清水建設は、2021年8月27日付のプレスリリースで、3次元曲面で構成するデザイン性の高いガラスファサードを高精度に構築できる「3次元曲面ガラススクリーン構法」を開発したと発表しました。
同構法により、従来技術では困難だった複雑な曲面形状をガラスファサードに付与することが可能になり、建築ファサードの設計自由度が飛躍的に高まります。
同社によれば、近年のコンピュテーショナルデザイン手法の普及により、3次元曲面を取り入れたダイナミックなガラスファサードに対する設計ニーズが増えつつあるのが開発の背景。ニーズ増の一方で、3次元曲面形状のガラスファサードの施工では、ガラス部材の支持構造が複雑化し、部材の製作精度や現場での取り付け精度についても極めて高い水準が求められるため、フラットなガラスファサードと比べて施工手間とコストが大幅に増加してしまうという課題がありました。
また、低コストで3次元曲面形状を表現する手法として、フラットなガラスを嵌め込んだカーテンウォールユニットを、現場で強制的にねじりながら所定の位置に取り付けるコールドベント工法が実用化されているものの、対応できる曲率には限界があり、変化に富む複雑な曲面形状は表現できなかったとのこと。
このほど清水建設が開発した「3次元曲面ガラススクリーン構法」は、化学強化合わせガラスで成形した曲面ガラス部材を、点支持構法により接着接合するもので、支持部材の構造を最適化することにより、施工性と施工品質を確保しています。
支持部材の製作には、ジェネレーティブデザイン手法と金属プリンティング技術を活用し、ガラス部材の曲面形状にベストフィットする、金属製の支持部材を1品生産。具体的には、ジェネレーティブデザイン手法により、接合部の構造強度を最も効率的に発現できる支持構造を導出し、その3次元データを粉体金属プリンタに入力して支持金物を製作するとのこと。
あわせて、完成した部材の形状を3次元スキャナで計測し、製作精度を確認したうえで施工に臨みます。施工時には、ガラス部材と支持金物の接合点を構造接着剤で固定するため、施工精度を確保しやすく、取り付け手間も低減できるというメリットも期待できます。
「3次元曲面ガラススクリーン構法」の開発にあたり、清水建設では、技術研究所内に縦5×横3メートルの実大モックアップを構築(1枚目の写真)、施工の実効性を確認しています。
今後は、モックアップを用いた実大性能試験により、地震や風圧などに対する強度を検証したうえで、実案件への適用に向けた提案活動を進めていく計画です。(en)