施設DATA
- 設計
PONDEDGE+farm+NOD- 主用途
トイレ- エリア
シグネチャーゾーン南側
〈トイレ7〉の見どころポイント!
周囲に溶け込む、明確な輪郭をもたないトイレ
〈島の蜃気楼(トイレ7)〉では、可変性に優れた3Dプリントのポリカーボネートパネルを用いて、複雑な曲面を構成しながら、反射や透過によって周囲の光や色を取り込む外皮が、建築そのものの印象を曖昧にします。従来の建築手法と新たな技術のあいだで、軽やかで刹那的な空間を実現しています。

Photo: 鈴木悠生
象徴的な建築群に囲まれた広場という敷地に対して、背景化するように周囲の現象のみを浮かび上がらせる明確なかたちをもたない建築を構想した。そして、とてもオープンな場に建つトイレとして、プライバシーを確保しつつもとても光に満ちた空間を求めた。

Photo: 鈴木悠生

Photo: 鈴木悠生
平面形状は蜘蛛の巣状に広がり、鉄骨の躯体には、円周方向への変化に応じて可変的に追従できる3Dプリント製のポリカーボネートパネルが取り付けられている。いかにも3Dプリント的な完結した壺のような形状は避け、あくまで従来の建築手法の延長上に位置付けられるデザインを模索した。その結果、複雑な形状や寸法の変化に対応できる3Dプリントの特性を生かし、パネル工法を採用した。

Photo: 鈴木悠生

Photo: 鈴木悠生
外周パネルは笠木と一体で成形され、屋根の存在が見えなくなるように設計されている。円周方向のポリカーボネートのパネルに対して、放射方向の壁や腰壁などはガルバリウム鋼板によって仕上げ、色味や光の反射性を担保させた。内部の天井は柔らかなアルミニウムの断熱材を用い、ふわふわとした光の面となるように設計した。バリアフリートイレの壁面には3Dプリントの壁を2重に設置し、フルハイトの光の面をつくりだした。

Photo: 鈴木悠生

Photo: 鈴木悠生

Photo: 鈴木悠生

Photo: 鈴木悠生
波形状の3Dプリントのパネルは製造時の歪みを多く含み、それらも建築の表情として積極的に取り入れている。反射性と透過性をあわせ持つ湾曲したパネルは、周囲の光を複雑にとらえ、周辺環境との関係によってその存在が浮かび上がる。会期中に現れ、その後はまた別の場所へ循環していく、刹那的な光を纏う建築は、島に浮かぶ蜃気楼のようである。

Photo: 鈴木悠生

Photo: 鈴木悠生

Photo: 鈴木悠生

平面図。Image: PONDEDGE+farm

断面図。Image: PONDEDGE+farm

断面詳細図。Image: PONDEDGE+farm
建築DATA
構造:鉄骨造
階数:地上1階
敷地面積:201.51m²
建築面積:100.81m²
延床面積:103.77m²設計:PONDEDGE+farm+NOD
担当:鈴木淳平(PONDEDGE)、村部 塁+藤本章子(farm)、溝端友輔(NOD)
設計監理:PONDEDGE+farm
構造設計:オーノJAPAN
設備設計:ZO設計室
3DP設計協力・製造:VOID+ND3M
施工:セットアップ
テキスト提供:PONDEDGE+farm
万博特設サイト『SPECIAL FEATURE EXPO2025』は こちら▼