パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)は、ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプを開発し、技術検証を含めた1年以上にわたる長期実証実験を、神奈川県藤沢市の〈Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、Fujisawa SST)〉[*1]内に新設されたモデルハウス「Future Co-Creation FINECOURTⅢ」で開始したと発表しました(2023年8月31日プレスリリース)[*2]。
同社によれば、ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池の実証実験としては世界初とのこと(2023年8月31日現在 パナソニックHD調べ)。
パナソニックHDによる「ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池」とは、ガラス基板上に発電層を直接形成し、太陽電池化するもの。”発電するガラス”建材として、さまざまな建築物への利用を目指しています。
同社独自のインクジェット塗布製法と、レーザー加工技術を組みあわせることで、サイズ、透過度、デザインなどの自由度を高め、カスタマイズにも対応できる見込みです。
*1.Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)
神奈川県藤沢市内のパナソニック工場跡地に建設された、先進的な取り組みを進めるパートナー企業と藤沢市の官民一体共同プロジェクト。住宅(スマートハウス)、商業施設〈湘南T-SITE〉、健康・福祉施設、広場、市民農園などで構成される
https://fujisawasst.com/JP/
*2.詳細は「ペロブスカイト太陽電池」特設サイトを参照
https://www.p-perovskite.com/
カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、さらなる再生可能エネルギーの創出手段として、太陽電池の普及が求められています。その一方で、日本のような、平地面積が少なく、建物の屋上も設置面積が限られるところでは、建物の窓や壁面などを利用した発電が不可欠となってきます。この現状に対し、従来の結晶シリコン系の太陽電池では、透光性やデザイン面の観点から、窓などのガラス部へ設置が課題となっているとのこと。
パナソニックHDの「ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池」は、これらの課題を解決し、都市部を含めた太陽電池の設置場所を大幅に増やすことができると考えています。
さらに、地産地消の観点では、災害発生時における電力供給システムの強靱化(レジリエンス向上)に貢献することも期待されています(以上、パナソニックHDのプレスリリースより)。
実証実験 概要
設置場所:Fujisawa SST内に新設されたモデルハウス「Future Co-Creation FINECOURTⅢ」南南東に面した2階バルコニー部分
実証期間(予定):2024年11月29日まで
「ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池」プロトタイプの仕様:設置するバルコニーサイズW3,876mmxH950mm(グラデーション状の透過型のペロブスカイト太陽電池を配置)
実証項目:目隠し性と透光性を両立させたデザインとともに、長期設置による発電性能や耐久性などの検証
連携協力先:三井不動産レジデンシャル
パナソニックHDでは、開発を進めているペロブスカイト太陽電池を、まち・くらしに調和する「発電するガラス」と位置づけ、再生可能エネルギーの創出と都市景観の調和を両立するとともに、CO2削減へのインパクトとして推進していく考えです。
〈Fujisawa SST〉にて開始された実証実験を通して発電性能や耐久性などの確認を行いながら、事業化に向けて技術開発を加速していく計画とのこと。
詳細 パナソニックHDプレスリリース(2023年8月31日)
https://news.panasonic.com/jp/press/jn230831-1