建築家の隈 研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所が設計した〈Ummahat 9-3〉は、サウジアラビアのウンマハト・アルシャイフ島の砂丘とその沖合に建つ木造のヴィラ群です。
サンゴ礁に生息する生物から着想した海に浮かぶ渦巻き状の海上ヴィラと、砂丘の形状を反映した、緩やかなカーブを描く屋根が覆うビーチヴィラで構成された建築と環境が溶け合うプロジェクトとなっています。
(以下、隈研吾建築都市設計事務所から提供されたプレスキットのテキストの抄訳)
紅海に浮かぶウンマハト・アルシャイフ島に、土地のユニークな特徴に深く根ざしつつ砂と海に融け合うようなヴィラ群をデザインした。
ビーチヴィラは自然の砂丘を反映した緩やかなカーブを描く屋根をもつ、低く水平に配置されている。このデザインは、ゲストのプライバシーを確保するだけでなく、島の地形と調和し、砂の侵入を最小限に抑え、自然な形を保つ。地面の上に建つ建物の配置は、海岸線の自然の輪郭と幾何学的な形状に沿っており、砂丘の風景と調和するように有機的な曲線を取り入れている。
沖合に建つ海上ヴィラは、豊かなサンゴ礁に生息する生物の形態からインスピレーションを得たデザインとなっており、その特徴的な海から優雅に現れる螺旋状のボリュームが、遮るもののない海の景観を提供する。
ホテル施設を含むすべての建築物は、サンゴと砂丘の形態を参照したプランを採用し、建築と環境との融合という私たちのコミットメントを反映している。
材料の選択においては環境への負荷を最小限にするため、コンクリートの使用を最小限に抑え、プレファブリケーションシステムを採用した。また、主に木と漆喰を用いることで建築に暖かさとやわらかさを与えている。
木材には、塩分濃度の高い環境下での耐久性を考慮してスプルース材が選ばれた。砂丘の模様や自然の風化過程を反映した漆喰と組み合わせることで、自然と建物のつながりを強調している。
屋根は、自然の美しさと厳しい気象条件に対するレジリエンスで知られる天然の杉板で葺かれている。杉板と漆喰は、時間の経過とともに美しくエイジングしていき、時とともに、さらに砂丘の美しい自然と融合していくであろう。
私たちの設計理念は、持続可能性と耐久性を優先しつつ、環境とシームレスに融合するという、建築への全体的なアプローチを体現している。
「Ummahat 9-3」隈研吾建築都市設計事務所 公式サイト
https://kkaa.co.jp/project/ummahat-9-3/