CULTURE

SANAAが建築デザインを担当した宮田裕章氏プロデュースのパビリオン〈Better Co-Being〉

[大阪・関西万博]シグネチャーパビリオン紹介

CULTURE2025.04.08

EXPO2025 大阪・関西万博 テーマ事業「いのちを響き合わせる」のシグネチャーパビリオン〈Better Co-Being〉は、慶応義塾大学 医学部教授の宮田裕章氏がプロデュース、建築設計をSANAAが担当しています。

このパビリオンに屋根や壁はなく、万博会場中央にある「静けさの森」と一体となって建設されています。エントランスで来場者同士がグループになり、人と人、人と世界、人と未来、それぞれをテーマとした共鳴体験(シークエンス1からシークエンス3)を巡りながら進む構成です。

アートを軸とした体験を行う舞台装置としての役割を果たすパビリオン

シークエンス1

SANAAが設計したパビリオンは、周囲を森にかこまれた空間の中で、森と溶け合うようにそこに佇む。この建築には既存の概念であるところの天井や壁はない。高さ11mに四層からなるシルバーのグリッド状のキャノピーが敷地を覆い、地上部にはそれを支える細い柱のみが配置されている。緻密に設計された柱と接合部により、キャノピーはそこに雲のように浮かぶ。この建築に風雨を遮断する機能はなく、Better Co-Beingパビリオンの理念を体現し、またアートを軸とした体験を行う舞台装置としての役割を果たす。

自然から人々を遮断し、また空間を画して意味づけを行う建築の機能は今後も重要であろう。一方で会場の中心に森を招き、生態系とのつながりの中で未来へと歩を進める森とBetter Co-Beingパビリオンの体験においては、つながりと広がりを重視した。そのような体験を実現する上で、アーキテクチャは人と世界をつなぎ、未来への可能性を広げる役割を果たす。(Better Co-Being公式サイトより)

Photo: TEAM TECTURE MAG

設計コンセプト
「静けさの森」に溶け込むような不定形の大屋根をつくります。森を交錯し、トレースするような形の大屋根は、アートのための装置としての機能をもちます。「静けさの森」と連続する透明な大屋根下の空間では、霧、雨、光の現象的なインスタレーションを鑑賞することができ、訪れた人々が、森の中とは微妙に異なる体験をすることができます。

ゾーニングと動線計画
2025 年日本国際博覧会会場の中央に位置する「静けさの森」と一体的な鑑賞体験となるよう、敷地を「静けさの森」の中に計画しています。来館者が「静けさの森」の中を自由に散策する動線の中で、自然と本パビリオンの体験に移り変わるような動線計画を考えています。そのため、区切りとなるような敷地境界線上にフェンスや柵はありません。

©SANAA

展示空間
本パビリオンでは、霧、雨、光といった現象をテーマとしたアートを展示する計画を計画しており、来館者は森の体験のなかで、これらのアートを鑑賞することができます。また、盛土や地中に設置するミスト装置により、霧の展示空間をつくります。

シークエンス3

プロデューサーが語る「パビリオンの推しポイント」

大きな特徴は万博の中心にある森と一体化した展示です。会場デザインプロデューサーの藤本壮介さんと人工物だけではない生態系を招こうと、周囲の森で枯れゆく木々を再生しながら森をつくりました。このような繋がりのなかで、1970年万博のときは岡本太郎さん一人でしたが、オノ・ヨーコさんほか世界中のアーティストと一緒に未来への問いを表現しています。

パビリオンは屋根も天井もなく、天候の影響を強く受けます。そのときどきによって感じるものが違う、そんなパビリオンになっています。インターネット時代、見るだけならどこでも見られますが、五感体験のなかでぜひ感じていただければと思っています。

一番重要な部分の1つに、SANAAのパビリオンと共鳴するかたちでその場で虹を立ち上げるというものがあります。虹を一緒につくることで、未来とともにどう歩むのか、我々の重要なメッセージを体験していただければと思います。(完成披露・合同内覧会 会見より)

 

トップ写真:TEAM TECTURE MAG
※ 特記なきグレー囲み内のテキスト、コメントおよびクレジットのない写真については、「シグネチャーパビリオン8館完成披露・合同内覧会」オフィシャル素材より

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