2025年も、TECTURE MAGでは世界中の多種多様な建築プロジェクトをお届けしてきました。
スター建築家による新プロジェクトから、地方の小さくもインパクトのあるリノベーション、未来を描く都市構想まで、ご紹介したプロジェクトは300を超えます。
この膨大なアーカイブの中から、今年最も読者の注目を集めた記事はどれだったのでしょうか? PV(ページビュー)ランキング形式でトップ10をご紹介します。今年の世界的な建築トレンドを、このリストから紐解いていきましょう。
(トップ画像=〈アスレチックス・ラスベガス・ボールパーク〉設計:BIG+HNTB、Image by Negativ)
注目を集めた海外プロジェクトTOP10
No.10
ワイルドネス・プロムナード / BDSD Boundless Design(中国・恵州)
中国の酒造場跡地に残る建築と野生味あふれる自然が融合した文化拠点

© Greenimages
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70年の歴史を刻む中国の酒造場を再生した文化コミュニティ〈ワイルドネス・プロムナード〉BDSD Boundless Design
No.9
2025年プリツカー賞を中国の劉家琨氏が受賞
作家としても活躍する建築家が追求する「対極の融合が生む空間の物語」を建築作品を通して紹介

〈二郎鎮天宝洞区の改修〉photo courtesy of Arch-Exist
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2025年プリツカー賞を中国の建築家 劉家琨氏が受賞!作家としても活躍する建築家が追求する「対極の融合が生む空間の物語」を建築作品を通して紹介
No.8
Lvwaスポーツブックストア / Studio YUDA+Studio NOR(中国・上海)
アトリウムに「本の山」がそびえ立つ、上海初のスポーツをテーマとした書店

© CreatAR
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アトリウムに「本の山」がそびえ立つ、上海初のスポーツがテーマの書店〈Lvwaスポーツブックストア〉中国、Studio YUDA、Studio NOR
No.7
TARASANA / MA Estudio(メキシコ・イェラパ)
肉体と精神を癒す、メキシコのジャングルに設計された有機的なヒーリングセンター

© MA Estudio
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No.6
パース博物館 / メカノー(スコットランド・パース)
1914年に建てられた旧市庁舎を保存しつつ再生した博物館

© Greg Holmes Photography
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No.5
〈ルーヴル美術館〉の未来を描く5組の建築家たち
藤本壮介やSANAAなど、世界的な建築家が名を連ねる大規模改修コンペティションのファイナリストが発表

Photo by Mak Studio / iStock
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No.4
リヤド万博2030マスタープラン / LAVA(サウジアラビア・リヤド)
国際イベントの開催地としてだけでなく、小売・飲食・コミュニティ体験を核としたダイナミックな「グローバル・ビレッジ」として構想された、「リヤド万博2030」のマスタープラン

©︎ LAVA / BUCHAREST
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No.3
ザ・チャペル / Vinklu(ルーマニア・ブカレスト)
ルーマニアの首都ブカレストという高密度な都市の狭小地に建てられたコーヒーショップ

© Vlad Patru
狭い敷地を活かした親密さと、特徴的な鋭い三角屋根により高さのある開放感を両立した空間です。
微気候、自然光、歩行者動線を計測・分析して設計に反映し、狭小地だからこそプレファブリケーションにより実現した、小さいながらも工夫の詰まったプロジェクトとなっています。

© Vlad Patru

© Vlad Patru
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No.2
古廈水田書店 / TAO(中国・福建省)
福建省の古い村にて長年放置されていた古民家をアダプティブリユースした、新と旧が交わる書店

© CHEN Hao
中国でさまざまなユニークな書店を展開するリブレリ・アヴァンギャルド(Librairie Avant-Garde)の書店です。
残されていた土壁を維持しつつその内側に新築部分を形成した、新旧が融合した空間となっています。

© CHEN Hao

© CHEN Hao

© CHEN Hao
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No.1
アスレチックス・ラスベガス・ボールパーク / BIG+HNTB(アメリカ・ラスベガス)
世界的な建築家集団BIGが手がける、MLBチーム アスレチックスの新たな本拠地

Image by Negativ
〈アスレチックス・ラスベガス・ボールパーク〉は、アスレチックスのラスベガス移転を象徴する新たな本拠地です。ビャルケ・インゲルス率いるビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)にとって初となる野球スタジアムとなっています。
エンターテインメント都市「ラスベガス」にふさわしい建築的アイコンとして設計されており、野球の「ペナント」をモチーフとした5枚のシェル状屋根が特徴的な建築です。

Image by Negativ

Image by Negativ

Image by Negativ
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ランキングから見る2025年の潮流
Trend 1:土着的な素材と再生(Re-use & Vernacular)
No.2:古廈水田書店
No.6:パース博物館
No.10:ワイルドネス・プロムナード
派手な新築だけでなく、その土地の歴史や既存躯体(土壁や工場跡)を活かした、「物語のある空間」が共感をよびました。

古廈水田書店 / TAO © CHEN Hao
Trend 2:都市を変える建築(Iconic Impact)
No.1:アスレチックス・ラスベガス・ボールパーク
No.4:リヤド万博2030
BIGによるアスレチックスの新スタジアムから、2030年のリヤド万博の計画など、都市の風景を一変させるようなプロジェクトへの関心も健在です。

リヤド万博2030マスタープラン ©︎ LAVA / BUCHAREST
Trend 3:身体性を刺激する空間体験(Physical Spatial Experience)
No.3:ザ・チャペル
No.8:Lvwaスポーツブックストア
都市の隙間に入り込むような親密なスケールのカフェや、見上げるような「本の山」がそびえる書店など、その場に身を置いて初めて感じる「スケール感」や「包容力」のある空間にも注目が集まりました。

ザ・チャペル / Vinklu © Vlad Patru
トップ10から見えてきたのは、建築表現の広がりです。 都市を変えるほどのプロジェクトから、ローカルな素材に新たな命を吹き込むリノベーションまで、2025年は建築がもつ可能性の幅広さを改めて感じる1年となりました。
2026年もTECTURE MAGは、世界中の建築トレンドをお届けします。本年も多くの記事をご覧いただき、本当にありがとうございました。 良いお年をお迎えください。