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素材と機能のハイブリッド! 注目の素材系壁紙

フリース、備長炭、バーミキュライト… こだわりと技術力が詰まった壁紙

PRODUCT2024.08.08

空間を印象付ける効果がありながら、広い面積がゆえに無難に選ばれることも多い壁紙。最近はデジタルプリントで好みの柄をオーダーできるもの、消臭、空気浄化、抗ウイルスといった機能性の高いもの、リサイクル材料を使用したサステナブルな製品なども増えています。

市場の9割以上、安価で扱いやすいビニルクロスが流通するなか、リサイクルガラスなど骨材を散布した素材散布壁紙、天然繊維を織った織物壁紙、紙を糸状にして織った紙糸織物壁紙、自然素材を漉いた和紙を利用した紙壁紙、金銀箔などを貼った箔壁紙など、ひと味もふた味も違う、意匠性の高い壁紙をつくる国内メーカーも多くあります。

今回は、水性塗料を塗布した塗り壁のような仕上がりになるクロス、流通量は少ないものの自社工場でこだわって製造されている壁紙など、使ってみたくなる壁紙を紹介します。

塗り壁のような仕上がり! 意匠性と機能性の高い不燃材料認定のフリース壁紙

「エコフリース」を施工した事例(設計・監理 DABURA.m Inc. / 撮影:ナカサアンドパートナーズ / 写真提供:ナガイ)

木製建具や壁紙を扱うナガイ(長野県飯田市)は、パルプを主原料としたフリース(不織布)に水性塗料を塗布した不燃材料認定の壁紙「エコフリース」を扱っています。塗り壁のような仕上がりで、傷や汚れが目立ってきたら上塗りも可能。フリース基材により寸法安定性が高く、ジョイント部分が開く心配が少ないのが特徴です。

しっくいを塗装した「しっくいフリース」は、しっくいの主成分である消石灰がもつ消臭、防カビ作用のほか、二酸化炭素濃度を低減し、空気環境を改善する働きもあります。

紀州備長炭を練りこんだ糸で織った機能性織物壁紙

備長炭のなかでも耐火、保温性に優れた紀州備長炭を独自の手法で練りこんだ織物壁紙。糸づくりから製織、製品化まで一貫して行っている(写真提供:小嶋織物)

和歌山県産のウバメガシを原木につくられる紀州備長炭。小嶋織物(京都府木津川市)では、紀州備長炭を細かく粉砕し、セルロースからつくられるレーヨンに練りこんだ備長炭繊維を使用した天然素材の壁紙を製造しています。

1㎡あたり約14g(重量の約5%)の備長炭練り込みレーヨンを緯糸(よこいと)に使用し、備長炭と同様にアンモニア臭などの消臭効果、ホルムアルデヒドなど化学物質の吸着効果があります。

焼成した蛭石(バーミキュライト)を散布した壁紙

天然素材の蛭石を散布した「Mica」(写真提供:富士工業)

富士工業(福井県福井市)は、さまざまな素材を散布した素材感を感じられるユニークな壁紙を製造しています。

蛭石を散布した「Mica」シリーズは7色のラインナップがある(写真提供:富士工業)

「ACCENT by Wallcoverings / Mica」は目開きが起こりにくく、下地クラックの影響を受けにくいフリースの裏打ち紙に、蛭石の原石を粉砕、焼成発泡、再度粉砕して鱗片状になった蛭石を散布し、トップコートを塗布した独特の質感をもつ壁紙です。また、素材散布壁紙として、石目調のデジタルプリントを施したうえ、ガラスビーズを載せてリアルな大理石の光沢を表現した壁紙(Luminous-Stones-)などもあります。

 

トップ画像:「しっくいフリース」の施工例(設計:藤田摂建築設計事務所 / 施工:安本建設株式会社 / 写真提供:ナガイ)

 

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