CULTURE

解体を前提とした、家具を魅せるパビリオン

ヘニング・ラーセンが設計した自然と日光を取り込む〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

CULTURE2022.06.21
〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉は、規格材をボルトにより固定し、一般的な工具で作業ができるよう構成されています。解体を効率化することで、廃棄物を最小限に抑えるとともに、すべてのマテリアルを再利用することができるパビリオンです。

コペンハーゲンで設立され、世界中でさまざまなサステナブルなプロジェクトを手掛けるヘニング・ラーセン(Henning Larsen)が設計しました。

(以下、Henning Larsenから提供されたテキストの抄訳)

解体を意識したデザイン

デザインミュージアム・デンマークの美しい庭園Grønnegårdenに設置されたこのパビリオンは、あえてシンプルなデザインとし、透明な建築とすることで日光と自然を取り込み、フリッツ・ハンセンの家具のための特別な舞台となるように設計されている。

デザインはシンプルさ、自然な要素、高品質なマテリアルを最も重要視した、北欧的なアプローチを採用した。

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

低炭素なマテリアルと循環型デザインの原則を採用したこのパビリオンは容易に解体できるよう設計されており、すべてのマテリアルが別の場所で再利用できるように考慮されている。

これにより、廃棄物を最小限に抑えるとともに、すべてのマテリアルを他の場所で再利用することができる。2021年に開始されたフリッツ・ハンセン本社の再建プロジェクトでの採用も予定しており、オフィス空間をモダンで快適な環境に変える。

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

ヘニング・ラーセンのパートナーでデンマーク・マーケットディレクターであるEva Ravnborgは次のように語る。

「フリッツ・ハンセンの150周年を記念して、展示する家具のための持続可能な住まいという、特別な空間体験をつくりたいと考えた。それはフリッツ・ハンセンのデザインを促進させるものである。」

「無垢材でつくられたパビリオンは、設置されている庭園からインスピレーションを受け、屋内と屋外を流動的に行き来するハイブリッドな空間を生み出している。」

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

ヘニング・ラーセンのEva Ravnborgは次のように続ける。

「私たちは、フリッツ・ハンセンのデザイン哲学である『時の試練に耐えるデザイン』と同時に『新品の材料の使用を最小限に抑える』パビリオンをつくりたいと考えた。」

「そのため、パビリオンの部材には規格品の部材を採用し、一般的な工具によりボルトで固定されている。これらの工夫は解体の簡略化とスピードアップに貢献している。すべての部品は再利用でき、必要に応じてパビリオンをスケールダウンして組み立てることも可能である。」

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

このコラボレーションについて、フリッツ・ハンセンのデザイン&ブランドアンバサダーであるChristian Andresenは次のように語る。

「フリッツ・ハンセンの過去を称えつつ、未来に目を向けたいと考えていた。ヘニング・ラーセンは、サステナビリティを追求する先進的なスタジオとして確固たる実績を持っている。私たちは、デザインに対する全人的なアプローチを持ち、素材やクリエイティブな表現に対する嗜好も似ているため、今回のコラボレーションは自然な流れであったのだと思う。」

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉はデンマーク・コペンハーゲンにて6月15〜17日に開催されたデザイン・フェスティバル「3daysofdesign」のためにデザインされた。

パビリオンは3daysofdesignの期間中に一般公開された後、秋の半ばまでデザインミュージアム・デンマーク により使用される予定となっている。

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉

©︎ Laura Stamer

以下、Henning Larsenのリリース(英文)です。

Introducing the Fritz Hansen Pavilion: Mindfully Designed for Disassembly

Designed for the 3daysofdesign event in Copenhagen, the Henning Larsen designed pavilion boasts sustainable design through and through.

Set in Designmuseum Danmark’s beautiful garden, Grønnegården, the Pavilion is designed with a Nordic approach centered around daylight and honest materials.

“Celebrating the 150 years anniversary of Fritz Hansen, we wanted to create a spatial experience that makes a sustainable home for the furniture it exhibits. A facilitator for the design of Fritz Hansen. Built in solid wood, the Pavilion is inspirated by the garden it is situated in, creating a hybrid space with fluid transitions between inside and out” says Eva Ravnborg, Market Director Denmark, Partner at Henning Larsen.

Using low-carbon materials, and circular design principles, the pavilion is essentially designed to be disassembled – ensuring that all materials can be reused elsewhere.

This ensures that waste is minimized and that all materials can be reused elsewhere, including in the future reconstruction of Fritz Hansen’s own headquarters – a project initiated in 2021, transforming the firm’s office in to a modern and welcoming environment.

“We wanted to create a pavilion that reflects the Fritz Hansen design philosophy of design that stand the test of time while at the same time minimizing use of virgin materials. Therefore, the pavilion is crafted from standardized parts that are bolted together using standard tools, which helps to simplify and speed disassembly. All parts can be reused, and the pavilion can also be reassembled in a smaller size if needed,” continues Eva Ravnborg.

The pavilion’s design is deliberately simple – a shell-like, transparent structure, letting daylight and nature in, and forming an exclusive setting for the exhibition of Fritz Hansen’s furniture. The design follows a Nordic approach, where simplicity, natural elements, and high-quality materials are of utmost importance.

On the collaboration, Christian Andresen, Design & Brand Ambassador at Fritz Hansen, says: “We wanted to celebrate Fritz Hansen’s past, while also looking ahead to the future. Henning Larsen has a strong track record as a leading sustainability-thinking studio. We both have a holistic approach to design, and a similar taste in materials and creative expression, so our collaboration felt natural.”

Designmuseum Danmark has been housed in one of Copenhagen’s finest Rococo buildings since the 1920s. Originally built in 1752 as Royal Frederik’s Hospital, the space was repurposed in 1926 and designed as a museum by architects Ivar Bentsen and Kaare Klint. Now, almost a century later, the Fritz Hansen Pavilion introduces a modern take on its historical surroundings.

The pavilion will be open to the public during 3daysofdesign 15 – 17 June and thereafter it will be used by Designmuseum Danmark until mid-Autumn. During this period, the space will serve as a platform for several initiatives, such as summer schools, exhibitions, and workshops, where visitors and locals can participate and meet the creative community.

「Fritz Hansen Pavillion」Henning Larsen 公式サイト

https://henninglarsen.com/en/news/archive/2022/06/15-introducing-the-fritz-hansen-pavilon

 

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶

ヘニング・ラーセン 関連記事

CULTURE2022.05.31

カーブする柱梁が枝のように広がる木造建築

ヘニング・ラーセンが設計したグルーラムとCLTによるボルボの体験センター〈ワールド・オブ・ボルボ〉

デンマーク 関連記事

CULTURE2022.04.20

仕事と遊びでイノベーションを加速するレゴ社屋

最高の遊び体験を開発する、レゴの持続可能なオフィス複合施設〈レゴキャンパス〉
CULTURE2022.05.18

地上をめぐり、緑にふれ、空から見渡す大自然

EFFEKTが設計した「森の中」のランドマーク〈フォレスト・タワー〉
CULTURE2022.03.25

脳のひだを模し、新たな繋がりをつくる医療施設

病院内の分野を横断する、BIGが設計した神経科学センター〈NEURO〉

フリッツ・ハンセン TOPICS

PRODUCT2020.07.14

相澤陽介×フリッツ・ハンセン×川島織物セルコン

コラボレーションから生まれた〈グランプリチェア〉
PRODUCT2020.11.09

川島織物セルコンとファッションデザイナーがコラボした〈エッグチェア〉

展示会をフリッツ・ハンセン青山本店にて開催。関連トークイベントには石上純也氏らが登壇
COMPETITION & EVENT2021.12.15

赤ワインで染めた〈グランプリチェア〉特別展示

フリッツ・ハンセンと新進ワイナリー、グート・オッガウとのコラボレーションで誕生
BUSINESS2021.12.17

フリッツ・ハンセンがスケアラックを買収

同じ北欧デンマークブランドのアウトドア家具などがコレクションに加わる
COMPETITION & EVENT2022.04.16

FRITZ HANSEN 150TH

創業150周年展「フリッツ・ハンセン 150th ―タイムレスデザインの証」kudan houseにて始まる
PRODUCT2022.04.27

フリッツ・ハンセンがPK0 A™チェアとPK60™テーブルを発売へ

ポール・ケアホルムによるミッドセンチュリーデンマークデザインの傑作
PRODUCT2022.06.05

限定モデル〈Fritz Hansen : Fragment〉

藤原ヒロシが初めて手がける家具は、フリッツ・ハンセン名作椅子・ドットスツールとのコラボ!
COMPETITION & EVENT2022.10.01

瀬戸内の島をフリッツ・ハンセンがジャック!

"フリッツ・ハンセン庵"再び!規模を拡大して「フリッツ・ハンセン島」開催
PRODUCT2023.05.26

フリッツ・ハンセン創業150周年記念プロダクト

伊勢丹新宿店にて7名のクリエイターとのコラボ商品を展示、数量限定で特別販売
  • TOP
  • CULTURE
  • ARCHITECTURE
  • 解体を前提とした、家具を魅せるパビリオン、ヘニング・ラーセンが設計した自然と日光を取り込む〈フリッツ・ハンセン・パビリオン〉デンマーク
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ