今年の芥川賞を、九段理江氏の著作『東京都同情塔(トウキョウトドウジョウトウ)』が受賞しています。第170回芥川龍之介賞の選考委員会が1月17日に都内にて開催され、同日に発表されました。
同作は『新潮』2023年12月号にて発表されたもので、単行本は、賞の発表と同日に新潮社より発売されています。
あらすじ
ザハ・ハディド(1950-2016)が設計した国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう1つの日本が舞台。東京の中心に新たな刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。タワーの設計に挑む気鋭の女性建築家・牧名沙羅は、犯罪者に寛容になれず、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。
日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版「バベルの塔」。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。
著者プロフィール
九段理江(くだん りえ):1990年埼玉生れ。2021年『悪い音楽』で第126回文學界新人賞を受賞してデビュー。2022年1月に発表された『Schoolgirl』が第166回芥川龍之介賞および第35回三島由紀夫賞の候補になっている。2023年3月、同作で第73回芸術選奨新人賞を受賞。同年11月『しをかくうま』が第45回野間文芸新人賞を受賞。2024年1月『東京都同情塔』が第170回芥川龍之介賞を受賞した。
なお、受賞会見で作家が語ったところによれば、同作はChatGPTをはじめとする生成AIを駆使して書かれた小説であり、全体の5%はAIが自動生成した文章がそのまま使われているとのこと。
著者:九段理江
装丁:厚表紙丸背カバー
ISBN:978-4-10-355511-7
定価:1,870円(税込)
発売日:2024年1月17日
版元:新潮社