2021年6月23日初掲、9月8日内観イメージ追加
群馬県前橋市の〈白井屋ホテル〉の敷地内に、今年9月下旬にオープンすることがすでに発表されていた〈ブルーボトルコーヒー 白井屋カフェ〉の開業日が9月17日(金)に決定しました(ブルーボトルコーヒージャパン合同会社 / BLUE BOTTLE COFFEE JAPAN 2021年6月23日、9月8日プレスリリース)。
あわせて、カフェの内観と、この店だけで味わえる限定メニューが発表されています。
ブルーボトルコーヒーカフェは、これまで、都内各所、京都、神戸、横浜、そして先ごろ発表された大阪には出店していますが、地方都市への進出は今回が初となります。
〈白井屋ホテル〉は、建築家の藤本壮介氏が全体の設計を担当し、既存の建物を大胆にリノベーションしたヘリテージタワーと、新築されたグリーンタワーの2棟で構成されます。
再生プロジェクトは建物だけにとどまらず、レアンドロ・エルリッヒによるインスタレーションをはじめ、館内・敷地内・各客室に、藤本建築に呼応するかのようにして、さまざまなアート作品が展示され、アーティストらが特別にしつらえた客室なども有する、2020年12月のオープンから半年以上を経た今でも話題を集めているホテルです。
〈ブルーボトルコーヒー 白井屋カフェ〉のサイトは、利根川の旧河川の土手をイメージして新築されたグリーンタワーの路面。昔は利根川の一部だったという馬場川に面し、並びには、フルーツタルト専門店「SHIROIYA the PÂTISSERIE(白井屋 ザ・パティスリー)」が今年2月にオープン。さらに、同店の並びに、柳原照弘氏が店舗デザインを手がけるベーカリーが今秋オープンすることが8月に発表されています(本稿下部に関連リンクあり)。
〈ブルーボトルコーヒー 白井屋カフェ〉の空間デザインは、これまでに横浜・みなとみらいや渋谷のカフェも手がけている、建築家の芦沢啓治氏が代表を務める芦沢啓治建築設計事務所が担当。白井屋カフェでは、外から見てもブルーボトルらしさが伝わるよう、ドリップステーションを正面に配置。外からの光が差し込み、来店者が心地よく過ごせるよう考えられています。
前橋市内の歴史的な建物や、白井屋ホテルでも使用されているレンガを、店舗のキーマテリアルとして採用。床の素材として使用することで、周囲との一体感を創出しています。
メインのシーティングとして、カフェのセンターに、芦沢氏がデザインした長丸型のソファを設置しています(制作:カリモク家具)。どの向きからも座ることができ、カジュアルにコーヒーを味わいながら、差し込む外光のなか、掛けられたアートを含めてカフェ全体の空間を楽しめるよう設計されています。
さらに、店内には、前橋市在住のアーティストで、白井屋ホテルにも作品が展示されている白川昌生(しらかわ よしお)氏による、前橋をテーマにした新作アート〈赤城山龍神体〉が掛けられています。日本国内でも早くから地域との関係性を作品として表現してきた白川氏が、前橋の歴史から着想を得て、文化を育みながら地域が新たなかたちへと進化していく様子を描いています。エルリッヒや杉本博司など、国内外の多数のアーティストが参画し、さまざまなアート作品が施設の内と外に展開している、白井屋ホテルとリンクする空間となっています。
カフェのメニューとしては、他のブルーボトルコーヒー カフェと同様に、バリスタが丁寧にハンドドリップした上質なスペシャルティコーヒーはもちろんのこと、エスプレッソドリンクなども提供されます。
白井屋カフェのオープンを記念し、カフェの並びに店を構える「the PÂTISSERIE」にて、ブルーボトルのコーヒーを材料に使用した「グレープフルーツとコーヒーのタルト」を、10月31日までの期間限定で先行して発売中です。
限定メニューはもう1つ。地元・前橋市の和菓子屋「和む菓子 なか又」とのコラボレーションです。
「なか又」の看板メニューである、職人がひとつひとつ丁寧に焼き上げたどら焼きの生地に、たっぷりのメレンゲを加え、しっとりふわふわに仕上げたどらやき「ふわふわ わぬき」が、「ブルーボトルコーヒー × なか又 ふわふわ わぬき コーヒークリームとあんこ 」となって登場。
商品の提供にも凝り、カフェ周辺の前橋のまちなかを表現した地図をイメージしたオリジナルのイラストマップ、捨ててしまうのが惜しい特別仕様の包み紙となっています。
明治期に絹産業により日本近代化の先駆けとなった前橋では、2016年8月に前橋市が官民一体のビジョン「めぶく。」を発表したのを契機に、地域活性化が進められてきました。その中心となっているのが、現在の〈白井屋ホテル〉のオーナーであり、アイウエアブランド・ジンズ(JINS)の元となる会社を前橋で創業した、起業家の田中 仁氏。〈白井屋ホテル〉は、「前橋のまちなかを活性化したい」という田中氏の想いに藤本氏ら国内外のクリエイターが応え、具現化したものと言えます。
他方、ブルーボトルコーヒーでは、これまで世界各国でカフェをつくるにあたり、コミュニティを大切にしながら。その街の発展に貢献することを大切にしてきました。今回の〈白井屋ホテル〉敷地内への出店も、前橋再生のビジョン「めぶく。」と、地域活性化に取り組み、挑戦を続ける地元の人々の姿勢に深く共感してのことです。
なお、今回の誘致・開業には、2020年12月設立のスタートアップ企業で、高崎市で眼科医を営む佐藤 拓氏がCEOを務める、株式会社GIVEが協力しているとのこと。
ブルーボトルコーヒー、白井屋ホテル、GIVE inc.の関係3社の各コメントは以下の通りです(敬称略)。
ブルーボトルコーヒージャパン
ジェネラルマネージャー 伊藤 諒
前橋では、地元出身の起業家の田中 仁氏や、株式会社GIVEをはじめとする強い思いを持った皆さまが、明確な「めぶく。」というビジョンを掲げて官民と協業し、新たなうねりを創り出しています。ビジネス、アート、人材育成、と多岐に渡る取り組みを通じて、地域活性を進めていらっしゃることを知り、深く共感し感銘を受けました。
弊社も創業以来、各国でカフェの店作りを通じて、それぞれのコミュニティとの共存と活性に取り組んでまいりました。米国の1店舗目であるHayes Valleyは、かつてはあまり人の立ち寄らない地域が、カフェを中心に変化が生まれ、今では賑やかなダウンタウンになっていたり、日本では、清澄白河の街の様子が(編集部註.第1号店舗を出店した)6年前とは大きく様変わりし、若い年代の方々が移り住んでいます。
皆様と協業するなかで、土地の歴史を学びながら、新しい取り組みを行っていくことで、前橋という場所の未来に少しでも貢献できればと考えております。
白井屋ホテル
オーナー 田中 仁
白井屋ホテルは、地域活性化プロジェクトの下、前橋ビジョン「めぶく。」を象徴するホテルとして、6年半の歳月を経て2020年12月に開業しました。創業から約300年の歴史を持つ旅館の再生に、建築家の藤本壮介氏をはじめとした国内外のアーティスト、デザイナーの力が結集し、”アートデスティネーションホテル”として生まれ変わりました。暮らす人と訪れる人が集い交流する「まちのリビング」として食と文化の発信基地として活動しています。
そして今回、この動きに呼応し、自分たちも地域活性化のために協力したいと、株式会社GIVEの皆さんがブルーボトルコーヒーの誘致に動いてくれました。その想いに応えていただいた、ブルーボトルコーヒージャパンならびにブルーボトル本社の勇気ある決断に、心より感謝申し上げます。これから地域の皆様の新しい居場所ができることと、前橋のまちなかにさらに活気が生まれることを楽しみにしています。
GIVE Inc.
CEO 佐藤 拓 / COO 長谷部辰雄 / CFO 干場 諒
私たちGIVE(Gunma Innovation Value Explorer)は、2020年12月に立ち上げられたスタートアップ企業です。
代表の佐藤(医師)は、群馬県高崎市で医療法人明陽会・高崎佐藤眼科を通じて地域医療に貢献しています。白井屋ホテルを手掛ける田中 仁さんとは、起業家育成のGIS(群馬イノベーションスクール)で出会い、前橋の地域活性化プロジェクトに共感し、GIVEを立ち上げました。
私たちの故郷・住まいである前橋のまちなかが、シャッター商店街として活気がなかった状態から、白井屋ホテルをはじめ、さまざまな新しい息吹が「めぶく。」状態へと変化しています。今回の取り組みが、官民一体となった地域活性化の一助となればとても嬉しいです。
これから地域の皆様とともに素晴らしい体験ができることを楽しみにしています。
『TECTURE MAG』編集部では、〈ブルーボトルコーヒー 白井屋カフェ〉開業日に現地を取材予定。店舗のそのほかのデザインやインテリアについてSNSなどから速報します。(en)
所在地:群馬県前橋市本町2-2-15 白井屋ホテル 敷地内(馬場川通り沿い)
店舗デザイン:芦沢啓治建築設計事務所
開業予定日:2021年9月17日(金)
営業時間:8:00-19:00(初日のみ10時オープン)
※政府や自治体の今後の指針や発表、施設の方針などの状況から、営業時間が変更となる場合あり
店舗面積:78.55m²
店内席数:店内:16席 屋外ベンチ:2名がけ5台
ブルーボトルコーヒー公式ウェブサイト
https://store.bluebottlecoffee.jp/
白井屋ホテル(SHIROIYA HOTEL)公式ウェブサイト
www.shiroiya.com/