EXPO2025 大阪・関西万博 テーマ事業「いのちをつむぐ」のシグネチャーパビリオン〈EARTH MART〉は、放送作家・京都芸術大学副学長の小山薫堂氏がプロデュース。全国から集められた茅を使用した大きな茅葺き屋根を象徴とするデザインで、建築意匠監修を隈 研吾氏、展示設計を乃村工藝社、アートディレクションを八木 保氏(Tamotsu Yagi Design)がそれぞれ担当しています。
茅は熊本県阿蘇市、静岡県御殿場市、大阪府大阪市淀川区、滋賀県近江八幡市円山町、岡山県真庭市蒜山高原の5産地から集められ、万博会期終了後にはアップサイクルが予定されています。会期後の運搬、再利用を考えて茅束をそのまま葺く段葺工法で、屋根の傾斜は雨が滞留しにくい45度としています。
食をはぐくみ ひとが賑わう 茅葺のパビリオン
建築は、全国から集められた茅を使って大きな茅葺き屋根を象徴として作りました。茅は里山の暮らしにおいて、人の営みと自然との「循環」の象徴でもあります。万博終了後には再利用も検討しています。また、複数の屋根の集積は市場のように食に集う人の賑わいをコンセプトとしています。
デザインは隈研吾建築都市設計事務所の若手建築デザイナーから募集を行い、多種多様な 50 近いアイデアの中から幾つかの要素を組み合わせて決定しました。
Photo: TEAM TECTURE MAG
パビリオン内をスーパーマーケットに見立て、「いのちのフロア」と「未来のフロア」、2つのゾーンにあるおよそ 20 の展示を通じて、食べ物に感謝したくなる仕掛けや、未来のためによりよく食べるヒントが散りばめられています。
野菜のいのち
いちばん食べられる魚
「いのちのフロア」では、食がいのちであることを見つめ直し、来場者ひとりひとりに他のいのちや自然に対する感謝の気持ちが生まれることを目指しています。例えば、人間一人のいのちを紡ぐ為に、どれだけの他のいのちや自然の助けが必要なのか? そのことを知るだけでも、これまでの食べ物の見方が変わってきます。
いのちのはかり
一生分のたまご
いのちのレジ
「未来のフロア」では、古来からある食の技術から最新のフードテックまで、異なる視点から食の未来をより良くするヒントが展示されています。人と人、国と国、それぞれの持つ知恵や技術を融合させたり、世界中で共有することで、より良い食の未来につながると信じています。
味を記憶し、再生できるキッチン
EARTH FOODS
プロデューサーが語る「パビリオンの推しポイント」
私のパビリオンは、食を通していのちを考えるというパビリオンです。
1人の人間、1つのいのちが数十年間いのちを紡いでいくために、いったいどれくらいのいのちをいただいているのだろうか。それを体感し、未来に向けて人はどういう食べ方をしていけばいいのか。その食べ方に気づいたり、考えたりしていただくためのパビリオンです。
来場されたすべての方に、25年後に受け取れる1粒の梅干しをプレゼントしようと思っております。それは25年分の時のタイムカプセルのような、そういう装置になったらいいなと思っております。(完成披露・合同内覧会 会見より)
トップ写真:TEAM TECTURE MAG
※ 特記なきグレー囲み内のコメント、テキストおよびクレジットのない写真については、「シグネチャーパビリオン8館完成披露・合同内覧会」オフィシャル素材より