「建て築く」から「解いて築く」へ。解体と循環のデザインを紐解く新時代の教科書『解築学』が発刊 - TECTURE MAG(テクチャーマガジン) | 空間デザイン・建築メディア
「建て築く」から「解いて築く」へ。解体と循環のデザインを紐解く新時代の教科書『解築学』が発刊

「建て築く」から「解いて築く」へ。解体と循環のデザインを紐解く新時代の教科書『解築学』が発刊

CULTURE

「建築学は『建てる』だけの学問でよいのか?」

そんな根源的な問いから出発する書籍『解築学 解体から始まる建築と構成材の循環デザイン』が2026年9月25日に発刊されます。

日本の空き家率が上昇し続け、人口減少社会に突入した現在。私たちが直面しているのは、「ないから建てる」という近代建築学の前提が崩れ去った「建物ストック時代」です。本書は、解体から循環へと向かう新たな学領域として、建て築くのではなく解いて築く、「解築学(かいちくがく)」の全体像を描いています。

雨漏りを直すにも、あるいは間取りを大きく変えるにも、現代の建築的介入の多くはまず「解体」を伴います。だからこそ、どのように「解いて築く」のか、そのために知るべきことを、15の先進事例と共に示しています。

3度の博覧会を姿を変えながら受け継がれていく、永山祐子建築設計が手がけたパビリオン

実践から思想、社会システムへ。本書の構成と見どころ

本書の最大の特徴は、解体や循環というテーマを単なる「エコ」や「廃棄物処理」の枠に留めず、実例・思想・技術・都市・人間・産業という多層的な視点から再構築している点にあります。

本書はまず『序章』では、今の時代だからこそ必要な解築学とは何か、その概要に迫り、『第1章:解築の実例』では最新の解体技術から国内外の資源循環システムまで、「解築」の最前線で実践されている15の先進事例を紹介しています。

『第2章:解築の思想』では、この転換の歴史的な意味と、循環の輪の中での建築的行為の位置付けを論じ、『第3章:解築の技術』では前章における思想の抽象に対して、具象の典型としての「技術」について、再利用・循環させるための具体的な技術論を解説しています。

以降の章では、この新たな学領域に関わる制度や産業の問題について、それぞれの専門家が語ります。

『第4章:解築と都市』では都市計画や都市空間について論じ、『第5章:解築と人間』では建物の解体と循環が、建物と人間の新たな関係づくりを誘発することについて、『第6章:解築と産業』では、解体と循環を実体化する市場、産業、法規範などのあり方を論じています。

『第7章:解築学を巡る議論』では、新たな学領域の確立に向けて、執筆陣が交わした多角的な議論の記録を示し、『終章』では、バタフライ・ダイアグラムにて示された、真円のように摩擦なく循環する姿ではなく、それぞれの物質がいくつもの揺らぎとなる「流転(トランスミュート)」という展望を描いています。

 

松村秀一氏をはじめとする他分野の専門家たちによって編み上げられた本書は、これまでの「建築学」を修めた皆様にとって、自身の職能や知識をアップデートするための「新時代の教科書」となる書籍と言えるのではないでしょうか。

【新刊紹介】「建て築く」から「解いて築く」へ。書籍『解築学 解体から始まる建築と構成材の循環デザイン』

『解築学 解体から始まる建築と構成材の循環デザイン』学芸出版公式サイトはこちら

『解築学 解体から始まる建築と構成材の循環デザイン』

書籍概要・目次

書名:解築学 解体から始まる建築と構成材の循環デザイン

編著:松村秀一・輿石直幸・権藤智之・中谷礼仁・西野辰哉・山田宮土理
著者:饗庭伸・荒木美香・石山央樹・磯部孝行・歌代純平・岡部明子・奥村誠一・加藤耕一・杉浦美奈・高木啓司・高口洋人・佃悠・豊田訓平・中野淳太・二瓶雄太・日埜直彦・矢口哲也
事例執筆者:伊藤維・江﨑青・大嶋ありさ・北里萌音・趙英傑・徳渕正毅・中田裕一・中田理恵・中台澄之・永山祐子・林明侑奈・藤貴彰・星野勇樹・森下啓太朗

体裁:A5判・300頁(カラー64頁)
定価:本体3000円+税
発行日:2026-09-25
装丁:北田雄一郎
版元:学芸出版社
ISBN:9784761533205
GCODE:2387

趣旨文:
建築学は「建てる」だけの学問でよいのか?
建物ストック時代を迎え、現代の建築行為はまず解体から始まる。ないから建てるという近代建築学から、解体された既存建物の循環に挑む新建築学=解築学への転換である。改修・解体技術、マテリアルの性能評価や循環デザイン、都市制度、建設経済を再整理し循環型社会における建築の新たな学問領域を15の先進事例と共に示す。

目次:
序章
建て築くだけの学問ではどうにもならなくなった時代の教科書(著者:松村秀一)

01章 解築の実例
#建物解体の最新技術
1-1 歴史的超高層ビルの解体 – 浜松町貿易センタービル(著者:権藤智之)
1-2 毎日10 万人以上が使いながらの駅ビルの解体 – 新宿駅西口(著者:星野勇樹・趙英傑)
#循環のための建築デザイン
1-3 リユースに挑戦したユニット住宅 – 積水化学「再築の家」(著者:森下啓太朗)
1-4 姿を変えて愛され続けるための仮設建築の解体 – ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier(著者:永山祐子・徳渕正毅)
1-5 建て替えを前提としない住みながら更新し続ける戸建て住宅 – ニカイメノイエ(著者:中田裕一・中田理恵)
1-6 分解可能で廃棄物を生まない戸建て住宅 – 巡る間(著者:藤貴彰)
1-7 材の余剰で組み替えるプロジェクト/プロジェクト群 – 伊藤維建築設計事務所(著者:伊藤維)
#循環を実現する主体と仕組み(国内/国外)
1-8 廃棄物を情報として扱う資源循環ビジネス – (株)ナカダイホールディングス(著者:中台澄之)
1-9 地域資源活用の文化拠点 – ReBuilding Center Japan (著者:権藤智之)
1-10 廃屋・廃材を引き受けるみんなの拠点 – 合同会社廃屋(著者:権藤智之)
1-11 被災地にて救出される古材をリユースする活動 – のと古材レスキュープロジェクト(著者:江﨑青)
1-12 古建築の解体現場と修復現場をつなぐ施設 – 建材銀行 Materials Bank(台湾)(著者:大嶋ありさ・林明侑奈)
1-13 欧州の解体材を循環させる組織 – ROTOR / ROTOR DC(ベルギー)(著者:山田宮土理)
1-14 解体材を循環させるインフォーマルなネットワーク – Moelia Graha Estetika(インドネシア)(著者:北里萌音)
#コンペにみる解築学の展望
1-15 『 解築学』を可視化する – 「解体と循環の時代を切り拓け」日本建築学会主催学生設計競技の提案から(著者:中谷礼仁)

02章 解築の思想
2-1 未来を「ほどく」知性、建築から解築へ(著者:中谷礼仁)
2-2 建築の「解体と循環」の歴史(著者:加藤耕一)
2-3 解体と再構築における物質循環の理論的フレームワーク(著者:西野辰哉)
2-4 ままならない円環と付き合う(著者:岡部明子)

03章 解築の技術
3-1 解体技術の要点(著者:輿石直幸)
3-2 解体材の性能評価(著者:石山央樹)
3-3 構造部材のリユースによる循環(著者:荒木美香)
3-4 内外装部材のリサイクルによる循環(著者:磯部孝行)
3-5 設備部材の循環(著者:中野淳太)

04章 解築と都市
4-1 縮退する都市の代謝と解築(著者:饗庭伸)
4-2 解体除却が進まない廃止された公共建築(著者:西野辰哉)
4-3 ままならない空き床を都市の資源に変える – フリンジ都市中心部における公営コンバージョン(著者:矢口哲也)
4-4 災害後に生じる解体の諸相(著者:佃悠)
4-5 定期借地権マンションのライフサイクルから考える建設と解体(著者:歌代純平)
4-6 リノベーションを前提とした建築と都市へ – 欧米諸国における建築/エリア再生(著者:奥村誠一)

05章 解築と人間
5-1 不確実性をナビゲートする知恵(著者:日埜直彦)
5-2 生態系建築の現代化への試み(著者:山田宮土理)
5-3 解体の儀礼(著者:権藤智之)

06章 解築と産業
6-1 解体建築の需要予測(著者:権藤智之)
6-2 建築経済の中から外へと向かう解体と循環(著者:高木啓司)
6-3 建築関連法体系と循環の関係性(著者:杉浦美奈)
6-4 循環を可能にする社会システムのデザイン – 欧州における枠組みと研究プロジェクト(著者:山田宮土理)
6-5 古材利用の源流と民家の再生(著者:高口洋人)
6-6 新古材をめぐる新産業の創出可能性 – 循環と流転の狭間から(著者:豊田訓平)

07章 解築学を巡る議論
第1回 循環における「時間」と「計画」の問題(著者:二瓶雄太)
第2回 循環を支える仕組みの新しさと古さ(著者:二瓶雄太)
第3回 循環に「計画」と「専門家」は必要なのか(著者:二瓶雄太)

終章
循環から流転(トランスミュート)へ – 「解築学」の黎明期に起きていること(著者:中谷礼仁)

 

『解築学 解体から始まる建築と構成材の循環デザイン』

RECOMMEND

  • TOP
  • CULTURE
  • BOOK
  • 「建て築く」から「解いて築く」へ。解体と循環のデザインを紐解く新時代の教科書『解築学』が発刊

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶