CULTURE

伊東豊雄「旧TOD'S表参道ビル」がケリングの日本新社屋に

グローバル ラグジュアリー グループが取得、フロアの一部を改装を発表

CULTURE2020.10.09

グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガなど、ファッション、レザーグッズ、ウォッチ、ジュエリーの世界的なブランドを擁するグローバル・ラグジュアリー・グループ、ケリング(Kering)が、日本における新本社「ケリングビル」を、東京・表参道にオープンしたと発表しました(ケリング ジャパン 2020年10月9日プレスリリース)。

新本社屋が入るのは、「旧TOD’S表参道ビル」。伊東豊雄建築設計事務所の設計で2004年に竣工した、伊東氏の代表作の1つ。表参道のけやき並木のシルエットを構造体として外周を囲い込んだ、伊東氏による特徴的なファサードは、15年以上にわたり表参道のランドマークとして知られています。
イタリアの高級ブランドであるTOD’S(トッズ)が閉店したあと、2019年にケリングがリアルエステート・パートナーと共に取得。今回のリニューアルオープンとなりました。

ケリング ジャパンの新しい本社は、単なるオフィスビルではなく、グループのビジョンや哲学を反映したものとなります。
ケリングの英語の読みは、“caring”(ケアリング、「思いやり」の意)と同じで、各ブランドや従業員、顧客、ステークホルダー全般、さらには地球について私たちがどう考え、またどのような関係を築いているかを反映しています。また、ケリングのルーツと深い関りを持つフランス・ブルターニュ地方のブルトン語の”ker”は、「家」や「生活の場」を意味しています。

新しい「ケリングビル」では、4フロアをオフィススペースとし、内装を手掛けた建築家のファラ・タライエ(Fara Taraie / NewNormDesign: NND代表)氏が快適な空間を演出します。自然の要素をデザインコンセプトに取り入れることで、ケリング・グループにとってまさに「日本の家」のようなスペースとなっています。

タライエ氏は、今回のデザインについて、ケリングビルを「フランス文化と日本文化、そして日本の伝統的な要素とモダンな要素、それら異なるものの出会いの場であり、混じり合う場でもある」と位置付け、ユニークなスペースをつくり上げました。

障子や縁側など、日本の伝統的家屋の要素を取り入れた空間は、白を基調に和の色を組み合わせた、モダンで柔らかなデザインに。また、PVC(polyvinyl chloride / ポリ塩化ビニル)の使用禁止など、ケリングの環境への配慮に基づき、天然素材やリサイクル素材なども多用しています。
また、『ウーマン・イン・モーション』[*1] に代表されるケリングのアートやカルチャー界における女性への支援活動の一環として、オフィス内には女性作家によるアート作品も随所に展示しています。
*1.映画界に貢献する女性に光を当てるべく、2015年に発足したケリンググループによるプログラム。芸術と文化産業における人々の意識改革を促し、男女差別を根絶するためのプラットフォームとしての役割を果たすことを目指す。2016年からは写真、文学、造形美術の分野にも活動を広げている。

ケリングビルの6階には、ケリングおよびグループ・ブランドの為のイベントスペースを設け、「ウーマン・イン・モーション」やサステナビリティ関連の講演やイベントを開催する予定です。
記念すべき第1回のイベントとして、ケリングビルのオープニングと、映画『朝が来る』の公開を記念し、映画監督の河瀨直美氏、主演俳優の永作博美氏、井浦新氏の3名をゲストに迎えたトークイベント「ウーマン・イン・モーション」を開催。当日はケリング公式ウェブサイトとYouTubeチャンネルでの配信を予定しています。

最上階となる7階は、自然に囲まれた空間です。「ケリングのアイコンであるフクロウにインスパイアされ、鳥が建物の上に作った巣をイメージしました」と建築家タライエ氏は語ります。

表参道を一望できる美しいテラスは、「巣」のテーマを取り入れ、室内には卵型のチェアを配しています。17世紀に建てられた旧ラエネック病院跡地にある、ケリングのパリ本社の美しい庭園にも見られるラベンダーなど、日本およびフランスでも愛される四季折々の植物や花々が植えられた空間です。
日本の「家」を想起させる特別な空間の中、自然を身近に感じることができる最上階と屋上テラス。そこに集う人々の間で有機的にコミュニティが形成されていきます。

フランソワ=アンリ・ピノー ケリング会長兼CEOによるコメント:
「ケリングとブランドが長きにわたって関係を築き、戦略的にも重要な国である日本において、ケリングの新しいオフィスを皆さまにご紹介することをとても嬉しく思います。私たちはケリングビルをオフィス以上の場所にしたいと考えています。ラグジュアリー・グループとしての私たちを反映するこのユニークな建物は、クリエイティビティを象徴する場です。この新しいオフィスにて私たちはお客さま、ビジネスパートナー、友人の方々をお迎えするのみならず、大胆で革新的なひらめきを創出し、そして自社のビジョンや見解を発表していきたいと考えています」

表参道には、グッチ、サンローラン、ブシュロンの各店舗が所在し、グループとブランドにとって重要なエリアとして位置付けられています。
2020年9月にはアレキサンダー・マックイーンが移転し、新コンセプトに基づいた店舗をオープンしています。同年11月にはバレンシアガの世界最大級となる店舗もオープン。さらに2021年には、クリエイティブ・ディレクターのダニエル・リー氏のデザインによる、ボッテガ・ヴェネタの新しい旗艦店が、同本社ビルの1階から3階にかけてオープンする予定です。(en)

ケリング 日本公式ウェブサイト
https://www.kering.com/jp/

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