神奈川県・箱根町のポーラ美術館が、来館者がチケットカウンター前に並んだ際の誘導装置として、建築設計集団・ALTEMYがデザインした「Spectra-Pass」を2021年8月6日より導入しました。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大防止措置の一環であり、美術館に足を運んでくれた人々に少しでも楽しんでもらい、美術鑑賞前の期待感を高める効果を狙ってデザインされています。
COVID-19流行後、全国の美術館において、ベルトパーテーションで囲われた”通路”に沿い、周囲の人との間に一定の間隔を保ちながら、チケットカウンターに整然と人が並ぶ光景は、今では当たり前の光景となりました。
ポーラ美術館においても、2020年より、エスカレーターの降り口からチケットカウンターまでの、わずかな距離しかない空間で、来館者の検温を行い、ベルトパーテーションを設置して入場制限時の動線としていました。
だがしかし、美術鑑賞を目前に控えた来館者・来場者にとって、それは果たしてふさわしい体験なのか? 「Spectra-Pass」の導入は、そんな疑問が出発点となっています(ポーラ美術館2021年8月6日プレスリリースより)。
来館者誘導装置「Spectra-Pass」の設計・デザインを手がけたのは、建築の概念を拡張することを目指す建築設計集団・ALTEMY(代表:津川恵理氏 / 下の画:近影)。建築家である津川氏と、同じく、ALTEMYのデジタルデザイナー・戸村 陽氏が担当しました(本稿1枚目のビジュアル:導入検討時のイメージパース ©︎ALTEMY)。
https://www.alt-emy.com/
「Spectra-Pass」デザインコンセプト:
美術館を訪れた人は、展示室に向かうまでの間、自身の感性が徐々に研ぎ澄まされていき、まだ見ぬ作品との出あいについて期待感・高揚感を高めていきます。「Spectra-Pass」は、来館者をチケットカウンターへと誘導するとともに、その導線上に身を置き、歩みを進めていくことで、刻々と変化するロビーの空間を体験しながら、その自らの感覚に引き込まれていくきっかけをつくり出す装置です。
美術鑑賞を目前に控えた来館者の感性をそっと刺激し、期待感を高めることも意識してデザインされた「Spectra-Pass」は、美術館のロビー空間の新しい在り方を提案します。(en)
来館者誘導装置「Spectra-Pass」概要
設計・デザイン:ALTEMY / 津川恵理、戸村 陽
製作監理:太陽工業 デザイン戦略室
製作・施工:小泉製作所
所在地:神奈川県⾜柄下郡箱根町仙⽯原⼩塚⼭1285(Google Map)
開館時間:9:00-17:00(入館は16:30分まで)
休館⽇:無休(但し、展示替え期間:9月6日[月]~10日[金]を除く)
TEL:0460-84-2111
開催中の展覧会:
「フジタ―色彩への旅」2021年4月17日(土)~9月5日(日)
岡田杏里「Soñar dentro de la tierra / 土の中で夢をみる」4月17日(土)~9月5日(日)
「モネ―光のなかに 会場構成:中山英之」2021年4月17日(土)~2022年3月30日(水)
ポーラ美術館公式Webサイト
https://www.polamuseum.or.jp/