2025年11月24日初出、11月26日会場写真16点追加
東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間にて、、バングラデシュの首都・ダッカを拠点に活動する建築家のマリーナ・タバサム(Marina Tabassum|1969-)が率いる建築設計事務所、マリーナ・タバサム・アーキテクツ(MTA)を紹介する展覧会が11月21日より開催されています。

独立記念博物館(ミュージアム・オブ・インディペンデンス) (バングラデシュ ダッカ、2006年)
設計:URBANA(K.チョウドリーとの共同設計)Ⓒ City Syntax

バイト・ウル・ロゥフ・モスク(バングラデシュ ダッカ、2012年) © Asif Salman

パニグラム・エコ・リゾート・アンド・スパ(バングラデシュ ジョシュール、2018年) © MTA
「マリーナ・タバサム・アーキテクツ展:People Place Poiesis(ピープル プレイス ポイエーシス)」概要
MTAを率いる建築家マリーナ・タバサム氏は、気候や文化、伝統に根差した建築を手がけるだけでなく、自然災害や貧困等で苦しむ人々への支援に取り組んできました。例えばダッカ市内に設計した「バイト・ウル・ロゥフ・モスク」(2020年アガ・カーン建築賞受賞)では、地域の土を焼成したレンガと幾何学を用いて、静謐な光をたたえ風が通り抜ける祈りの空間を創出し、爆発的な拡大を続ける過密都市において多様な人々が集う寛容な建築を実現しています。
また、国全体の約7%が河川に覆われ、洪水で国土の約1/3が水没することもあるバングラデシュにおいて、住む場所を失った人のためにMTAが考案した可動式の住宅「クディ・バリ」(現地の言葉で「小さな家」の意)は、地域の人々の手により短期間で組み立て・解体することができ、洪水発生時のシェルターとしても機能します。
MTAが立ち上げた財団F.A.C.E(The Foundation for Architecture and Community Equity)は、国内各地でクディ・バリを提供するだけでなく、ユニットを組み合わせることで、ロヒンギャの難民キャンプにおけるコミュニティセンターなど幅広い用途の建物に応用しています。クディ・バリ建設の地域住民参画の様子 © Asif Salman
Serpentine Pavilion 2025
こうした活動と作品が評価され、マリーナ・タバサム氏は2024年にTIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出、2025年の「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン」の設計者に選ばれるなど、MTAの活動にいま世界から注目が集まっています。
本展では、「人々」「土地」、そして創作や詩作を意味する「ポイエーシス」をテーマに、彼女たちの作品と活動を、模型や映像、インスタレーション等で紹介します。中庭はMTAオリジナルの「クディ・バリ」をバングラデシュから輸送し立ち上げるとともに、京都の里山で実践を行う建築家の森田一弥氏と京都府立大学森田研究室協力のもと、日本の素材と技術で翻案した「日本版クディ・バリ」を新たに制作し、展示します。

アルファダンガ・モスク(バングラデシュ ファリドプル、2022年) © Asif Salman

サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン(イギリス ロンドン、2025年) © MTA















会場写真提供:TOTOギャラリー・間
会期中、TOTOギャラリー・間(通称:ギャラ間)館長によるギャラリーツアーやディレクター、スタッフによるガイドツアーも開催されます(予約不要、詳細はギャラ間のウェブサイトを参照)。
#TOTO GALLERY・MA YouTube: 展覧会ガイド「マリーナ・タバサム・アーキテクツ展:People Place Poiesis(ピープル プレイス ポイエーシス)」(2025/11/22)
マリーナ・タバサム プロフィール
バングラデシュ出身の建築家・教育者。2005年、ダッカに自身の建築設計事務所「マリーナ・タバサム・アーキテクツ( Marina Tabassum Architects)」を設立。
現在オランダ・デルフト工科大学で教授を務めるほか、イェール大学建築学部、ハーバード大学デザイン大学院、ベンガル・インスティテュートなどで教鞭を執る。ドイツ・ミュンヘン工科大学より名誉博士号を授与。
これまでの受賞に、アガ・カーン建築賞、ジャミール賞、アメリカ芸術文学アカデミーによるアーノルド・ブルンナー記念賞、フランス建築アカデミーの金賞、イギ
リスのソーン建築賞など多数。
建築と地域の公平性を支援する団体「F.A.C.E(Foundation for Architecture and Community Equity)」およびフェアトレード団体「Prokritee」代表。2017年から2022年まで、アガ・カーン建築賞の運営委員を歴任。英国王立芸術協会(RSA)フェロー。

会期:2025年11月21日(金)~2026年2月15日(日)
開館時間:11:00-18:00
入場料:無料
休館日:月曜・祝日・年末年始休業期間 / 2025年12月29日(月)~2026年1月7日(水)
会場:TOTOギャラリー・間
所在地:東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F(Google Map)
主催:TOTOギャラリー・間
企画:TOTOギャラリー・間運営委員会(特別顧問:安藤忠雄、委員:貝島桃代、平田晃久、セン・クアン、田根 剛)
協力:京都府立大学 森田一弥研究室
後援:一般社団法人東京建築士会、一般社団法人東京都建築士事務所協会、公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部、一般社団法人日本建築学会関東支部、公益社団法人日本建築士会連合会

Photo: TEAM TECTURE MAG
TOTOギャラリー・間 ウェブサイト 本展詳細
https://info.jp.toto.com/gallerma/ex251121/index.htm