて、浴室に続くパウダールームと、トイレは廊下を挟んで別々に設置。
芦沢氏は壁の位置を変更し、それぞれに広い空間を確保しました。
「もとのプランに比べて、だいぶ広げました。住空間では、本当は洗面空間とランドリー空間を分けたいと思っているのですが、通常のマンションの改修では難しい。それなら、ある程度の広さがあったほうが、洗濯をして物干しをすることにも対応しやすいと思います」(芦沢氏)。
〈T邸〉のパウダールームは、入って右手に洗面台と鏡、棚が設えられ、左手に洗濯機とチェストが置かれています。洗濯機とチェストの上部はフリーで、伸縮式のワイヤーロープを使って室内干しもできる仕様。
1つの空間で機能を兼ねてはいますが、洗面台に向かったときは背後の洗濯機が視界に入らず、身だしなみに集中できます。
■ 水回り空間での設計プロセス
住戸全体のデザインから洗面空間、そして洗面器に至るまでのデザインは、どのように考えていったのでしょうか。芦沢氏は次のように語ります。
「モダンでインダストリアルな雰囲気を、できるだけ家の隅々にまで行き渡らせたいという想いがありました。全体のトーンを想定している中で、ARC-Xの洗面器をクライアントにお勧めしたのですね。
ARC-Xの持っている質感は、非常にアノニマスなところがあると思います。そして特に、今回選んだ洗面器のフォルムは、あの空間に合っている気がしました」。
芦沢氏が採用したのは、ARC-Xのスクウェア(角型)タイプの洗面器。
カウンターテーブルの上に人造大理石のボウルがすっと馴染むように取り付けられています。
また、住宅の設計では、クライアントの持ち物も同じ空間に現れてくるもの。
そうした場合もARC-Xは馴染みやすく、〈T邸〉でも相乗効果をもたらしています。
洗面コーナーの左の壁に設えられているのは、デンマーク発の名作「String(ストリング)」のオープン棚。
「この棚はクライアントが所有していたもので、計画途中でパウダールームに設置することが決まりました。この空間に入ってくるのであれば、洗面器など他のものはシュッとシンプルに抑えたほうが棚とバッティングせず、棚を愛でることができるのではないかと考えました」(芦沢氏)。
■ 空間に馴染み引き締めるARC-Xの存在
ARC-Xの洗面器を事前によく確かめ、検討していた芦沢氏。
実際の住空間に導入した今、完成した姿をどのように見ているでしょうか。
「今回の物件でARC-Xを入れて、よかったです。コストパフォーマンスが良く、デザインがいい。洗面器と洗面空間とのバランスはけっこう難しいのですが、今回は洗面器のおかげで空間が引き締まりました」。
「設計者は、納品して一度いいなと感じる製品があると、他でも使おうかな、と思うものですよね」と語る芦沢氏。
現在設計しているハウススタジオのプロジェクトでも、ARC-Xを納品したところだといいます。
「こちらはどちらかというとオールドファッションな水回りで、ARC-Xがピリッとした感じで入ってくるという空間です。面白いバランスになると思っています」。
〈T邸〉で得たシンプルな水回り空間の次に、ややデコラティブな空間に納め、コントラストの効いた水回り空間をつくろうとしている芦沢氏。
ARC-Xを使ったさらなる空間設計のバリエーションと可能性に、芦沢氏は期待を寄せています。
ARC-X(アークエックス)
流行に左右されることなく、普遍的な価値を備えた、水まわり製品シリーズ。
あらゆる多様性を受け入れ、どんな空間にもフィットすることで、空間づくりの可能性を拡げる。