CULTURE

隈 研吾氏による庭園と展示を融合する美術館

フランス・パリに設計した 庭園の延長としてデザインされた展示空間〈アルベール・カーン美術館〉

CULTURE2024.07.30

© Think utopia

建築家の隈 研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所が設計した〈アルベール・カーン美術館(Albert Kahn Museum)〉は、パリ西郊、ブローニュの森の南側に位置する美術館です。

設立者であるアルベール・カーンが世界を旅する中で記録した写真とフィルムを中心に展示しており、庭園には日本を含む世界五大陸の庭園が再現されています。この庭園の園路の延長として展示空間は設計されており、経路と屋外との間に挿入されたアルミと木でできたスクリーンが両者の関係をコントロールし、庭園と展示、環境と建築を融合させた美術館となっています。

(以下、隈研吾建築都市設計事務所から提供されたプレスキットのテキストの抄訳)

© Michel Denance

世界を記録した写真やフィルムと世界の庭園を楽しむ美術館

設立者アルベール・カーン(1860-1940)は世界を旅した貿易商であり、その旅先の風景を72,000点のカラー写真と、183,000mに及ぶフィルムに記録した。そのアーカイブがコレクションの中心となっている。

© Michel Denance

© Michel Denance

特に彼は日本を中心とするアジアに関心が深く、当時のアジアの生の生活の姿を伝える写真は、歴史的、民族学的にも価値が高い。

世界五大陸の庭園の再現もアルベール・カーンの夢であり、特に日本から庭師を呼び作成した日本庭園は圧巻である。

© Think utopia

庭園からの延長としてデザインされた展示空間

この庭園の園路の延長のリニアなシークエンスとして、展示空間はデザインされた。水平にも上下にも蛇行しながら連続する経路と外部環境の間に、アルミと木でできたスクリーンを挿入することで、両者の関係はコントロールされている。

© Michel Denance

庭園と展示との融合というアルベール・カーンの夢が、環境と建築の融合によって実現されたのである。

都市側の外壁はアルミを主体、庭園側は木を主体とし、時としてそれをグラデーショナルにミックスさせた。これらは異種の環境に対して、しなやかに適合し対話する、生物的なスキンとなっている。

© Olivier-Ravoire

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

© Michel Denance

Site plan

Plans

Sections

Detail 1

Detail 2

Detail 3

Detail 4

Detail 5

Detail 6

Detail 7

Detail 8

Detail 9

Detail 10

「アルベール・カーン美術館」隈研吾建築都市設計事務所 公式サイト
https://kkaa.co.jp/project/albert-kahn-museum/

 

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶

隈研吾建築都市設計事務所 Topics

CULTURE2024.02.13

隈研吾建築都市設計事務所が外観デザインと内装の一部を担当する愛知県新体育館

ネーミングライツで名称が「IG アリーナ」に決定、2025年夏開業予定
CULTURE2024.03.11

隈研吾建築都市設計事務所が屋久島で校舎を設計

海と山を見渡せる大自然に抱かれた、おおぞら高校のスクーリングのための屋久島本校の増築
CULTURE2024.07.16

隈 研吾氏による音を五感で楽しむミュージアム

韓国のソウルに設計した ランダムなアルミパイプに包まれた建築〈オーディウム〉
CULTURE2024.05.01

隈 研吾氏が手がけた海と砂丘に溶け込むヴィラ群

サウジアラビアの島にオープンした 渦巻き状の海上ヴィラとビーチヴィラ〈Ummahat 9-3〉

フランス 関連記事

FEATURE2024.07.08

パリオリンピック会場一覧! ※地図あり

建築から見るパリオリンピック特集 #1
FEATURE2024.07.20

パリオリンピックに向けて振り返るメインスタジアムの歴史

建築から見るパリオリンピック特集 #2
CULTURE2023.12.26

フランス初となる認知症患者のためのケアハウス

研究で示された認知症に対する環境の可能性を落とし込んだ建築空間〈アルツハイマー・ビレッジ〉
CULTURE2022.07.08

18世紀のガラス工場をつなぐ、うねるコンクリートスラブ

フランス北西部の牧歌的な風景に建つ SO–ILが設計したパブリックスペース〈サイト・ヴェリエ・ド・マイゼンタール〉
  • TOP
  • CULTURE
  • ARCHITECTURE
  • 隈研吾建築都市設計事務所がフランス・パリに設計した 庭園と展示を融合する〈アルベール・カーン美術館〉
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ