長野県長野市に拠点を置き、古民家再生や古材活用を牽引する山翠舎は、グローバルブランド「SANSUI」を通じて、ミラノデザインウィーク 2026において個展「FUTURE MEMORIES」を開催します。舞台となるのは、世界で最も影響力のあるデザインギャラリーの一つとして「デザインの聖地」と称される「Galleria Rossana Orlandi(ロッサーナ・オルランディ)」。イタリア人デザイナー、ロベルト・シローニ氏との共創により、解体される運命にあった古民家から回収された古木の梁材を用いた全8アイテムのアートピース・コレクションを初公開します。
グローバルブランド「SANSUI」の始動は、日本独自の古民家文化と、そこに宿る持続可能な精神性を世界のデザインシーンへと接続する試みです。解体される運命にあった古民家から救い出された古木は、単なる廃材ではなく、かつての人々の営みや風土が刻み込まれた「時間の集積体」です。山翠舎が長年培ってきた古木の鑑定・加工技術を背景に、人類学的な視点を持つロベルト・シローニ氏の感性を注ぎ込むことで、素材に眠る文化的価値を、国境を越えて響き合う普遍的な美学へと発展させました。

本コレクションは、数十年、数百年と古民家を支え続けてきた梁材の「荒々しい自然の力」と、そこに介入する「精緻な鏡面ステンレス」との対置によって構成されています。ロベルト・シローニ氏は、古木の表面に残る釿(ちょうな)の痕跡を、過去の職人が刻んだ生々しい記憶として捉えました。その一部を鏡のようなステンレスで覆うことで、周囲の現代的な情景が古木へと映り込み、過去と現在が単一のプロダクトの中で交差します。時が可視性を帯びた触知的な素材として立ち現れるこの試みは、古民家の持つ哲学的価値を、現代のアートピースへと鮮やかに転換させています。

93㎡の静かな展示空間に配置される8つのアートピースは、素材の不規則な形状をそのまま構造へと取り入れた、彫刻的な佇まいを見せています。かつて屋根を支えていた太い梁が、ある時はベンチとなり、ある時はコンソールとして機能するその姿は、素材の個性を「生かす」という同社の一貫した哲学の結実です。使い手は、古木の深い亀裂や重厚な木目に触れることで、かつてそこに流れていた膨大な時間を指先で感じ取ることになるでしょう。これらは単なる家具の再利用ではなく、人と自然の共生という日本独自の精神性を、未来へ繋ぐための象徴的な「記憶」として形にしたものです。
開催概要
展示名:FUTURE MEMORIES
会期:2026年4月20日(月)〜4月26日(日)
会場:Galleria Rossana Orlandi
所在地:Via Matteo Bandello, 14, 20123 Milano, Italy(Google Map)
主催:株式会社山翠舎
デザイナー:Roberto Sironi(ロベルト・シローニ)
Stainless Steel Material Specialist:株式会社イノウエ
Circular Economy Co-Creation Partner:石坂産業株式会社
Cultural Destination Partner:株式会社温故知新