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リゾートで非日常感を演出するデザインと質感

貸別荘建築での「ARC-X」採用事例の設計ポイント

PRODUCT2023.07.25

リゾート地での別荘や住宅を数多く手掛ける、M’s architects(エムズ・アーキテクツ)の高橋昌宏氏。
石垣島の中でも白砂の続く美しい浜として知られる「米原ビーチ」に隣接する敷地で、貸別荘の設計を手掛けることとなった。

「リゾート建築では、水まわり空間が重要な演出要素となる」という高橋氏。
その高橋氏が水まわりの設備として選んだのは「ARC-X」の機器であった。

この建築の設計で高橋氏が心がけたことは何か。また、機器選びで留意した点は何か。
インタビューを通じて、詳しく語っていただいた。

高橋昌宏 | Masahiro Takahashi

日本大学理工学部建築学科卒。一級建築士事務所アルテ・ワンを経て、2005年 一級建築士事務所エムズ・アーキテクツ設立。2011年- 株式会社エムズ・アーキテクツ 代表取締役。
東京を拠点としながら、軽井沢を中心としたリゾート地での非日常空間を設計。敷地の持つポテンシャルを生かしながら、自然を最大限に生かした空間づくりを行う。

■浴槽がアイコンになる水まわり空間

〈Villa El Cielo Ishigaki〉の全景。左手に水まわり空間があり、外部のテラスで水まわrからベッドルーム、LDK、屋外プールへとつながる

── 貸別荘〈Villa El Cielo Ishigaki〉の設計では、まずどのようなことを考えられましたか?

高橋:石垣島での設計は初めてのことでしたし、地元の工事業者との付き合いもありませんでした。品質や工期面でのリスクをなるべく避けようと、設計では“冒険しない”ように心がけました。建築自体を、オーソドックスなつくりと仕上げにする、ということです。

例えば開口部のサッシは、リゾート建築では床から天井いっぱいとして開放感を高めたいところですが、規格サイズで納めています。台風の影響で風速が毎秒50mにもなり、風圧に十分に耐えられるようにするためです。

サッシは規格サイズとしながらも、深い庇と内外で共通した仕上げで開放感と連続感を高めたベッドルーム

プランは大きなLDKのほかに2つのベッドルーム、それに浴室・洗面というシンプルなつくりです。外が最高に気持ちいいので、RCの庇を深く出して半屋外空間を楽しめるように設計しましたが、庇の先端を薄く見せるようなディテールも施していません。工事で不具合が起こらないようにと考えたためです。蓋を開けてみれば腕のいい現場監督と一緒に仕事ができ、杞憂に終わったのですが。

インテリアは、南国リゾート風の白い壁と天井にしたり、琉球石灰岩を使ったりすることはやめようと計画段階から決めていました。天井は黒、床はグレーを基調にし、落ち着いた大人のテイストとしています。

〈villa el cielo ishigaki〉のエントランス

── 水まわり空間は、どのように設計されましたか?

高橋:浴室と洗面の空間は特に、リゾート感を演出するために大事な要素です。

日本の入浴では湯船に浸かり、家族ではお湯を変えずに、浴槽の外の洗い場で身体を洗います。山の木々に囲まれたリゾートでは、日本式の浴槽を造作でつくり、ゆったりとした洗い場を設けることが多くあります。

今回もゆとりのある水まわり空間としていますが、石垣島は冬でも暖かい気候です。海に近い別荘でせっかく非日常の時間を過ごすのであれば、普段とは異なる水まわり空間を利用者に体験してほしいと考えました。浴槽に浸かることを楽しむよりは、外のテラスとつながるガラスの前に、アイコンになるような独立型のバスタブを置くほうが似合うだろうと思ったのです。

余裕のある空間に独立型のバスタブを設置

独立型のバスタブでは、1人ずつお湯を溜めてもいいし、泡を立てて身体を洗ってもいい。シャワーブースは浴槽とは別に設けていて、海から戻ったときには先にシャワーを浴びてから浴室に入ることもできます。

外から見たときもアイコンとなるように、ガラス開口部のそばにバスタブを設置

■水まわり機器は意匠と質感で選ぶ

── 独立型のバスタブを選定していくときのポイントは、何でしたか?

高橋:まず、バスタブ単体のフォルムやシルエットです。「ARC-X」のバスタブは展示会で目にし、形状がシンプルで綺麗だと感じました。その中でも「ROUND SERIES」はグッと丸みをもたせたデザインで、今回の水まわり空間に合わせたいと思いました。

これまでは独立型のバスタブを設置する場合、海外メーカーの製品を選ぶことがほとんどでした。しかし輸送のために発注してからの時間とコストがかかることがネックです。「ARC-X」のバスタブは人大の品質が高く、コストパフォーマンスの面でも満足しています。

夜は洗面カウンターを中心とした間接照明とスポットライトで、上質感のある仕上げや機器が浮かび上がる

── 洗面ボウルは、どのように選ばれましたか?

高橋:「ARC-X」のサイトで、シリーズごとに提案される製品をもとに選びました。洗面ボウルは一般的に性能にあまり差が出ない製品だと思っていて、基本的には空間に応じてデザインを優先して選ぶことが多いですね。

そのとき、洗面ボウルはバスタブがもつ質感とデザインを合わせたいところです。「ARC-X」の製品では、丸みの具合と人大の肌理(きめ)感が共通しているので、空間としての統一感が出ました。

洗面カウンターには大版タイルを使い、端は45度にカットして召し合わせで納めて塊のような量感をもたせています。カウンター壁には荒々しい質感をもつタイルを用い、その中に白くなめらかな表情の洗面ボウルを2つ並べて置くことで、カウンターまわりが引き立つ雰囲気が生まれたと思います。

■トータルでバランスのよい水まわり空間をつくりたい

── 水栓金物などの選定基準はありますか?

高橋:水栓は、水の出方がしっかりとしているかを確認しますが、やはり見た目のデザインを重視しています。水栓でも「ARC-X」はバスタブや洗面ボウルに合う製品がセットで提案されるので、選びやすいと感じました。

「ARC-X」サイトではシリーズ別に他製品との組み合わせが提案される

「ARC-X」では、水まわりで使うほかの小物も合わせて選べるのがいいですね。今回の水まわりも「人大シェルフ」を壁に取り付けて、シャンプーやトリートメントの置き場としています。

バスタブの位置から手の届く左手の壁に「人大シェルフ」を設置

私たちが常に考えているのは、トータルで空間を統一したいということです。製品を別々に選んでいくと、どうしても個性がぶつかり合いがちで、“せわしない”バスルームになる。その点で「ARC-X」は、同じ世界観でそれぞれの製品のデザインが揃えられているので、バランスよく使いやすいと感じます。ぜひ、水まわり空間に付随する製品の種類も充実させてほしいと思います。

〈Villa El Cielo Ishigaki〉はオープン後、海外からの利用者も増えましたし、連泊するお客様も多くいます。当初からの計画で、敷地の半分を使って今回の建築をつくり、今は残り半分で2棟目を計画中です。「ARC-X」の製品には満足していますし、次回も同じように独立型の浴槽を考えているので、また「ARC-X」を導入できればと考えています。

(2023.07.07 オンラインにて)

ARC-X(アークエックス)

流行に左右されることなく、普遍的な価値を備えた、水まわり製品シリーズ。

あらゆる多様性を受け入れ、どんな空間にもフィットすることで、空間づくりの可能性を拡げる。

https://arcx-shop.com

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