国産材の需要創出・利用拡大を支援するプロジェクト「WOOD CHANGE CHALLENGE(ウッド チェンジ チャレンジ)」の関連イベントが2021年3月5日より開催されます。
同プロジェクトは、令和2年度補正予算林野庁補助事業の支援のもと、ロフトワーク(代表取締役社長:諏訪光洋)主催、一般社団法人全国木材組合連合会の後援のもと行われるもので、2020年11月より、国産材を活用するアイデアアワードと異分野のクリエイターが集結したプロトタイピング・イベントなどを実施してきました。
このほど、同アワードの受賞作品の展示会と、会期初日には授賞式と審査委員(下の写真・4氏)によるトークイベントなどがオンラインで開催されます。
「WOOD CHANGE AWARD」では、2020年11月18日(水)から2021年2月15日(月)にかけて、未発表の作品やプロトタイプ、コンセプトスケッチやサービスまで、幅広いアイデアを募集。普段から木材を活用している建築系のプロユーザーだけでなく、グラフィックデザイナーや映像作家、アニメーターのほか、学生、専業主婦からも応募があり、国内外から100を超える作品が集まりました。
厳正な審査の結果、森林・林業への関心を高め『こんな森があったらいいよね』を共有・実現する場として、現役の林業従事者が開催する「もりのがっこう(仮)」を創立するアイデアがゴールドを受賞しました。
結果発表ページ:https://awrd.com/award/woodchangeaward/result
クリエイター名:足立成亮、陣内雄、神輝哉、 金内智美、木野哲也、 SHIN sasaki、野中穂(林業従事者、NPO法人理事、福祉事業・観光、北欧雑貨店主、文化芸術事業プロデューサー 、デザイナー、カメラマンで構成)
作品概要:森林・林業現場への興味関心を高めることを目的に『こんな森があったらいいよね』を共有・実現する場として、現役の林業従事者がひらく「もりのがっこう(仮)」を創立するアイデア。環境保全型林業の現場として稼働している札幌市内山林から、北海道各地へ展開することを想定。
ゴールド以下のシルバーには、木材の吸湿性を利用して開閉するファサードシステム、ブロンズには自分で育てた苗が製品になって戻ってくる「戻り苗」のアイデアが選出されています。
クリエイター名:Zhenfang Chen(研究者)
作品概要:木材の吸湿性を利用して、相対湿度の変化に応じて、晴天時には閉じ、雨天時には開く、気象に敏感な、可動ファサード。実際に実験や、試作でのテストも実施した上で提案している。
クリエイター名:奥川季花、西来路(協力:株式会社中川、樹木医:大谷栄徳)※編集者、グラフィックデザイナーで構成
作品概要:林業で使用されるスギ、ヒノキ、ウバメガシの苗を家庭で育て、山に植えてもらい、同じ山で育った木が製品となって、手元に戻ってくるというサービス。 木材製品への愛着と、日本の森林に対する関心を高め、 林業界の課題の一つである日本木材の国内消費増加につなげる考え。
そのほか、ピックアップ賞として、以下の3作品が選出されています。
今回の審査にあたった審査委員各氏のコメントは以下の通りです(アイウエオ順、敬称略)。
秋吉浩気(建築家 / メタアーキテクト / VUILD株式会社代表取締役CEO)
「人と木の関係を再構築するためには、これまでの常識を疑い行動することが大切であると、審査を通じて学びました。現場である山を人々の居場所として再定義するだけでなく、林業従事者という職能を創造者へと再定義しているゴールドを筆頭に、様々な勇気ある挑戦に出会うことができました。とりわけ、学生達が山や流通に踏み込んで提案していた点が印象深く、このような時代の変化の追い風として各賞が貢献できればと願っています。」佐藤ねじ(アートディレクター/プランナー)
「林業が抱える課題を家庭菜園で解決に導くアイデアなどに、「未来的」「WEB的」な発想を感じ、面白かったです。サービスを通して問題提起の意識が続いていくアイデアに、沢山のキャッチコピーが生まれる気配を感じています。審査を通して感じたのは、「よいものを作るひと」と「それを伝えるひと」の両方の存在が大切だということ。一つの批評が、その価値を伝えることに機能すると感じました。」永山祐子(建築家)
「本プロジェクトでは、「プロが見て凄いもの」よりも、一般の方にも想像、共感してもらえるアイデアが求められていたと思います。応募作品は様々な分野から多様なアイデア・プロダクトが集まりました。その中でも受賞作品は、そのアイデアを見た人が新たな可能性を語り始めるくらい想像力が掻き立てられる、“未来への種”を感じるもの、そして身近な体験をアイデアにした共感性のあるものを選ばせていただきました。」若杉浩一(武蔵野美術大学 造形構想学部クリエイティブイノベーション学科教授)
「予想だにしないもの、「その手があったか!」と感じるものなど、多様なアイデア溢れていて興味深かったですね。また、そこに第三者のアイデアが加わると、一気にリアリティが加速して、実装などの次のステップに行くこともイメージでき、審査を通して将来性を語る意味でも面白かった。イノベーターとして山に関わる人が増えていけば、人々はより山に興味を持ち、山に戻っていく未来も見えた気がします。」
アワードの開催と受賞作品決定を記念して、関連イベントが開催されます。
展示会では、「WOOD CHANGE AWARD」の受賞作品と「WOOD CHANGE CAMP」作品を披露(一部作品はタブレット端末やパネルで展示)します。木に関する書籍や国産材を使った雑貨の展示販売なども行われます。
「WOOD CHANGE AWARD」作品展示会
会期:2021年3月5日(金)〜18日(木)
会場:東京・代官山 蔦屋書店 2号館 1F 建築・デザインフロア(一部作品はタブレット端末/パネルで展示)
授賞式&トークイベント
開催日時:2021年3月5日(金)18:00-20:00
会場:オンライン
内容:受賞作品の表彰、審査員によるクロストーク(講評)、CAMP参加クリエイターチームによるピッチ(一般投票受付でのBEST CAMP賞選出 / 後述)
参加方法:要事前申し込み
配信URL:
https://fabcafe.com/jp/events/tokyo/wood-change-challenge-award-ceremony/
また、今回のプロジェクトでは、異分野のクリエイターたちが集結し、新しい国産材の活用を試みたクリエイティブセッション「WOOD CHANGE CAMP」も開催。オンラインでの活動を中心に、3チームに分かれてアイデアのプロトタイプ制作も行っています。
木工の経験や実績は問わず、「木に何らかの可能性やモチベーションを感じている」ことだけを条件に選考を突破した「公募クリエイター」、『広告』編集長の小野直紀氏、建築家の元木大輔氏がプロジェクトのテーマに沿ってアイデアを形にできるよう導く「メンター」、そして木の扱いや加工に詳しい「木のディレクター」でスペシャルチームを結成。
2021年1月上旬にFabCafe Tokyoで活動をスタートさせ、その後はオンラインでの活動を中心にアイデアのプロトタイプを制作。約40日間をかけて、アイデアのアウトプットに磨きをかけた3チームは、3月5日(金)に行われる「WOOD CHANGE CHALLENGE」の授賞式にて、「WOOD CHANGE CAMP」のプレゼン大会も実施する予定です。オンラインで一般投票を行い、BEST CAMP賞を決定します。
応募者コメント::「この作品は、家具や建材の規格から外れた木材を用いたクレヨンです。材種によってや、日焼けや菌類の影響により、木の色は決して「茶色」ではなく、多様であることに気づきます。」
応募者コメント:「人工的な製材が作り出す数学的な知恵と、かつての生活の風景である薪割りの原始的な知恵を掛け合わせてできた家具です。どちらにも転ばないその佇まいに、私たちは未来のスタンダードの多様性を感じています。」
応募者コメント:「ForestBankというマテリアルは本来の木材と同様、切り出す箇所によって現れる模様が分からないということに面白さと可能性を感じます。今後様々な用途に利用されることを期待します。」
一般投票URL
https://awrd.com/award/woodchangecamp/works
※チームの作品ページのVOTEボタンをクリックするだけで投票可能
新たな国産材活用の可能性が拡がり、国産材の魅力と可能性を体感し、木と人の新たな物語が始まります。
本件プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000004703.html