メガスポーツ建築最前線! FIFAワールドカップ2026を彩る全16スタジアム完全ガイド - TECTURE MAG(テクチャーマガジン) | 空間デザイン・建築メディア
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The 16 Stadiums for the 2026 FIFA World Cup
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メガスポーツ建築最前線! FIFAワールドカップ2026を彩る全16スタジアム完全ガイド

3カ国共同開催、そして史上最多の48カ国が出場という歴史的なスケールで幕を開けた「2026年FIFAワールドカップ」。世界中の視線がピッチ上の選手たちに注がれる中、その舞台となる16のスタジアムもまた、建築実務者やデザインファンにとっての「もう1つの主役」です。

今回の会場には、現代の英知を集めた最新の新築スタジアムから、史上初となる3回目のW杯開催を迎える築60年の歴史的名作、さらには既存ストックに最先端の構造エンジニアリングを組み込んだ改修事例まで、きわめて多様な背景をもつ建築がラインナップされました。

本記事では、各スタジアムの設計者や竣工年、そして建築的・構造的特徴をまとめた、大会をより深く楽しむための「スタジアム建築完全ガイド」をお届けします。

※各スタジアムはFIFA公式名称と現地で使用されている一般的な名称が異なる場合があるため、本記事では両名称を併記します。

カナダ(2会場)

1:BMOフィールド
FIFA公式名:トロント・スタジアム

所在地:カナダ・オンタリオ州・トロント
設計者:Brisbin Brooks Beynon Architects(元設計)、Gensler(拡張工事)
竣工年:2007年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合

MLS(メジャーリーグサッカー)初のカナダチーム「トロントFC」の本拠地である、カナダ初のサッカー専用スタジアムです。

Genslerによる2度の拡張工事により、常設座席数が21,000席から30,000席に拡張されるとともに、特別イベント用に最大40,000人のファンを収容できる臨時座席が追加されました。

また、プレミアリーグスタイルのキャノピー、天然芝と人工芝のハイブリッド、専用のロッカールーム、取り外し可能な南側スタンドなどの変更が加えられています。

参照:https://bbb.ca/portfolio/bmo-field/https://www.gensler.com/projects/bmo-field

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

BMOフィールド Photo by Erman Gunes _ iStock

2:BCプレイス・バンクーバー

所在地:カナダ・ブリティッシュコロンビア州・バンクーバー
設計者:Studio Phillips Barratt(元設計)、Stantec Architecture(改修)
竣工年:1983年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合、ラウンド16・1試合

設立から40年を超える、フォールス川のほとりに位置するスタジアム。老朽化が進む中、2010年バンクーバーオリンピックのメインスタジアムとして使用されることとなり、Stantec Architectureにより改修されました。

世界最大のケーブル支持式開閉屋根や独自のLED外装照明システム、北米で2番目に大きいセンターハング式スコアボードなどが特徴的なスタジアムです。

参照:https://www.stantec.com/en/projects/canada-projects/b/b-c-place-stadium-renovation

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

BCプレイス Photo by vkyryl _ iStock

メキシコ(3会場)

3:エスタディオ・アステカ

所在地:メキシコ・メキシコシティ・トラルパン
設計者:Pedro Ramírez Vázquez、Rafael Mijares Alcérreca
竣工年:1966年
開催試合:グループステージ3試合、ラウンド32・1試合、ラウンド16・1試合

1970年のペレを要するブラジル代表の優勝、1986年のマラドーナによる「神の手」など、サッカー史に残る数々の名場面を生み出してきたスタジアムであり、史上初めて3大会にわたりFIFAワールドカップの試合を開催することとなります。

窪んだボウル型の設計は、観客の音響効果を高めると同時に、建物の視覚的なボリューム感を軽減し、むき出しのコンクリート構造と流れるような動線スロープが、その特徴を際立たせています。

参照:https://www.fifa.com/ja/tournaments/mens/worldcup/canadamexicousa2026/articles/world-cup-2026-stadiums-fifa-soccer-football-mexico-usa-canada-ja

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

エスタディオ・アステカ Photo by UlrikeStein _ iStock

4:エスタディオ・アクロン
FIFA公式名:エスタディオ・グアダラハラ

所在地:メキシコ・ハリスコ州・サポパン
設計者:Jean-Marie Massaud、Daniel Pouzet、Arquitech
竣工年:2010年
開催試合:グループステージ4試合

地面から隆起した地形のような基壇部と雲のような屋根で構成されており、その特徴的なデザインから「ボルケーノスタジアム」とも称されるスタジアムです。

人とその環境を中心に据えてつくられた活気あふれる場所であり、火山は大地のエネルギーを象徴し、半浮遊する雲はこのエネルギーをまちへと伝えます。

参照:https://www.massaud.com/en/espace/omnilife/2003/volcano-stadium/

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

エスタディオ・アクロン Photo by Stacy _ AdobeStock

5:エスタディオBBVA
FIFA公式名:エスタディオ・モンテレイ

所在地:メキシコ・ヌエボ・レオン州グアダルーペ
設計者:Populous、VFO Arquitectos
竣工年:2015年
開催試合:グループステージ35試合、ラウンド32・1試合

壮大な彫刻的フォルムと比類のないホスピタリティ体験が融合した、ラテン・アメリカで最も先進的なサッカー・スタジアムです。

北スタンドに座ると、傾斜した片持ち屋根の先に雄大なセロ・デ・ラ・シーリャ山が静かにそびえる、他のスタジアムでは見られない景色を楽しむことができます。

参照:https://populous.com/showcases/estadio-bbva-bancomer

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

エスタディオBBVA Photo by Arlette Lopez _ iStock

アメリカ(11会場)

6:メルセデス・ベンツ・スタジアム
FIFA公式名:アトランタスタジアム

所在地:アメリカ・ジョージア州・アトランタ
設計者:HOK
竣工年:2017年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合、ラウンド16・1試合、準決勝1試合

メルセデス・ベンツ・スタジアムは、アトランタの建築的な象徴として設計された、幾何学的な外観のスタジアムです。

古代ローマのパンテオンに見られるオクルス(円形の開口部)にインスピレーションを得た屋根は、長さ約67mの8枚の「花びら」で構成されており、カメラの絞りのように開閉します。

参照:https://www.hok.com/projects/view/mercedes-benz-stadium/

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メルセデス・ベンツ・スタジアム Photo by felixmizioznikov _ iStock

7:ジレット・スタジアム
FIFA公式名:ボストンスタジアム

所在地:アメリカ・マサチューセッツ州・フォックスボロー
設計者:HOK Sport(現Populous)
竣工年:2002年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合、準々決勝1試合

自然に露出した花崗岩の岩盤を巧みに活用した設計により、西コンコースとピッチレベルが形成された、ユニークな「スプリットレベル」構造のスタジアムです。これらの岩盤は、北エンドゾーンのフェスティバル・プラザの礎にもなっています。

2026年大会に向けて現在大規模な改修工事が行われ、国内最大の屋外高精細スタジアム・ビデオボード、50,000平方フィートのガラス張りのホスピタリティ・スペース、ファンクション・スペース、コンコースの全入場を結ぶ360度コネクティビティなどが追加されています。

参照:https://populous.com/projects/gillette-stadiumhttps://www.fifa.com/ja/tournaments/mens/worldcup/canadamexicousa2026/articles/world-cup-2026-stadiums-fifa-soccer-football-mexico-usa-canada-ja

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ジレット・スタジアム Photo by Keith J Sfinx _ AdobeStock

8:AT&Tスタジアム
FIFA公式名:ダラス・スタジアム

所在地:アメリカ・テキサス州・アーリントン
設計者:HKS
竣工年:2009年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合、ラウンド16・1試合、準決勝1試合

スーパーボウルを5度制したダラス・カウボーイズの本拠地であり、今大会では大会会場で最多となる9試合が開催されるスタジアムです。

開閉式屋根を取り入れたスタジアムであり、豪華なスタジアムシートとフィールドレベルに配置されたラグジュアリーボックスにより、5つ星ホテルのような雰囲気を高めています。

さらに、傾斜した約244mのガラス壁がスタジアムの全長にわたって広がり、世界最長の単一スパンアーチである2つの強力なスチールアーチが構造の内部を支え、2つのエンドゾーンの入り口広場を縁取っています。

参照:https://www.hksinc.com/what-we-do/projects/att-stadium/

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AT&Tスタジアム Photo by typhoonski _ iStock

9:NRGスタジアム
FIFA公式名:ヒューストン・スタジアム

所在地:アメリカ・テキサス州・ヒューストン
設計者:HOK Sport(現Populous)
竣工年:2002年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合、ラウンド16・1試合

2002年のオープン当時、NFLで初めて開閉式屋根を備えたスタジアムとなったヒューストン・テキサンズの本拠地です。開閉屋根は観客を悪天候から守るだけでなく、大規模な屋内アリーナでしか味わえないような親密な雰囲気をつくり出し、会場の熱気を高めます。

大きなガラスカーテンウォールを設置した可能な限り透明なファサードにより、太陽光を内部に取り込んでいます。屋根も同様に、半透明の膜で覆われた鋼鉄製のヒンジ付きフレームで構成されており、自然光を取り込みながら、ファンの歓声を反射する遮音材としても機能します。

参照:https://populous.com/projects/texans-stadium

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

NRGスタジアム Photo by Gage Goulding _ iStock

10:GEHAフィールド・アット・アローヘッド・スタジアム
FIFA公式名:カンザスシティ・スタジアム

所在地:アメリカ・ミズーリ州・カンザスシティ
設計者:Kivett & Myers(元設計)、Populous(改修)
竣工年:1972年(改修:2010年)
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合、準々決勝1試合

アローヘッド・スタジアムは1972年の開場以来、あらゆるレベル、あらゆる視点からファンに最高の観戦体験を提供してきたNFL屈指のスタジアムであり、「最も大きな歓声のスポーツスタジアム」としてギネス・ワールド・レコーズに認定されています。

2010年の大規模改修では、長年親しまれてきた観客席はそのままに、先進的な建築様式と現代的な素材により、既存のコンクリート構造に新たな息吹が吹き込まれました。

参照:https://populous.com/projects/arrowhead-stadium

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

アローヘッド・スタジアム Photo by Ryan Wewers _ iStock

11:SoFiスタジアム
FIFA公式名:ハザード・スタジアム

所在地:アメリカ・カリフォルニア州・イングルウッド
設計者:HKS
竣工年:2020年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・2試合、準々決勝1試合

世界のエンタメの中心地であるロサンゼルスにふさわしい、住居・職場・娯楽施設が一体となった複合開発の中心的存在として設計されたスタジアムです。

高さ制限から、観客席は地盤面から約30m下方に配置するとともに、屋内外を蛇行する一連の通路により、観客は座席やコンコースまで降りていきます。これによりエレベーターやエスカレーター、階段、スロープといった従来の手段では得られない、印象的な移動体験を創出しています。

参照:https://www.hksinc.com/what-we-do/projects/sofi-stadium/

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

SoFiスタジアム Photo by Marcus Jones _ AdobeStock

12:ハードロック・スタジアム
FIFA公式名:マイアミ・スタジアム

所在地:アメリカ・フロリダ州・マイアミガーデンズ
設計者:HOK Sport(現Populous)
竣工年:1987年
開催試合:グループステージ4試合、ラウンド32・1試合、準々決勝1試合、3位決定戦

設計当初から多目的利用を想定して構想されたハードロック・スタジアムは、フットボールと野球のモード間で容易に再構成できるシステムを開発するという、当時としては前例のないソリューションを生み出しました。

また「クラブシート」の概念を生み出したことで、ファンにとってより上質な体験を提供しつつ、運営者に新たな収益源を生み出すという、スポーツ面とビジネス面のニーズを掛け合わせたスポーツ業界のパラダイムシフトを象徴するスタジアムです。

参照:https://www.hok.com/projects/view/miami-dolphins-hard-rock-stadium/

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

ハードロック・スタジアム Photo by dima _ AdobeStock

13:メットライフ・スタジアム
FIFA公式名:ニューヨーク/ニュージャージー・スタジアム

所在地:アメリカ・ニュージャージー州・イーストラザフォードフォーム
設計者:360 Architecture、EwingCole、Thornton Tomasetti
竣工年:2010年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合、ラウンド16・1試合、FIFAワールドカップ決勝

ニューヨーク市のすぐ郊外に位置するこのスタジアムは、ニューヨーク・ジャイアンツとニューヨーク・ジェッツ両者の本拠地であり、今大会の決勝戦を含む8試合の会場となります。

2つのチームの個性を等しく反映可能な設計となっており、ファサードを構成するアルミフィンの間にはLED照明が設置され、試合に応じてジャイアンツまたはジェッツを象徴するようにダイナミックにライトアップすることが可能です。

参照:https://www.ewingcole.com/project/metlife-stadium/

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

メットライフ・スタジアム Photo by Adonis page _ iStock

14:リンカーン・フィナンシャル・フィールド
FIFA公式名:フィラデルフィア・スタジアム

所在地:アメリカ・ペンシルベニア州・フィラデルフィア
設計者:NBBJ Sports Entertainment
竣工年:2003年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド16・1試合

NFLアメリカのフィラデルフィア・イーグルの本拠地であり、フィラデルフィアの多様な地域がもつ豊かな伝統にインスピレーションを得た「ザ・リンク」の非対称な座席設計は、スタジアム全体でファンにユニークな観戦体験を提供します。

スタジアムのキャノピーの力強い形状は、鷲の翼を連想させ、世界中の観客にスタジアムを瞬時に認識させます。67000席の最先端のスタジアムはNFLで最も成功した会場の1つとして広く知られています。

参照:https://www.meisplus.com/lincoln-financial-field/5iohkfns41xc6n31ehs5gbaqz3gcuh

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

リンカーン・フィナンシャル・フィールド Photo by Marcus Jones _ AdobeStock

15:リーバイス・スタジアム
FIFA公式名:サンフランシスコ・ベイエリア・スタジアム

所在地:アメリカ・カリフォルニア州・サンタクララ
設計者:HNTB
竣工年:2014年
開催試合:グループステージ5試合、ラウンド32・1試合

リーバイス・スタジアムは、NFLで初となるLEEDゴールド認証を取得した施設であり、プロスポーツだけでなく大学スポーツ、国際サッカー、コンサート、市民集会など、さまざまなイベントに対応できる、高い適応性を備えた多目的施設として構想されました。

単なる競技場としてだけでなく、周辺環境における公共的役割を果たしており、一般開放された広場や常設レストランなど、試合観戦の場としてだけでなく、都市の公共空間に不可欠な要素として機能しています。

参照:https://www.hntb.com/projects/levis-stadium/

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

リーバイス・スタジアム Photo by Sundry Photography _ iStock

16:ルーメン・フィールド
FIFA公式名:シアトル・スタジアム

所在地:アメリカ・シアトル・ニューヨークシティ
設計者:Ellerbe Becket、LMN Architects
竣工年:2002年
開催試合:グループステージ4試合、ラウンド32・1試合、ラウンド16・1試合

北側が開放されたユニークな馬蹄形をしており、シアトルのスカイラインを一望できるスタジアムです。音響効果を重視して設計されたルーメン・フィールドは、コンパクトなボウル型の形状と片持ち式の屋根構造を採用することで観客の歓声を増幅させます。

かつて「最も大きな歓声のスポーツスタジアム」としてギネスブックに2度登録されており、現在のギネス記録を取得しているアローヘッド・スタジアムのファンとの間で「ギネス記録の争奪戦」が勃発していたという、ユニークな歴史をもっています。

参照:https://www.fifa.com/ja/tournaments/mens/worldcup/canadamexicousa2026/articles/world-cup-2026-stadiums-fifa-soccer-football-mexico-usa-canada-ja

FIFA ワールドカップ2026 全16スタジアム建築完全ガイド

ルーメン・フィールド Photo by Ian Dewar Photography _ iStock

2026年大会を彩る、全16のスタジアム建築はいかがでしたでしょうか。

現代のテクノロジーを集約した新築スタジアム、1960年代の建築遺産のアップデート、そして大規模な増築・改修によって現代に適応したプロジェクトまで。きわめて多様な背景をもつ建築群が、今回の大会を支えています。

実は今大会、これほど多彩な会場が並びながらもスポーツ建築に特化した設計事務所「Populous(旧HOK Sport)」が改修を含めて16のうち5会場を手がけている、という事実も大きな見どころです。彼らの設計思想の変遷を追いかけるだけでも、現代スタジアム建築の歴史を俯瞰することができます。

白熱する試合の合間に画面に映し出されるファサードやダイナミックな大空間など、ピッチの熱狂の背景にある建築に少しだけ注目してみると、ワールドカップをより深く、そして新しい視点で楽しめるのではないでしょうか。

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