芸術作品を再演(再現)する際に必要となる「指示書(インストラクション)」に焦点をあて、保存、継承における芸術作品の同一性を問う企画展が、東京藝術大学大学美術館で開催されています(主催:芸術保存継承研究会)。
本展における「指示書」とは、複製や再現、移行や再制作が必要となる芸術作品の再演(再展示)に必要となるものです。作品を再演ないし再展示する際に、常に作者が立ち会うとは限りません。遠方にいたり、あるいはすでにこの世を去っていたり。作者不在を想定し、芸術作品を第三者に伝えるための「指示書」で、果たして作品の同一性は確保できるのか? インスタレーションやメディアアートなども含め、「指示書」によって作品の保存と継承はどこまで可能なのか? これらを考察する本展では「指示書」を現代の新たなメディアとして捉えているのが特筆点です。
展示構成
第1章 創造のために
日本絵画における下図や模本、粉本、また彫刻の原型や建築模型、漆塗りや蒔絵の制作手順を表した手板などを展示
第2章 再演のための指示
空間展示(インスタレーション)とバイオメディア・アートの指示書を展示し、作品の同一性について考察する
第3章 再制作とその継承
当初からデジタルデータで制作・記録された作品の再現性を問う展示。同大学出身の川俣正の卒業制作作品〈自画像〉が、1979年当時の卒展開催時に設置された状態で初めて再現されるのも見どころ
第X章 ミュージアムの仕様
保存や修復、破棄や権利、倫理、地球環境への配慮など、芸術作品を取り巻くさまざまな「指示」について考察する
本展では、記録写真、映像、参考資料といった、作品に関連するさまざまな指示や手順、仕様書が展示されます。よって、従前の展覧会では”主役”たる作品の展示が主体にはならないという、これまでにない視点と構成に。美術館というミュージアムにおいて、多様な芸術作品の再演(再現)について考察を試みる、展覧会として新たな取り組みです。本展開催のための会場構成の「指示書」も公開されます。(en)
会期:2021年8月31日(火)~9月26日(日)
休館日:9月6日(月)、9月13日(月)、9月21日(火)
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
会場:東京藝術大学大学美術館 本館展示室2(東京都台東区上野公園12-8)
観覧料:無料
※予約不要。但し、新型コロナウイルス感染症拡大など今後の状況により、スケジュールの変更や入場制限を実施する場合あり
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
主催:芸術保存継承研究会
助成:公益財団法人花王 芸術・科学財団、JSPS科研費JP19H01221、JP19K21608、JP20K00211
協力:metaPhorest、東京藝術大学アーカイブセンター
展覧会公式WEBサイト
https://taira.geidai.ac.jp/archives/projects/6
東京藝術大学大学美術館 公式WEBサイト
https://www.geidai.ac.jp/museum/