デザインスタジオ・DRILL DESIGN(ドリルデザイン)と、日本スエーデンが共同で開発した、新しいレザープロダクト「case LEFT.」のポップアップ展示会が、東京・表参道の[Artek Tokyo Store]で11月16日(月)まで開催されています。
「case LEFT.」は、糸と針を使わずに成型のみでつくられる、新しい発想から生まれたレザー(皮革)製品です。デザインしたのは、林 裕輔氏と安西葉子氏によるデザインスタジオ・DRILL DESIGN。
皮革製品のプロダクトとしての価値を決めるのは大きく2つ、素材そのものの質と縫製技術です。DRILL DESIGNの二人は、その逆をいき、縫わずにレザーを成形できないものかと長年にわたり考えてきました。加工方法まで遡ることで、従来の決まりごとから解放された、全く自由なプロダクトをデザインできないかと。製品化へ向けたプロジェクトが本格的にスタートしたのは、靴や鞄などの素材を抜き取る「スエーデン鋼」の型メーカー・日本スエーデンとの出会いからでした。
タッグを組んだ両社によるプロトタイプが初めて披露されたのは、2014年10月末。東京・渋谷にあるイベントスペース[(PLACE) by method(プレイスバイメソッド)]で開催された、DRILL DESIGNの個展「THINK ONE STEP BEFORE, TO ACHIEVE THE UNEXPECTED.」の会場でした。下の写真は当時のものです。
上の写真では、プロダクトとしてほぼ完成しているようにも見えますが、売り物として世にでるまでここから6年かかっています。成形に適した厚さのレザーが手に入らなかったためです。途中で頓挫しかけたプロジェクトでしたが、材料がなければつくってしまえという再びの逆転の発想が、大きな転機となりました。
最終的にたどり着いた素材は、動物の皮から、銀面(革の表の部分)となる層を剥がしたときに残される「床革(とこがわ)」と呼ばれる部分。厚さ1ミリほどで、強度もなく、針を通すとその穴から裂けてしまうため、使用用途がなかった素材です。これを2枚用いた成形に成功したのは、つい最近のことでした(日本スエーデン代表取締役 山本健二氏ほか、関係者談)。
「case LEFT.」の名は、従来の製品の逆を目指した革の容器である、という意味が込められています。
新しい発想に端を発し、DRILL DESIGNと日本スエーデンの長年にわたる「ものづくり」への熱意によって生み出された、サステナブルなプロダクトであることなどが、Artek Japan(アルテック ジャパン)が目指す世界観と一致。今回の[Artek Tokyo Store]での期間限定展示となりました。
今回の展示にあわせて、アルヴァ・アアルト(1898-1976)が1933年にデザインした、アルテックを代表する名作椅子とのコラボレーションが実現しています。〈スツール 60〉のためのクッションをDRILL DESIGNがデザイン。意外にも、これが〈スツール 60〉として初のクッションとこと。試しに会場で腰をおろしてみたところ、間に挟んであるというチップウレタンが効いた、しっくりくる座り心地でした。
クッションのみ、会期中のみの受注生産で、それ以外の蓋つきのプロダクトは、Artek Tokyo Storeにて年内まで取り扱う予定とのことです。(en)
「”case LEFT.” popup & exhibition at Artek Tokyo Store」
プロダクトデザイン:DRILL DESIGN
プロダクト製造:日本スエーデン
展示期間:2020年11月11日(水)〜16日(月)
営業時間:平日 13:00-19:00 / 土日 11:00-19:00
会場:Artek Tokyo Store(東京都渋谷区神宮前5-9-20 1F&B1F Google Map)
TEL:03-6427-6615
Artek Tokyo Store(日本語サイト)
https://webstorejapan.artek.fi/
日本スエーデン
https://nihon-sweden.com/
DRILL DESIGN
http://www.drill-design.com/