CULTURE

ヘザウィックによるガラスの砂時計のようなツインビル

世界的な文化大国の存在感を示す、韓国・ソウルの百貨店〈ハンファ・ギャラリア〉の再構築

CULTURE2024.08.05

© Devisual

韓国の首都ソウルに建つ有名な百貨店〈ハンファ・ギャラリア(Hanwha Galleria)〉を再構築するコンペティションが開催され、トーマス・ヘザウィック(Thomas Heatherwick)率いるヘザウィック・スタジオ(Heatherwick Studio)の提案が勝利しました。

世界的な文化大国として影響力を増す韓国の役割を確認するようなデザインが求められたこのコンペティションにおいて、交差点の東西に建物が位置していることを活かし、砂時計のような形状と波打つようなガラスの外壁によるツイン・ビルとして計画することで、建物と建物が川の景色を縁取る、印象的な屋外空間をつくり出しています。

(以下、Heatherwick Studioから提供されたプレスキットのテキストの抄訳)

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ショッピングから集いの場へ、ヘザウィック・スタジオが示すこれからの百貨店

韓国の首都ソウルに位置する有名な商業施設〈ハンファ・ギャラリア〉を再構築するコンペティションに、ヘザウィック・スタジオが勝利した。このコンペティションでは、従来の高級百貨店の概念を覆し、世界的な文化大国として影響力を増す韓国の役割を確認するようなデザインが求められた。

〈ハンファ・ギャラリア〉は、遠くに漢江(ハンガン)を臨む主要な交差点に位置している。ソウルの狎鴎亭(アプクジョンドン)地区に位置するこのプロジェクトは、江南(カンナム)の住宅街とショッピング街の中間的な存在として機能し、漢江沿岸を活性化するという市のビジョンに応えている。

ヘザウィック・スタジオは、店舗と地域とのつながりを再定義するデザインを提案した。伝統的な内向きのショッピングセンターとは異なり、この提案ではファサードとその周辺エリアを公共スペースとして利用し、ショッピングモールで買い物をする人も、単にこのエリアを楽しむ人も、誰もがアクセスできるようになっている。

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ヘザウィック・スタジオのパートナー兼グループリーダーであるニール・ハバード(Neil Hubbard)は次のように語る。

「伝統的に、百貨店はかなり内向きであり、周囲の通りに対して閉鎖的な感じがする。しかし、今回は狎鴎亭の交差点の東西にそれぞれ計画する建物があり、人々を結びつけるチャンスだと感じた。ハンファが建物に賑わいをもたらしたいという野心と相まって、私たちは、ゲートウェイをつくり出しながらも、ソウル市民が出会い、買い物をし、まちを楽しむための新しい庭のような空間を提供する、力強いシルエットを提供したいと考えた。」

〈ハンファ・ギャラリア〉は、左右対称に対向する2棟のツイン・ビルで構成され、その下は地下鉄で結ばれている。上部のシルエットは波打つ砂時計のようで、内部は狭い首の部分が自然に満ちた公共スペースとして機能する。地上レベルでは、ツイン・ビルのユニークな形状が組み合わさり、建物越しに、あるいは建物と建物の間から、川の眺めを縁取る。

リニューアルされた既存の地下鉄駅を上っていくと、風通しの良い明るいエントランスアトリウムがあり、訪問者は地上階にある2つの広場に引き込まれる。そして、カフェやレストラン、ショップが点在する開放的な中層階の庭園へと続く。

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植物が生い茂る開放的な屋上は、もう1つの緑の空間を提供し、ガラス張りのファサードと相まって、まちの景色を映し出す複数のビューポイントとなっている。屋外スペースは、自生する植物を選定し丁寧に造園することで、1年を通して自然を楽しめるように設計されている。

両ビルの外壁はダブルスキン構造となっており、持続可能性を高めると同時に、アート展示やイベントのためのキャンバスにもなっている。クリスタルのようなガラスの外壁は、昼間はきらきらと輝き、柔らかな印象を与え、夜には光り輝くプロジェクションマッピングの背景として使用され、外壁は活き活きと輝き出す。

ソウル特別市主催のコンペティションで選ばれたヘザウィック・スタジオの設計は今後、地方自治体やHaeahn Architectureとともに、プロジェクトの詳細設計と開発に取り組んでいく。

以下、Heatherwick Studioのリリース(英文)です。

From Shopping to Gathering: Heatherwick Studio’s New Design for Seoul’s Hanwha Galleria

Hanwha Galleria, a famous shopping centre in Seoul, will be given a Heatherwick studio makeover following a competition to reimagine six sites in the South Korean capital. The brief asked for a design that will challenge conventional notions of a luxury department store and affirm the country’s increasingly influential role as a global cultural powerhouse.

Hanwha Galleria lies at a major crossroad framing the Han River in the distance. Located in the Apgujeong-dong neighbourhood in Seoul, the project acts as a focal point between the residential and the shopping districts of Gangnam and responds to the city’s vision to revitalise the Han Riverbanks. The studio proposed a design that redefines the store’s connection to the local area. Unlike a traditional, inward-facing shopping centre, the proposal uses the facade and the areas around it as public spaces, which are accessible to all whether they are shopping at the mall or simply enjoying the area.

Neil Hubbard, partner and group leader at Heatherwick studio said:
“Traditionally, department stores are quite inward facing, they feel closed off to the surrounding streets. But here we have an important intersection in Apgujeong with two buildings, east and west, that felt like an opportunity to bring people together. Combined with Hanwha’s ambition to bring more activity to the buildings, we wanted to provide a strong overall silhouette that creates a gateway, but also gives Seoulites new garden-like spaces to meet, shop and enjoy their city.”

The Galleria consists of two symmetrically opposed twin buildings – alike but not identical – which are connected underneath by a subway. Above, their silhouettes resemble rippled hourglasses, where on the inside, the narrower necks act as nature-filled public spaces. On the ground level, the twins’ unusual shapes come together to frame the view of the river when looking both through and between the buildings.

As visitors ascend the redesigned existing subway, the airy light-filled entrance atria draw them into two landscaped plazas on the ground level. Their journey continues to an open mid-level garden dotted with cafes, restaurants and shops. The new plant-filled open rooftops offer another green space and paired with the glass facade, provide multiple viewpoints and reflections of the city. The outdoor spaces are designed to provide natural interest throughout the year with a choice of native plants and careful landscaping.

Both buildings have a double layer skin which offers better sustainability credentials whilst also creating a canvas for art exhibitions and events. The crystalline glass exterior of the buildings creates an impression of softness as it glistens in the day. At night the outer skin comes alive when used as a backdrop for glowing projections.

The studio’s design for the site was selected as part of competition organised by the Seoul Metropolitan Government. Together with the local authorities and Haeahn Architecture they will now work on the detailed design and development of the project.

The project follows the recent announcement of the appointment of Thomas Heatherwick, the studio’s founder, as General Director of the fifth edition of the Seoul Biennale of Architecture and Urbanism, to be held in 2025. The Korean edition of Thomas’s book, Humanise: A Maker’s Guide to Building Our World, will be published later this year.

 

「Hanwha Galleria」Heatherwick Studio 公式サイト
https://heatherwick.com/studio/news/hanwha-galleria/

 

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