岩手県釜石市で進行中のプロジェクト「(仮称)Nemaru PortⅡ 基本設計業務公募型プロポーザル」の最優秀者(優先交渉者)として、井原正揮・井原佳代の両氏が率いる設計事務所・ihrmk(アイエイチアールエムケイ)が選出・選定されています(かまいしDMC[*] 2023年12月20日 プレスリリースより)。
本プロポーザルの事務局である株式会社かまいしDMCの発表(公式ウェブサイトほか)によれば、本プロポーザルには、107組がエントリー、最終的に応募があった93組の中から選ばれたファイナリスト6組による公開プレゼンテーションが11月23日に行われ、同日に審査結果が発表されています(ファイナリスト6組による技術提案書も公開中)。
ファイナリスト:
・最優秀者(優先交渉者):ihrmk
・優秀者・次点交渉者:西川拓平田悠
・architectural design market
・山下貴成建築設計事務所
・KIRI ARCHITECTS
・トクダクション
審查委員長:小野田泰明(建築計画者、東北大学大学院教授)
審查委員:末光弘和(建築家、SUEP.共同主宰、九州大学大学院BeCAT准教授)、福屋粧子(建築家、AL建築設計事務所共同主宰、東北工業大学教授)、河東英宜(かまいしDMC代表取締役、企業向けワーケーション専門家)
かまいしDMCによれば、釜石市は人口減が著しく、最盛期は92,000人であった人口が、現在では30,000人に満たないとのこと。釜石市では、この人口減を他の地域からの「かかわり人口」で補う施策を実施しており、ワーケーションや企業研修の誘致に成功しているとのこと。
2021年10月には、ワーケーション施設「Nemaru-Port(ねまるポート)」を開設し、企業を対象としたワーケーションや研修を受け入れてきたが、市内にある施設では手狭になっており、新たなワーケーション施設「(仮称)Nemaru-PortⅡ」を整備する計画が立ち上がり、公募型プロポーザルが実施されたものです(概要告知:2023年9月24日)。
ihrmkの提案は、「緑、人、地域:あつまり、つながる、ネマルのワッカ(WORK-KA)」と題し、釜石全体に広がるオープン・フィールド・ミュージアムのセンターとして「人」と「活動」が主役となる建築がコンセプトです。連続した異なるレベルの空間に、必要な機能が連坦する特徴的な構成と、丁寧な計画、かつさまざまな働き方を試行する当該施設の要求に応えていること、かまいしDMCの今後の事業展開との関連性に期待が持てることなどが高く評価されました。
上記は結果発表時点のイメージです。今後はこの基本設計をもとに建設プロジェクトが進められ、2025年の施設オープンを目指します。
詳細 / かまいしDMC ウェブサイト
https://kamaishi-dmc.com/
[*]かまいしDMC
2022年に発生した東日本大震災からの復興の総仕上げを担う目的で、2018年4月に設立された観光まちづくり法人(DMO: Destination Management Organization)。釜石市と地域の金融機関、商工会議所等が出資している。DMOとは、「地域の『稼ぐ力』を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりの舵取り役」を担う団体(観光庁ウェブサイトより)。
現在は、市内4カ所の観光交流拠点施設の管理業務も担当。2020年8月には、観光庁より「意欲とポテンシャルがあり、地域の観光資源の磨き上げや受入環境の整備等の着地整備を最優先に取り組む観光地域づくり法人」として、「重点支援DMO」の認定を受けた。「世界の持続可能な観光地トップ100選」への釜石市の入賞(グリーンディスティネーションズ、2018年~2023年の6年連続)を牽引するなど、対外的にも高い評価を受けている。