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京都の伝統染織がインテリアに展開中!

『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION』とは!?

BUSINESS2023.03.27

千年以上の歴史に根ざした京都の伝統文化。中でも織物や染めは、匠たちが代々受け継いできた技と知恵によって、世界有数の高級染織産地としての地位を確立しています。

京都の染織文化に息づく独自の美意識や価値観は今、インテリアの分野にも裾野を広げつつあります。『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION(ザ キョウト マイスター コレクション)』は、京都が世界に誇る染織の伝統的価値と最新のテクノロジーが融合した、まったく新たなデジタルツインカタログ。建築デザイナーやアートディレクターの創造性を刺激し、インスピレーションを与える内容となっています。

THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION』は冊子のほか、3D・VR技術を使用した「バーチャルクラフトツアー」、超高解像度の画像を見ることができる「ギガピクセルビューアー」、製品のシームレス画像やBIMデータがエられるWEBカタログ、事業者紹介ムービーなどから構成される

京都の美意識や価値観がインテリアと融合したとき、空間にはどのような変化が生まれるのでしょうか。コレクションのコンセプトを詳しく紹介します。

INDEX

  • 西陣織・京友禅・丹後織物の3産地が連携
  • SDGsの側面から脚光を浴びる伝統工芸品〜「天然素材」と「継承される染織技術」
  • インスピレーションを呼ぶコレクションをインテリアに
  • 『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION』参加事業者一覧
すべての画像:©2022 Silk Textiles Global Promotion Consortium

■ 西陣織・京友禅・丹後織物の3産地が連携

京都の伝統的な染織工芸品としてまず挙げられるのは、西陣織京友禅丹後織物の3つでしょう。『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION』は、この3つの産地の事業者が連携して制作されたものです。

西陣織は、京都の西陣で生産される先染めの紋織物の総称で、国の伝統的工芸品に指定されています。「多品種」であることに特徴があり、連綿と積み重ねられてきた高い技術の蓄積に支えられ、綴(つづれ)、経錦(たてにしき)、緯錦(ぬきにしき)、緞子(どんす)、朱珍(しゅちん)、紹巴(しょうは)など12種類が伝統的工芸品の指定を受け、現在も生産されています。

西陣織の呼称は、1467年から11年間、京都の街を東西に二分した応仁の乱の後、職人たちが再び集まって織物業を始めたのが、かつての西軍の本陣が置かれた場所だったことに由来します。室町時代末期(16世紀後半)には、現在も西陣織の特徴である先染めの糸を使い、色柄や模様を織り出す紋織の技術を確立させ、江戸時代前期(17世紀)までは高級織物の産地として興隆を極めます。明治時代(19世紀)には、いちはやくフランスに人材を派遣、リヨンで発明されたジャカード織を取り入れて近代化に成功しました。現在では、きもの地、帯地、和装小物からネクタイやショールなどの洋装小物、加えて壁掛けやソファの張り地、カーテンなどのインテリア・ファブリック、さらに車や電車、飛行機などの座席の張り地など、幅広い用途の織物を生産しています。

湿潤な盆地の環境と、繊細な手仕事から生み出される西陣織の歴史は、その源流を古墳時代にまでさかのぼることができ、平安時代にはすでに現在の上京区周辺に職人たちからなる町があったとされます。京都の地で長く培われてきた職人技は、10数工程にもおよぶ生産工程の随所に今でも見ることができます。

西陣織

一方、京友禅は京都を代表する染色技法のこと。同じく国の伝統的工芸品に指定されています。その特徴は豊かな色彩と、「友禅模様」と呼ばれる動物や器物を絵画的に表現した多彩な文様。隣接する模様が混ざらないよう、着物に描く模様の輪郭に糊を引くという独特の技法は高度な職人技を必要とし、「糸目糊置(いとめのりおき)」「色挿し」「引染」などの10数工程を分業化させることで、高度な技術を継承し、目にも鮮やかな柄を生み出しています。

日本のみならず世界からも人気を集め続ける京友禅の魅力は、やはりそこに漂う雅やかさと、金銀箔を用いる華やかな雰囲気に由来するのかもしれません。京都ならではの感性と美意識が息づく染色技術です。

京友禅

そして、国内最大の絹織物産地である京都府・丹後地方で生産される丹後織物。特に代表的なものは「丹後ちりめん」でしょう。これは、緯糸(よこいと)に撚った糸「強撚糸」を使用して織り、精練加工を経ることで生地表面に「シボ」と呼ばれる凹凸が生まれる、後染め織物の総称です。

撚糸を使って織物を織ることは、非常に難しい技術といわれます。経糸の張力、緯糸を打ち込む回転数の調整など、経験によってしか得られない複雑な感覚が求められるからです。丹後ちりめんの職人たちは、長い技術の蓄積によってこの複雑な製法を現在も継承しており、世界的に見ても希少な表情を持つ生地を織り続けています。

丹後織物

こうした西陣織、京友禅、丹後織物がそれぞれに持つ極めて高度な技術力と、多くの匠たちによって培われてきた伝統を1つに連携させ、これまでほとんど見ることがなかったインテリアの分野へと展開させるのが『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION』なのです。


■ SDGsの側面から脚光を浴びる伝統工芸品
〜「天然素材」と「継承される染織技術」

京都の水を用い、京都の自然の中で連綿と受け継がれてきたこれらの染織技術は近年、従来とは異なる角度からの評価を得ています。サステナビリティやSDGs(持続可能な開発目標)といった観点が、京都の染織に新たな光を当てているのです。

SDGsの17の目標。伝統工芸はSDGsと親和性が高く、サステナビリティの面からも注目される

例えば、養蚕。『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION』に参加する事業者の中には、天然の絹糸にこだわった織物を生産している企業があります。桑を栽培して蚕を飼い、その繭から取り出す絹糸は、当然ながら天然由来であり生分解性があります。生産の過程で桑がCO2を吸収し、地球環境への負荷をかけないことから、サスティナブルな社会の実現に貢献するとともに、土に還る素材である絹織物は「陸や海の豊かさを守る」という点でSDGsの達成にも貢献するといえるでしょう。

参加事業者の1つ「伊と幸 (いとこう)」は、絹とガラスと組み合わせた「絹ガラス」を制作し、絹の美しさ、生糸そのものの美しさをインテリアの世界にも提案。その一方で、国内の養蚕農家と契約し、山形県庄内地方に伝来した蚕種「松岡姫」から採れる上質な細糸を製品に用いています。しなやかさと光沢を併せ持つ伊と幸の白生地は、サスティナブルの観点からも注目されています。

伊と幸の絹

また、染めの段階でも伝統工芸の取り組みは挑戦を続けています。京友禅の老舗「藤田染苑(ふじたせんえん)」がこだわるのは、天然の染料を用いた染め。現代では多くの染色工場で化学染料が用いられますが、環境負荷の大きさも指摘されています。藤田染苑は「どこにもないモノを作りたい」という目標を掲げ、天然染料を用いることで化学染料では出せない味わいを引き出しつつ、新たな染色技法に取り組み続けています。天然染料を用いた染色は気温などに左右されやすく、加えて染料の長期保管ができないため、職人の手間は大幅に増加するとされますが、若い職人たちによる独自性の追求が、結果としてサスティナビリティの評価にもつながっているのです。

一方、丹後織物は、丹後地方の良質な水と適度な湿気が最高品質の絹織物を生み出しています。生産地域にあった資源をうまく活用し、その製法を次代に継承してきた京都の染織技術は、現代社会が抱える課題にも大きな示唆を与えています。

近世以前、人々は生活に必要な分・量だけを生産し、それらを自然の循環の中で活用してきました。例えば西陣織の「多品種少量生産」というあり方は、当時の人々にとってはごく自然なことだったのかもしれません。

現在、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に見られるように、持続可能な生産消費形態を確保することは必須となっています。小ロットの生産でサスティナブルであるということが高く評価されるのは、以前の価値観からすると、ある意味で皮肉なことといえます。「新しいものを買う」ではなく「なおして使い続ける」という日本の伝統的な生活スタイルと、それにもとづいて技術や製法を発展・継承してきた京都伝統工芸のあり方は、今まさに世界に発信すべき価値観となっています。


■ インスピレーションを呼ぶコレクションをインテリアに

伝統は、古くから伝わる技術を単に守り続けていけば伝承されるものではありません。むしろ旧来の伝統を打破するような革新的なチャレンジの積み重ねが、歴史を築いていくのです。

『THE KYOTO MEISTER COLLECTION』に参加する丹後織物の「宮眞(みやしん)」では、常に新しいものづくりに挑戦しています。絹やポリエステルだけではなく、綿、麻、レーヨン、ウールなどさまざまな素材の織りにチャレンジし、独自の開発ノウハウを蓄積しています。例えば織機の設定では、素材や糸の特性を把握する力が、織りの過程では職人の僅かな変化を感じとる力が、重要になります。こうした技術力を新素材の開発へとつなげ、強撚糸にさらなる付加価値をつけた新たな商品——シルク壁紙や広巾のジャカードでのちりめんづくり——を生み出す原動力になっています。

また、京友禅「光映工芸(こうえいこうげい)」は、近世の衣装に施された「金彩技法」に触発された技術開発により、それまでの金彩加工の欠点となっていた接着剤・糊を新たに開発。これによって加工後も柔らかな風合いを保ち、アイロンやドライクリーニングができる金彩友禅を生み出し、水着にも金彩を施すことが可能になりました。加えて、「金色」の表現も追求を深め、現在では100を越える金色を開発。光の魔術ともいえる、繊細で多様な色彩表現を実現しています。

『THE KYOTO MEISTER COLLECTION』では、このように伝統と革新によって生み出されたテキスタイルを、室内空間に飾るアートパネルやパーティション、シェードなどとして用いるインテリアファブリックとして提案しています。

アートパネルの導入例
【伊と幸】絹ガラス 間仕切り生地入り合わせガラスの導入例

生地を使用したパネルや、テキスタイルを合わせガラスに挟み込む加工・組み合わせたパーティションとしての納品も可能で、さまざまなシーン、プロダクトでの利用が想定されています。

利用を想定するイメージと形式(対応可能な納品形式は業者によって異なる)

『THE KYOTO MEISTER COLLECTION』は、京都の染織技術を最新のテクノロジーと融合させ、インテリアの分野へと飛躍させるまったく新しい取り組みです。このプロジェクトが伝えるのは、単なる伝統技法ではありません。生産性が重視され、工業化、量産化された画一的な製品があふれる現代にあって、千年近く受け継がれてきた技術や手仕事の中に秘められた、ものづくりに対する日本の哲学であり、美意識なのです。それらがインテリアの世界へと広がったとき、私たちの身の回りの空間はきっと、これまでとは異なる新たな空間へと生まれ変わることでしょう。


『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION』

https://meistercollection.kyoto

参加事業者一覧(クリックで THE “KYOTO” MEISTER COLLECTIONリンクに移動します)

【美術織】とみや織物 | TOMIYA TEXTILE  絹糸と金銀糸を点で配置して高精細な表現を実現

【西陣・金襴】もりさん | MORISAN  ポリエステルで実用性を高め短納期にも対応

【西陣織】渡 文 | WATABUN  手機織と力織機を駆使して幅広い分野で生産

【京友禅】吉川染匠 | YOSHIKAWA SENSHO  奥行きと立体感をインテリア素材にも昇華

【絹物・白生地】伊と幸 | ITOKO  素材となる繭の品質にこだわり白生地を追求

【京鹿の子絞】京都絞美京 | KYOTO SHIBORI BIKYO  手仕事の絞り染めによる繊細で精緻な表現

【丹後織物】丹 菱 | TANRYO  風合いを高めたポリエステルちりめんを開発

【丹後織物】宮 眞 | MIYASHIN  多種多様な素材で ちりめんを開発

【丹後織物】安田織物 | YASUDA TEXTILE  透ける生地「からみ織」で複雑な意匠を実現

【西陣織】フクオカ機業 | FUKUOKA WEAVING  伝統技術と新素材との融合で続ける進化

【金彩友禅】光映工芸 | KO-EI KUGEI  金彩の多彩な技法で高級感あふれる美を追求

【京友禅】京都引染工業協同組合 | HIKIZOME  刷毛ひとつで色の多様な魅力を引き出す技術

【京友禅】伊原染工 | IHARA SENKO 幅広い色・柄・素材に対応するスクリーン染め

【京友禅】藤田染苑 | FUJITA SEN-EN  型を使った手捺染による藍染めの技術を確立

【丹後織物】田勇機業 | TAYUH TEXTILE  撚り糸にこだわる水撚りの八丁撚糸

『THE “KYOTO” MEISTER COLLECTION』カタログ

カタログ冊子希望の方は、以下のサイトのフォームよりお申し込みください。
https://meistercollection.kyoto/contact2/#contact-catalog

 

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