CULTURE

2020毎日デザイン賞発表

堀部安嗣氏「立ち去りがたい建築」に決定

CULTURE2021.03.03

デザインの全分野において傑出した成果に贈られる「2020毎日デザイン賞」(毎日新聞社主催)の選考委員会が開催され、建築家の堀部安嗣氏の「立ち去りがたい建築」に決まり、2021年3月3日に同新聞社のウェブサイトなどで発表されました(プレスリリース)。

「毎日デザイン賞」とは、グラフィックやインテリア、クラフト、ファッション、建築など、あらゆるデザイン活動で、年間を通じて優れた作品を制作、発表し、デザイン界に大きく寄与した個人、グループ、団体を顕彰する賞です。1955年に毎日産業デザイン賞として創設され、デザインの多様化を背景に、1976年に毎日デザイン賞と名称を変更しています。

堀部安嗣氏は1995年のデビュー作〈南の家〉、〈ある町医者の記念館〉から、近年の代表作〈竹林寺納骨堂〉まで、一貫して建築が本来持っていた基本的な役割と心を落ち着けられるたたずまいを追求し、活動してきました。氏の作品に共通する「居心地のよい空間」「人の確かな居場所」のデザイン力が高く評価され、今回の受賞となったものです。

堀部安嗣氏

堀部安嗣氏(photo: Tetsuya Ito)

建築家。1967年横浜市生まれ。1990年筑波大芸術専門学群環境デザインコース卒。1991~94年益子アトリエにて益子義弘氏に師事した後、堀部安嗣建築設計事務所を設立。2007年から京都芸術大大学院教授。
2016年日本建築学会賞(作品)を〈竹林寺納骨堂〉で受賞。代表作に〈南の家〉〈ある町医者の記念館〉〈KEYAKI GARDEN〉〈阿佐ヶ谷の書庫〉〈鎌倉山集会所」のほか、客船〈ガンツウ〉など。

堀部安嗣 建築作品

〈ある町医者の記念館〉1995年

堀部安嗣 建築作品

〈竹林寺納骨堂〉2013年 photo: Ken’ichi Suzuki

選考委員会では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大による、いわゆるコロナ禍にあって、あらためてパーソナルな「居心地のよい場所」が見直されているという声が相次ぎました。選考委員の一人で建築家の岸和郎氏は「どこか時代の流れを超越したような雰囲気を漂わせる堀部安嗣の空間は、そんな2020年の時間の中での救いだったのではないかと考える」と講評を寄せています。

堀部安嗣 デザイン作品〈ガンツウ〉

客船〈ガンツウ〉2017年 客室テラスからの眺め

2020毎日デザイン賞

作品対象年度:2019年11月から2020年10月末までの間に制作発表されたもの
作品対象:インダストリアルデザイン、グラフィックデザイン、クラフトデザイン、パッケージデザイン、照明デザイン、インテリアデザイン、インスタレーションデザイン、ファッション・テキスタイルデザイン、建築・環境デザイン、電子メディアデザインなどのデザイン活動で、年間を通じて優秀で新鮮な業績をあげたもの
選考:調査委員から推薦を受けた候補作品を、選考会で映像・文献資料を参考にしながら賞を決定
表彰:毎日デザイン賞は原則として1件、賞状・賞牌・賞金100万円を贈呈
選考日程
2020年11月25日(水) 候補作品を調査委員によって選出
2021年1月14日(木) 選考委員会開催
2021年3月3日(水) 毎日新聞社ウェブサイトほかにて発表
2021年3月4日(木) 毎日新聞紙上に発表
選考委員(五十音順、敬称略):大貫卓也(アートディレクター)、岡﨑乾二郎(造形作家・批評家)、岸 和郎(建築家)、深澤直人(プロダクトデザイナー)、面出 薫(照明デザイナー)
調査委員:浅葉克己(アートディレクター)、筏 久美子(TOTOギャラリー・間 代表)、石上純也(建築家)、石山修武(早稲田大学名誉教授、建築家)、井上嗣也(アートディレクター)、岩渕貞哉(美術手帖総編集長)、植木啓子(大阪中之島美術館準備室 学芸企画担当課長)、小崎哲哉(REALKYOTO編集長)、葛西 薫(アートディレクター)、柏木 博(デザイン評論家)、川上元美(デザイナー)、川崎和男(デザインディレクター、大阪大学・名古屋市立大学名誉教授)、河原敏文(CGディレクター)、喜多俊之(デザイナー、大阪芸術大学教授)、北山孝雄(北山創造研究所)、木田拓也(武蔵野美術大学教授)、操上和美(写真家)、小泉 誠(家具デザイナー)、近藤康夫(インテリアデザイナー)、佐藤可士和(クリエイティブディレクター)、佐藤 卓(グラフィックデザイナー)、鈴木康広(アーティスト)、須藤玲子(テキスタイルデザイナー)、仙田 満(環境建築家)、高島直之(美術評論家)、土田貴宏(デザインジャーナリスト)、永井一史(アートディレクター)、ナガオカケンメイ(デザイン活動家、D&DEPARTMENTディレクター)、難波和彦(東京大学名誉教授、建築家)、新見 隆(武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程教授)、西尾洋一(カーサ ブルータス編集長)、西沢立衛(建築家)、橋本優子(宇都宮美術館専門学芸員)、長谷川逸子(建築家)、服部一成(アートディレクター)、浜野安宏(映画監督、ライフスタイル・プロデューサー)、原 研哉(グラフィックデザイナー)、原 久子(アートプロデューサー、大阪電気通信大学教授)、廣村正彰(グラフィックデザイナー)、福永 信(小説家)、藤井 保(写真家)、藤本幸三(ジンズホールディングス コーポレートアドバイザー)、松永 真(グラフィックデザイナー)、水戸岡鋭治(デザイナー、イラストレーター)、三澤 遥(デザイナー)、皆川 明(デザイナー)、三宅一生(デザイナー)、森山明子(武蔵野美術大学デザイン情報学科教授)、矢島進二(公益財団法人日本デザイン振興会 理事 事業部長)、山口信博(グラフィックデザイナー)、山中俊治(デザインエンジニア、東京大学教授)、横川正紀(WELCOMEグループ代表)、吉住 唯(河出書房新社編集)、吉田ユニ(アートディレクター、グラフィックデザイナー)

「毎日デザイン賞」公式ウェブサイト
https://macs.mainichi.co.jp/design/m/

毎日新聞デジタル(堀部氏の受賞コメントあり)
https://mainichi.jp/articles/20210302/k00/00m/040/114000c

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶

毎日デザイン賞

CULTURE2022.03.12

毎日デザイン賞 2021発表

建築家の田根剛、染色家の柚木沙弥郎、今年は2氏を選出
CULTURE2024.03.05

重松象平氏が 2023毎日デザイン賞 受賞

「感性のあるグローバリズム」についてのインタビュー動画も公開

堀部安嗣 関連記事

CULTURE2020.07.05

A cruise ship "guntû" designed by Yasushi Horibe, resumes operations on July 5.

堀部安嗣設計の客船〈ガンツウ〉が運航再開、ウエルネスな旅を伝えるYouTube公式チャンネルも4月に開設

RECOMENDED ARTICLE

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ