昨年11月からエントリー、今年2月からFIRST Roundの投票が始まったTECTURE AWARD 2025。エントリー全1,033作品のうち、FINAL Roundへ29作品が進出。3月27日にすべての投票が締め切られました。
TECTURE AWARD 2025では、FINAL Roundの一般投票で最も得票数の多かった作品および、建築部門・インテリア部門の各上位3作品に「TECTURE賞」を贈呈します。
また、今年は新しく設定された「TECH」「SUSTAINABLE」「U-35」の3テーマごとに、得票数が最も多かった1作品に「特別賞」を、アンバサダーがそれぞれ選定する1作品に「アンバサダー賞」を贈呈します。加えて、ゴールドスポンサー9社の製品を採用した応募作品のなかから、得票数に関係なくそれぞれのスポンサーが選ぶ3作品に「スポンサー賞」が贈られます。
ここでは上位各賞に加え、スポンサー賞27作品もすべて紹介します!
【 TECTURE賞 】
【 GRAND PRIX 】
〈奄美大島の家〉 株式会社酒井建築事務所

photo by 石井紀久
【 ARCHITECTURE GOLD PRIZE 】
〈報恩寺納骨堂〉 株式会社酒井建築事務所

photo by 石井紀久
【 ARCHITECTURE SILVER PRIZE 】
〈緑の家〉 青木真研究室

photo by 日吉祥太
【 ARCHITECTURE BRONZE PRIZE 】
〈MIRU AMAMI〉 ADX

photo by Satoshi Kondo
【 INTERIOR GOLD PRIZE 】
〈KURUTO〉 株式会社クル

photo by 河田弘樹
【 INTERIOR SILVER PRIZE 】
〈DAIKI〉 shirotokuro

photo by 見学友宙
【 INTERIOR BRONZE PRIZE 】
〈Red Earth Clinic〉 AAAA

photo by YASHIRO PHOTO OFFICE
【 特別賞 】
【 SPECIAL PRIZE “SUSTAINABLE” 】
〈報恩寺納骨堂〉 株式会社酒井建築事務所

photo by 石井紀久
【 SPECIAL PRIZE “U-35” 】
〈兜町に伝播する “黄色い” パブリックスペース 『ki-ten』〉parkERs

photo by 木村雄司
【 SPECIAL PRIZE “TECH” 】
〈The Warp〉三菱地所設計

photo by Dua Photography Studio
【 アンバサダー賞 】
〈Agrocel, Dhordo – Factory Canteen〉 Studio Dot
赤松佳珠子 選

photo by Dhrupad Shukla
この建築は、インドの化学産業企業の工場敷地内にある従業員のための食堂で、屋根とルーバーが生み出す表情が印象的な建築です。その屋根には船舶解体場から回収しアップサイクルされた木材、廃棄されたジュート袋や石灰、そして地域産の羊毛を活用した、断熱材が使われています。また、美しい表情を生み出すと共に、内部に日陰を作っている木製ルーバーも地元の製材所から調達した端材を活用するなど、様々な地元資源の利用や再活用を行っています。そして特筆すべきは、これらが近隣地域の学校中退者を対象に建築工芸を教える教育機関との協働により制作されているということです。産業、教育、地域資源活用などあらゆるものが、統合され、美しい建築として立ち現れた素晴らしいプロジェクトとして、個人賞として選出させていただきました。(赤松)
〈奄美大島の家〉 株式会社酒井建築事務所
石川悠介・谷尻 誠 選

photo by 石井紀久
南国・奄美大島らしいとても自由な建築。
地球環境や地方の住まいという社会的課題にアプローチしていることで関心深いことは勿論ですが、それ以上に空間が心地よく感じます。新しい現代テクノロジーとプリミティブな伝統的要素が丁度良く混じり合うのも素敵です。
カーテンがなく外に開き、自分で好きな場所を選ぶことができる。陽の光や、心地よい風の通り抜け、雨の音や土の香りを感じる、そして地域の人が集まることもできるおおらかさ。
本来、住まいというものに最も求められる「安心感」と、その先にある「自由さ」が正に体現されていると感じ、今見て欲しい住宅建築として選定させて頂きました。(石川)建築の設計は、もはや単に建物の形だけを決める行為ではなくなっている。建物をつくることでどのような環境を生み出し、それが地球環境や社会にどのような影響を与えるのかまでを含めて構想することが、設計者に求められる時代である。
この住宅は自邸でありながら、そうした社会的課題を自ら設定し、試行錯誤を重ねながらデザインとして解き切っている点に価値がある。
その姿勢と実践を高く評価し、個人賞に選出した。(谷尻)
〈吉富のレストラン〉 NKS2 architects
大野 力・クライン ダイサム アーキテクツ・羽鳥達也 選

photo by YASHIRO PHOTO OFFICE
確か1000件くらいの応募作品を拝見しましたが、本作が最も記憶に残りました。半透明の大きな寄棟屋根を複数のRC小屋が支える構成が明快で、それによって生み出される屋内外の現れは伸びやかで機能的です。周辺環境との連続性も素晴らしい。またその建築的な魅力が、そのままレストランとしての体験価値を高めている点を高く評価し個人賞に選出しました。(大野)
これほどおおらかで軽やかな大屋根を見たことがあるだろうか。ポリカーボネートと木材で構成された屋根がインパクトのあるデザインで、和食レストランという先入観にとらわれない大胆さを評価した。瓦屋根を連想させるデザインでありながら、素材の選択によって軽やかさと温室のような気持ちよさを感じさせ、和のセオリーに頼らずに和のエッセンスを感じさせるスマートなデザインとなっている。さらに、複数の独立した個室は、独立した小屋組みが大屋根によってゆるやかに一体感をもちながら、内と外、庭が連続し、空間全体に心地よいリズムと広がりを生み出している点も魅力的である。(クライン ダイサム アーキテクツ)
吉富のレストランの形式は、住宅としても展開可能なものだと思いました。都市部でも地方でも、地面に接している戸建て住宅では、プライバシーや防犯性を保つことと、開放感のある住環境の実現は相反する欲求です。壁に窓を設けて開放的にしようとしてもカーテンは閉めっぱなしになっていますし、防犯の面でも不安が残ります。
さらに、環境性能や防火性能など、時代を重ねるごとに制約が多くなっている窓を設けることは、そうした性能に規定された自由度の少ない景色を生み出してきたようにも思います。こうしたことからも壁で囲い、上部から採光を得るといった建築的な解答が増えてきているとも思います。
そうした形式は美しくはあるけれども、閉鎖的でどんな人が住んでいるのかわからない、生活感のない街並みを助長しかねないと危惧してきました。このレストランの形式は、こういった課題が潜む住宅地のこれからの景色を、住み手の不安はないがしろにせず、特段の高価な材料や構造形式を必要とせず、窓の性能や治安など、時代による変化にも応じていける普遍性の高い形式でありながら、住み手の個性や生活の気配が滲み出るような街の景色を生みだすのではないかと想像しました。
特に、応募資料の夜景のように、街の家々の屋根が光っている景色が生まれたら、その街に住む人は、なにか嫌なことがあった日でも、それが見えた瞬間にほっとするのではないかと思えました。そういった観点から、住宅地の新しい景色や表情をつくりうる形式が発明的だと思えたことが個人賞として選出した理由です。(羽鳥)
〈CENE FUKUOKA〉 ANONIMAL design community
窪田 茂 選

photo by 鳥村鋼一
既存住宅をジュエリーショップへと改装した本プロジェクトは、デザインとアイデアに満ちた完成度の高い作品である。ブランドコンセプトを丁寧に読み解き、素材やテクスチャの選定、形状や配置に至るまで、細やかな検討が積み重ねられている点が印象的であった。細長い既存住宅の特性を巧みに活かしつつ、床を抜いてアーチ状の発光天井へと大胆に転換するなど、空間に新たな価値を与えている。
一方で、既存の左官を残すなど、継承すべき要素を的確に見極めている点にも高い評価ができる。多様なコンテクストが重なり合う構成でありながら、全体としての統一感は損なわれておらず、場所ごとに異なる空間体験が展開される、多層的で豊かな空間となっている。(窪田)
〈Mardi Mercredi Daikanyama〉 Creative Studio Unravel
倉本 仁 選

photo by Sunghoon Han
初めてTECTURE Awardの審査に参加させてもらいましたが、私自身がプロダクトデザイナーということもあり、その専門性をもって今回の審査にあたらせていただきました。
中でも「Mardi Mercredi Daikanyama」は、空間の全体性から細部に至るまで、一貫したコンセプトの追求がなされていると感じました。
特に什器の細かいディテールまで、あるいはそのデザインのあり様まで美しく丁寧に、そして来場者のことを考えて吟味されていると感じました。非常に素晴らしい作品だと思います。(倉本)
〈伊豆市津波避難複合施設 テラッセオレンジトイ〉 東京大学生産技術研究所今井研究室
齋藤精一 選

photo by Kai Nakamura
今回私が選出させていただいた東京大学生産技術研究所今井研究室の〈伊豆市津波避難複合施設 テラッセオレンジトイ〉は、避難タワーに新たな施設機能を加えるという、非常に斬新な試みでした。
従来の避難タワーはその機能のみに特化しがちですが、本作のように他機能を混在させることで、日常生活や観光の中に自然に溶け込む施設となります。過去の震災を振り返り、防災を考える際に、こうした日常と地続きにある施設のあり方は、本アワードに相応しい素晴らしいアプローチだと感じました。(齋藤)
〈and father〉 株式会社saiku
佐藤可士和 選

photo by 田原耕平
「スクエアで簡潔なエレメントを挿入する」という明快なコンセプトにより、機能的かつ洗練されたショップ空間を実現している。特筆すべきは、削ぎ落とされた素材と色調の選択、そして細部への執念とも言えるこだわりだ。目地の割り付けから異素材の収まり、動線に寄り添う特注什器に至るまで、緻密な設計が主役の商品を鮮やかに際立たせている。設計者の情熱と確かな技術が随所に宿った完成度の高い空間であり、今後もこうした質の高い作品が社会に提示されることを期待したい(佐藤)
〈滑床ビジターセンター万年荘〉 YOUBI
鈴木健一郎 選

photo by しんめんもく 後藤健治
私はキャリアの半分以上を海外で積み、現在は海外設計事務所の日本代表として、異なる文化的背景を横断する視点から建築に向き合っている。そうした経験から、「日本的」なものをいかにコンテンポラリーに昇華するかという点に関心を持ってきた。
その観点から、本建築は勾配屋根が求められるいわゆる「屋根問題」に対する洗練された解答である。切妻屋根とヒューマン・スケールに寄り添う緩やかな下屋根の組み合わせは、空間構成としても明快で心地よい。地産材の流通規格を活かした構造的合理性や持続可能性への配慮も自然に統合され、地域に愛される場所を静かに生み出している建築である。(鈴木)
〈ハイツ自然園リニューアルプロジェクト〉 合同会社インクアーキテクツ
高橋寿太郎 選

photo by 渡辺慎一写真事務所
この建築には、佇まいの「落ち着き」がある。デザインの現代性を主張するより、時代が分からなくなるような、ある種の普遍性が漂っている。
プロジェクトは設計の前段階である企画から始まっており、築50年の建物に、取り壊して建て替えの選択肢しか無かったオーナーに、全面的なリノベーションの提案により、さらに50年先の未来の可能性を開いた。そして、カフェの開業と運営を建築家が自ら行い、さらに賃貸募集サイトを自らつくり情報発信した。
社会との接点までを含めた構想は、建築の枠組みを超えたプロジェクトになった。
企画、設計、運営、そのすべてが無理なく結びつき、結果として佇まいの「落ち着き」を獲得した、静かな秀作だ。
建築家と同時に、優れた選択をしたオーナーに賛辞を述べたい。(高橋)
〈MIRU AMAMI〉 ADX
太刀川英輔 選

photo by Satoshi Kondo
美しい外観・内観の裏側に、国立公園の環境生態系への深い配慮が息づいている。この離島の傾斜地での施工は決して容易ではなかったはずだ。それでも土地への影響を最小限に抑えながら、この完成度を実現した技術と志に敬意を表したい。
高床式の独立基礎で建物を地表から浮かせ、奄美の生態系へのダメージを最小化している。そしてこれが、パネル工法と木造による従来の3分の1の施工期間で実現されているという事実に驚かされる。
プレファブとは思えない美しさ。
見えない部分にこそ設計者の誠実さが宿り、その誠実さが、結果として見える美しさを支えている。長く愛される建築になるだろう。(太刀川)
〈さちばるビレッジ〉 株式会社一級建築士事務所STUDIOMONAKA
手塚貴晴+由比 選

photo by 井田佳明
琉球石灰岩の岩の間を通って建物に上がるところや、思い切り土に開いた中間領域など、子供たちが過ごすスペースとして非常に環境を楽しめる場所が出来上がっている点を評価しました。私たちの事務所がセレクションしたなかでも、最もコンテクストを読んでいる作品で、外部と内部という昔ながらのくくりに依存している作品に対して、内部空間と外部との流れるような繋がりが生まれている点が素晴らしい。内部に浸潤していく空間の構造がとてもよくできている秀作だと思います。(手塚貴晴+由比)
〈アイコットリョーワ本社オフィス〉 永冶建築研究所+dddessin
徳山弘基 選

photo by ToLoLo studio 谷川ヒロシ
多くのオフィスが「働きやすさ」を無難な空間表現に回収してしまうなかで、この計画はそこに留まっていません。既存倉庫の荒さ、構造の強さ、素材の時間性をあえて残し、会社の身体感覚を空間に定着させている。自社タイルも地域の桧も、単なる素材の説明ではなく、企業の輪郭を語るメディアとして使われている。空間がブランドになる、その本質を静かに示した仕事だと思います。(徳山)
〈Palitana Rangmandap: Sacred Shelter and the Architecture of Restraint〉INI Design Studio
成瀬友梨 選

photo by Vinay Panjwani, India
伝統的な寺院建築群の間に新しい構造を挿入することで、巡礼に来る人々を厳しい自然から守る空間が生まれています。新しく挿入されたフレームがシンプルなグリッドでありながら、上部はアーチ形状となっていることでおおらかな印象を持ち、広い空の下、自然環境とも呼応しています。またフレームの素材をコールテン鋼にしたことや天蓋の素材も透け感があり彩度を落としたものとすることで、寺院建築の石灰岩とも馴染んでいます。新しい構造であることは明快でありながら、伝統建築と対比的にならず、寄り添うような佇まいを持っていることが魅力的だと思いました。(成瀬)
〈NOT A HOTEL OFFICE〉 NOT A HOTEL
山下正太郎 選

photo by Kenta Hasegawa
RTO(Return To Office)が進むなかで「働く場」の再定義が求められている。本作はその状況に対し、「生活と労働の統合」および「オフィスがオフィスである意味」という根源的な問いに正面から応答している。建築を通じて風景を顕在化させる同社の哲学は、企業を画一的な都市空間から解き放ち、ライフスタイルの延長線上にある豊かな体験へと接続した。ここで立ち現れるのは、抽象化された作業ではなく、その会社固有の文化に根ざした身体的な仕事の風景である。自由の拡張か、あるいは労働の常時化か。その両義性を孕む静かな佇まいを含め、本作はオフィス制度の外側に広がる新たな可能性を鮮やかに提示している。(山下)
〈小屋を被るビル〉 PERSIMMON HILLS architects
山根脩平 選

photo by 株式会社OFP/Kenta Hasegawa
屋上であった部分に軽やかで立体的な鉄骨架構を付加することで、開放的な内部空間を創出する構成が極めて明快である点を高く評価しました。
今後、既存ストックの活用がより重要性を増す中で、本計画は空間的価値と構造的応答を高い次元で両立したマイルストーンとなり得ると考え、個人賞に選出しました。(山根)
【 スポンサー賞 】
エービーシー商会賞
〈高岡向陵高校〉dot studio
〈THE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collection〉A.N.D.
〈Salon du Vin IVRESSE〉ミギリデザイン合同会社
朝日ウッドテック賞
〈里山だった場所と融合する家〉MAP
〈SEA-LIFE TSURIGASAKI〉株式会社GEN INOUE
〈T-HOUSE〉依田英和建築設計舎
ダイナワン賞
〈OmShantiS〉タカラスペースデザイン株式会社
〈大阪市浪速区幸町プロジェクト〉タット・プラン&T株式会社 一級建築士事務所
〈八十八 渋谷〉株式会社MOAI
ユニオン賞
〈TATSUMI〉Roito
〈通り庭の家〉田井勝馬建築設計工房
〈VILLA BIG SKY〉ARTE-1 ARCHITECTS
グローエジャパン賞
〈T1904〉PORTLOUNGE ARCHITECTS
〈家族の「好きなこと」を見つけた家〉オーガニック・スタジオ株式会社
〈天空のVilla -Infini-〉田井勝馬建築設計工房
アイカ工業賞
〈五島つばき蒸溜所 第一期工事・第二期工事〉WANKARASHIN
〈穏の家〉株式会社タイコーアーキテクト
〈Grove Strolling Corridor〉and to 建築設計事務所
日鉄鋼板賞
〈House Y〉三日月アーキテクツ
〈輪島仮設コミュニティセンター〉kyma
〈カトウ打刃物製作所〉BAUM
ミラタップ賞
〈private villa ten -KUMANO-〉Horibe Associates
〈別所の家〉ALTS DESIGN OFFICE
〈凸と凹〉KELUN
エヌ・シー・エヌ賞
〈MORI no KI TERRACE〉SUEP.+永瀬智基建築設計事務所
〈木の構造が支える、変化に応えるOFFICE〉KADO一級建築士事務所
〈FLOOR鶴見〉株式会社タイコーアーキテクト
TECTURE AWARD 2025はFIRST Round、FINAL Roundを合わせた投票総数16,506票、のべ11,899人の読者のみなさまに参加いただきました。ありがとうございました!
TECTURE AWARD 2025
応募期間:2025年11月21日(金)~2026年1月20日(火)
First Round 投票期間:2026年2月24日(火)~3月10日(火)
Final Round 投票期間:2026年3月12日(木)~3月27日(金)
結果発表・授賞式:2026年3月31日(火)